2015年3月9日月曜日

中国経済の暗雲(5):『失われた時代』と日本は言い、同じことを中国は『新常態』を表現する

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 日本は『失われた時代』と言うが
 同じことを中国は『新常態』と言う。
 この日中が同じ状態にあるということでもある。
 失われた10年の間、日本はアメリカに続く経済トップ2に居座り続けた。
 同じように新常態でも中国はトップ2として在り続けるだろう。
 しかし、日本はその間先進国であり続けたが、
 中国は『中所得国のワナ』に陥る危険性が大きい。
  それを如何に回避するのか、中国当局の手腕にかかっているが、あまりの急成長のために、対応策が数少ないことも確かであろう。


ロイター 2015年 03月 9日 15:27 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0M509Y20150309

アングル:中国政策当局者のバブル研究盛ん、「日本の失敗に学べ」

[上海/東京 8日 ロイター] -
 中国の政策当局者らは、過去20年間にわたってリセッション(景気後退)やデフレに苦しんだ日本の轍を踏まないよう、これまでの日本の経済政策などを熱心に研究しており、教訓を得ようと努めている。

 中国の政策当局に近い日本政府の関係者や、その他の関係筋の話で分かった。

 中国政府は、日本が30年以上前に行った資本フローや円の自由化が、のちの資産バブルとその崩壊につながった、と分析している。

 中国に拠点を置く関係者の1人は、匿名を条件にロイターに対して
 「中国は日本の成功にはまったく関心を持っていない。
 最大の関心事は日本の失敗だ」
と話す。
 「日本と中国の経済には多くの共通点がある。
 そのため中国は日本の経験から学ぶことが多いのだろう」
と指摘した。

 関係筋によると、日中の外交関係は領土問題などを背景に冷え込んだままだが、それにも関わらず、両国間の意思疎通は官民の両レベルで続けられている。
 中国の政策当局者や政府系シンクタンクのアナリストはすでに、日本やその他諸国の経験について良く知っているという。

 さらに、中国で経済成長率が鈍化し、デフレへの警戒感が広がる昨今は、
★.中国の日本への関心は一段と高まり、政策の細部に及んでいる。

 先週5日に開幕した全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、中国は今年の国内総生産(GDP)伸び率目標を7%前後と発表。
 24年ぶりの低成長である2014年の7.4%を下回る水準に設定した。

<日本に学べ>

 中国は現在、日本が過去数十年の間に行った主要な3つの金融改革を実行しようとしている。
 それは
 金利自由化、
 通貨の国際化、
 資本勘定の開放
だ。
 これらの3つの改革は、経済発展を支援するはずのものだが、対応を誤った場合、経済へのマイナスの影響は計り知れない。

 日本政府と西側諸国は1985年に、プラザ合意を締結したが、関係筋によると、中国の政策当局者は、
★.このプラザ合意こそが日本の「失われた20年」の原因となった決定的な出来事だった、
と考えている。

 プラザ合意を受けて円相場が急激に上昇。
 日本の輸出が大打撃を受け、自動車メーカーなどを中心に生産を海外に移す動きが加速した。
 日本の経済成長が低迷し始めたことから、日銀は政策緩和に踏み切った。

 ところが、緩和マネーと、資本勘定開放に伴う外国のホットマネーは、株式や不動産などの資産に流入、いわゆるバブルの状態となった。

 日銀の木内登英審議委員は5日、前橋市での記者会見で
 「すでに中国経済の今の運営自体は、日本の経験を踏まえていると思う。
 だから、景気が落ちてきても、また不均衡を拡大させるような積極策には出ていない。
 これは非常に賢明な政策ではないかと思う」
との見方を示した。
 委員は、日本でバブルが形成された理由の一つとして、
★.米国への影響に配慮し、金融政策を引き締めることができなかったことがある、
と指摘。
 (国際的な配慮に比重を置くのではなく)国内経済の安定を最優先にすべきという点が
 「あえて言うと日本の教訓だと思う」
と述べた。

★.中国が日本から学ぼうとしているもう1つの課題は銀行の不良債権問題だ。
 中国の不動産市場は過去の引き締めの影響で冷え込んでおり、景気がさえないなか、銀行の不良債権急増への警戒感が広がっている。

 関係筋によると、中国政策当局は、銀行倒産への対応についても日本の事例を参考にしようとしている。
 これは、中国が金利自由化後に、銀行業界の再編を準備している可能性があることを示唆している。

<日中の接触、実は活発>

 日中関係は一見、冷え込んだままだ。
 ただし関係筋によると、両国間の接触は、非公式で目立たない形ではあるものの、なお活発という。

 日本の政府当局者の1人は
 「意見交換自体は、非常に頻繁に行われている。
 しかし、大々的な公式イベントはまだ、実施しにくいムードであるため、たいていは非公式な会合にとどまっている」
と語った。

*見出しを修正して再送します。



ロイター 2015年 03月 11日 16:13 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0M70CO20150311

1─2月の中国鉱工業生産は前年比+6.8%、約6年ぶりの低い伸び

[北京 11日 ロイター] -
  中国国家統計局が発表した1─2月の鉱工業生産、小売売上高、固定資産投資は、いずれも市場予想を下回った。
  鉱工業生産の弱さは、昨年7.4%だった成長率が、今年は追加の景気刺激策を実施しても7%程度に鈍化するとの見方を裏付けている。

  1─2月の鉱工業生産は前年比6.8%の増加。2008年終盤以来の低い伸びとなり、市場予想(同7.8%増)を下回った。

 フォーキャストPTE(シンガポール)のエコノミスト、Chester Liaw氏は
 「習国家主席が掲げる新常態(ニューノーマル)を示す内容」
と指摘。
 「鉱工業生産が2桁台(の伸び)となるのは過去のことで、小売売上高も10%を上回る状態が長く続くとは考え難い」
と述べた。

 1─2月の小売売上高は前年比10.7%増、
 1─2月の固定資産投資(都市部)は前年比13.9%増。
 市場予想は、小売売上高が11.7%増、固定資産投資は15.0%増だった。

 国家統計局は、各データが春節(旧正月)の連休の影響を受けるため、1月と2月の合算で発表している。
 春節の連休は、昨年は1月にあり、今年は2月だった。

 1─2月の電力生産は前年比1.9%増。
 2014年通年の電力生産は3.2%増で16年ぶりの低い伸びだった。

*内容を追加します。



サーチナニュース 【経済ニュース】 2015/04/06(月) 06:02
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2015&d=0406&f=business_0406_001.shtml

中国の「混合経済」は
・・・先進国の「いいとこ取り」と中国メディア主張


 中国共産党中央宣伝部が指導する同党機関紙のひとつ、光明日報は1日付で、
 中国国有企業の役割を論じる論説2本を掲載した。
 うち、
 「中国『混合経済』の独特な発展の優勢」と題した文章では、国有企業は経済発展に役立ってきたと主張した。

 論説は、資本主義の多くの理論では、
★.経済制度として英、米、カナダなどを典型とする「自由型市場経済」と、
 日、独、オーストラリアを典型とする「協調型市場経済」
に分類すると紹介。

 国有企業、民間企業など多くの企業形態がある中国は、企業管理、労使関係、企業間関係、人材育成などの分野において、
 それぞれ自由型市場経済と協調型市場経済の「よい方」を多く取り入れている
との考えを示した。

 中国の現状については、制度がまだ不健全であり、行政の監督管理なども極めて不十分と認めた上で、先進国がさまざまな経験を経て導入した制度はハードルが高すぎると主張。
 中国の発展の程度からして現行の制度を通じて、市場改革を進めて行くことが最もよい方法と論じた。

 論説は、中国が10年近くも10%台の経済成長を続けたことを強調。
 米国や日本が2008年に起きた国際金融危機でマイナス成長に陥ったことと比較しても、中国の「混合経済制度」は有効に機能してきたと主張した。

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◆解説◆
 中国では、国有企業が民間企業を圧迫しているとの批判ある。
 また、人事面では「国有企業幹部」から「幹部官僚」へ、またその逆の異動を繰り返される場合が多い。
 「行政の意向を熟知するものが企業幹部になる」、
 「経済活動の現場を熟知する者が官僚になる」
という利点はあるが、
 企業活動を監督する行政官と企業人が人事面で交錯することは、腐敗を多発させる構造
と言うこともできる。

 李克強首相は就任以来、国有企業改革を主張しつづけている。
 3月25日に招集した国務院常務会議(日本の閣議に相当)でも、国有企業改革による(資産および人材)資源の再配置を改めて強調した。

 中国共産党中央の機関紙が、国有企業が経済発展のために有効に機能してきたと称賛する文章を集中して掲載したことは、
 中国共産党上層部における何らかの動きを反映している可能性が高い。


2015.4.9(木) Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43481

中国は経済の勢いを維持するのに苦労する
(2015年4月8日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 中国の当局者はスローガンが大好きだ。
 筆者は先月、中国政府の最高幹部や世界の企業関係者、政策に携わる識者が集まる年次総会「中国発展ハイレベルフォーラム」でこのことを思い出させられた。
 今年のスローガンは「ニューノーマル(新常態)」だ。

 ニューノーマルは(筆者の知る限り)、マッキンゼーが2009年に初めて打ち出した概念だ。

 高所得国に住む人は今、自国経済のパフォーマンスが根本的に変わったという考えに慣れている。
 だが、中国人にとっては、ニューノーマルは何を意味するのだろうか。

 中国の副首相で共産党中央政治局の常務委員である張高麗氏は同フォーラムで、ニューノーマルを以下のように表現した。
第1に、成長率の低下にもかかわらず、
 「発展は依然、中国にとって最大の課題だ」。
第2に、「大量の投入物、大量のエネルギー消費、外需への過剰依存を特徴とする古い成長モデルは、もはや持続し得ない」。
第3に、中国人はまだ重要な「戦略的な機会」を享受しており、それゆえ
 「我々の将来について完全に自信を持っている」。

 我々も同じくらい自信を持つべきなのか。
 筆者はその
 答えが「イエス」であるべき大きな理由を2つ
 また、答えが「ノー」かもしれない理由を2つ
挙げることができる。

■過去の実績とポテンシャルを考えれば盤石にも思えるが・・・

★.答えがイエスであるべき最初の理由は
 過去の実績だ。
 国際通貨基金(IMF)によると、中国の1人当たり国内総生産(GDP、購買力平価ベース)は1980年に米国のレベルの2%強だったものが、昨年は24%まで増加した。
 中国ほど巨大な国がこれを達成したことは驚異的だ。
 中国の政治をどう評価するとしても、このような成功の根底にある能力、世界を経済的に一変させ、政治的に一変させようとしている能力は認めなければならない。

★.答えがイエスであるべき2つ目の理由は、 
中国がとてつもなく大きな強みとポテンシャルを持っていることだ。

 中国の国民は、勤勉で、起業家精神に富み、教育熱心であることで有名だ。
 国民貯蓄率はGDP比50%近い。
 このため、高い投資率にもかかわらず、中国は極めて大きな債権者なのだ。

 さらに、中国の生産性はまだ高所得国のレベルに遠く及ばない。
 経済協力開発機構(OECD)は最新の中国経済調査で次のように指摘している。

 「人口の半分程度がまだ農村部に住んでいることから、生産性が高く都会的な仕事がある都市への移住の継続を通してさらなる生産性拡大を達成できる」
 戸籍制度の改革と自由化は、そのような移住を促すだろう。

 さらなる機会の源泉は、現在の欠陥のある政策と慣行だ。
 過剰な補助金のせいで投資収益率は低下している。
 成長に対する「全要素生産性(TFP)」の貢献度――資本と労働力が利用される効率性の改善――も低下している。

 中国は市場原理への依存を高め、法制度を予想可能なものにし、家計消費と公共消費を増やす方向へ転換する計画を立てており、これが、過去数十年間よりは控えめなペースとはいえ、さらに20年間キャッチアップ成長を遂げる潜在性を解き放つかもしれない。

■著しくバランスを欠いた経済の難点

 この実績とこのポテンシャルがある以上、
 中国がまだ何年も急成長する能力を疑う理由
などあるだろうか。

1つ目の理由は、
 非常に速く成長することは、自転車に乗ることと似ていることだ。
 スピードが維持される限りはうまくいくが、ひとたび減速すると、自転車が揺れ始める。
 減速をうまく管理するのが非常に難しい
のは、このためだ。

 2つ目の理由は極めて重要で、
 中国経済が著しくバランスを欠いていることだ。
 バランスが取れていない経済の速度を落とすことは特に難しい。

★.アンバランスな経済の際立つ側面は高い貯蓄率であり、ひいては
★.需要源としての投資への依存だ。

 だが、経済が減速するにつれ、投資に対する需要は景気の減速以上に大きく減少する可能性が高い。

 その理由は、
 過去の投資は10%の年間成長を前提として行われたためだ。
  成長率が大幅に低下すると、過剰生産能力は慢性的なもの
になる。

★.過剰生産能力を抱えた時、人は何をするか。
 投資をやめる。

 中国政府が高い成長率を維持する必要があるのも、このためだ。
 成長を維持できなければ、投資が激減し、破滅的な影響を及ぼしかねないのだ。

■日本経済を打ちのめした不吉な組み合わせ

 それだけではない。
 過剰債務と減速する経済の組み合わせは特に有害だ。
 だが、信用を原動力とした不動産関連の投資ブームが生み出したのは、まさにそれだった。
 たとえ債務の原因である投資が最終的に利益を生む可能性があるとしても、成長が減速するにつれて債務返済能力も低下する。

 この債務返済能力の低下は、需要面で「バランスシート不況」を生み出す。
 これが上述した投資の調整を増幅する。
 1990年代に日本経済を打ちのめしたのは、この組み合わせだった。

 中国経済が安定的かつ持続可能な形でニューノーマルへの転換を果たすためには、そのような崩壊を絶対に避けなければならない。
 それを達成するためには、非常に巧みなマクロ経済運営が必要になる。

 中国がいずれ短期金利をゼロにすることは、すでに容易に想像できる。
 中央政府は近く、財政赤字を大幅に増やすことを余儀なくされるかもしれない。
 多額の債務を抱えた地方政府が支出を削減した場合は特にそうだ。
 中国人民銀行はそのように増加した中央政府債務を直接的に穴埋めするかもしれない。
 あるいは、政府は商業銀行から資金を借り、債券市場の発展を加速させるかもしれない。
 公的債務の総額はOECDの推計でGDP比50%程度なため、さらなる借り入れの余地は間違いなく存在する。

 中国がこうした調整をいかに成し遂げるかは、世界に多大な影響を及ぼす。
 すでに、中国の減速はコモディティーの需要(および価格)を引き下げることに重要な役割を果たした。

■世界は中国の成功を祈るしかない

 貯蓄率が高止まりしたままの状態で国内投資のハードランディング(硬着陸)が起きるようなことがあれば、貿易黒字が爆発的に増加するかもしれない。
 そうなれば、すでに非常に困難な時期にあって世界的な過剰貯蓄を悪化させることになる。

 世界は中国当局がこの移行を成功裏に成し遂げることを祈らなければならない。
 別の可能性は、想像するに堪えない。

By Martin Wolf
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【何かと不安な大国:中国】



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