製造業の撤退だけでなく、資金の中国からの撤退が始まっている。
中国経済には暗雲が垂れこめはじめているということだろう。
つまり
中国はもはや
魅力ある投資市場ではない、
ということになる。
上海自由貿易区では予定している外資部処には予定の1/4も入らないという。
上海以外にも自由貿易区の設立には手を上げているところも多いが、果たして金融外資が集まるかは疑問になっている。
発展する経済なら誰でもそこそこできる。
下降局面に入った経済をいかに支えるかが為政者の手腕になる。
中国政府はこれから試練にさらされる。
『
時事通信 2015/3/1 18:30
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2015030100138
中国、金融緩和継続へ
=デフレ、資金逃避を警戒
【北京時事】中国人民銀行(中央銀行)が1日、追加利下げを実施した。景気減速の中で「日本が経験したデフレに向かうかもしれない」との懸念が出始めている上、投機資金の海外逃避も進んでいるためだ。2014年11月に始まった今回の金融緩和局面は、少なくとも今年いっぱいは続くとみられている。
国家統計局が1日発表した15年2月の製造業購買担当者景況指数(PMI)は49.9と、景気判断の分かれ目となる50を2カ月連続で下回った。1月は12年9月以来2年4カ月ぶりに50を割り込み、製造業者が先行き不安を抱いている姿が浮き彫りになった。
投機資金が中国から引き揚げられつつあることも、当局にとって大きな懸念要因。魅力的な投資先だった不動産市場は低迷が続き、見切りをつけた投機筋は米国などに資金を移しているもようだ。
そのため人民銀は2月上旬、12年5月以来2年9カ月ぶりに、預金準備率を引き下げる手法で市場に大量の資金供給を行った。預金準備率は、金融機関が人民銀に預け入れを義務付けられる資金の比率で、引き下げられると貸し出しに回せる資金が増える。
』
はて、下り坂に入った中国が果たして過去に約束した
国際開発金融機関の設立に真摯に向き合うことができる
のか。
アドバルーンを上げるとあたかもそれが現実のものになったような錯覚に陥るのが中国の悪いクセである。
経済が上り調子のときはいいが、暗雲が垂れ込め始めた今の中国で将来的にわたってそれを実行していくことが可能かということである。
確率は半々だろうか。
数年後にはGDP成長率は3%になると見込まれている財政状況では難問山積と思われる。
『
サーチナニュース 【経済ニュース】 2015/03/07(土) 12:24
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2015&d=0307&f=business_0307_010.shtml
中国主導で相次いで設立される国際開発金融機関
― 既存の国際金融秩序への挑戦になるか ―
中国経済新論「中国の経済改革」-関志雄
中国は、習近平政権の下で、従来の「韜光養晦」(目立たずに力を蓄える)という方針を大きく転換し、より積極的な外交を展開するようになった。
その一環として、自らの主導で、
★.新開発銀行(New Development Bank, 以下NDB)や、
★.アジアインフラ投資銀行(Asian Infrastructure Investment Bank, 以下AIIB)
など、新しい国際開発金融機関の設立を進めている。
まず、2014年7月15日、中国、ブラジル、ロシア、インド、南アフリカの新興5カ国(BRICS)はブラジルのフォルタレザで開催された首脳会談で、NDBと外貨準備基金の創設に関する合意文書に調印した。
NDBの資本金は当初500億ドルで、5カ国が均等に出資。
最終的には1000億ドル規模への拡大を目指す。
本部は上海に置く。
初代総裁はインドから出すが、今後、BRICS各国が順番で担当することになっている。
外貨準備基金は1000億ドルの規模で、
中国が410億ドル、
インド、ロシア、ブラジルがそれぞれ180億ドル、南アフリカが50億ドル
を拠出する。
NDBと外貨準備基金の関係は、世界銀行とIMFの関係に似たようなものになると考えられる。
次に、習近平国家主席が2013年10月に東南アジア歴訪中に提唱したAIIBは、2014年10月24日に、中国、インド、シンガポールをはじめとする21カ国の代表が北京で設立に関する覚書に調印した。
その後、インドネシア、ニュージーランドなども加わり、2015年1月現在、メンバーの数は27カ国に達している。
AIIBの法定資本金は1000億ドルとし、当初は500億ドル規模から始める。
出資比率は、各国のGDP規模を反映させるように決め、中国は最大の出資国となる。
本部は北京に置く。
そして、上海協力機構開発銀行、上海協力機構発展基金の設立も検討されている【注1】。
中国政府による公式の説明では、これらの機関を設置する狙いは、資金不足に直面している発展途上国のインフラ建設と持続可能な発展を促進することであるが、アジアおよび世界における中国の影響力を高めるという狙いもあろう。
これに対して、米国は、中国がNDBとAIIBを梃子に既存の国際金融体制を揺るがそうとしていることを懸念している。
(Ratner, Ely, “Making Bank - Why China’s new infrastructure bank represents a challenge to the global order,” foreignpolicy.com, October 23, 2014)
実際、米国は一部の国に、アジアインフラ投資銀行に参加しないよう説得していたと伝えられている。
(Perlez, Jane, “U.S. Opposing China’s Answer to World Bank,“The New York Times, October 9, 2014)
米国の圧力を受けたせいか、日本、韓国、オーストラリアといった有力な候補は設立計画への参加を見送った。
米国のこのような疑念に対して、中国は次のように答えている。
まず、中国財政部の関係者によると、NDBは、インフラ建設および持続可能な発展を促進するという役割において、現行の多国間および地域の開発銀行と相互補完する。
また、NDBの設立は、BRICS諸国の国際経済事務における影響力と発言権を強めながら、グローバル経済ガバナンスシステムの公正で合理的な方向への発展を促進することができる(新華社、「BRICS開発銀行発足は一里塚としての意義がある」、2014年7月15日)。
また、中国財政部の楼継偉部長は、世界銀行とアジア開発銀行(ADB)など、既存の国際開発金融機関が主に貧困削減を目指しているのに対して、AIIBがアジアにおけるインフラ建設の推進を主要業務としていることから、両者は競争関係ではなく、相互補完関係にあると強調している。
その上、中国はAIIBを強力に支援するため、50%まで出資する意向を示していたが、必ずしも50%にこだわることなく、参加国が増えることにより、中国の出資率は下がっても構わないと説明している(新華網、「財政部長楼継偉がアジアインフラ銀行の設立準備について語る:世界経済の発展のウィンウィンに寄与」、2014年10月24日)【注2】。
しかし、NDBとAIIBが期待されているこのような効果を上げることができるかどうかを判断するのは時期尚早である。
NDBに関して、政治・経済状況が大きく異なるBRICS 5カ国が一緒に協力し合うことは、決して容易ではない。
一方、AIIBに関しては、圧倒的な力を持つ中国がその立場を利用し、もっぱら自国の利益を追求することがないかが懸念される。
これらの課題を克服することは、両機関が成功するための前提条件となろう。
【注1】 NDBとAIIBとは別に、2014年11月8日に、習近平主席は中国が400億ドルを出資して「シルクロード基金」を設立すると発表した(習近平、「コネクティビティー・パートナーシップ会議」での演説)。
同基金は、同年末12月29日に正式に発足した。
ただし、NDBとAIIBと違って、国際機関の形を取らず、中国人民銀行が管轄し、外貨準備のほか、中国投資有限責任公司(CIC)、中国国家開発銀行などが出資している。
(「シルクロード基金の運営が始まった」、中国人民銀行ウェブサイト、2015年2月16日)
【注2】 IMFと世界銀行を中心とする既存の国際金融秩序に異論を唱えてきたノーベル経済学賞受賞者であるコロンビア大学のJ・E・スティグリッツ教授も、中国が主導する新しい国際開発金融機関の設立を支持している。
(Stiglitz, Joseph E., “The Chinese Century,” Vanity Fair, January 2015)
(執筆者:関志雄 経済産業研究所 コンサルティングフェロー、野村資本市場研究所 シニアフェロー 編集担当:水野陽子)(出典:独立行政法人経済産業研究所「中国経済新論」)
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2015年3月10日(火) 9時9分
http://www.recordchina.co.jp/a103861.html
中国が世界的金融緩和競争に参戦か、
米国債売り・人民元安誘導も
=成長鈍化・デフレ回避へ背水の陣―中国経済情報筋
中国経済情報筋によると、中国が量的金融緩和(QE)を実施し、人民元の引き下げ誘導に乗り出す、との見方が広がっている。
世界景気の低迷を背景に欧州や日本をはじめとする各国で量的金融緩和競争が展開されている中で、中国がこれに参戦すれば世界経済に与える弊害が大きいと懸念されている。
李克強首相は第12期全国人民代表大会(全人代)第3回会議で、2015年の実質経済成長率の目標を14年より0.5ポイント低い「7%前後」とする方針を表明した。
公共投資などで高成長を達成してきたこれまでの政策を転換、経済改革を通じた安定成長への軟着陸を目指すことを打ち出した。
成長率目標に関し「必要性と可能性について考慮、客観的な実情に即した」と説明、「中国経済は『新常態(ニューノーマル)』に突入した」と強調し、年2ケタの伸びを続けるような高速成長が終わり、7%前後の中高速成長の時代に入ったとの認識を示した。
14年の中国実質成長率は7.4%と24年ぶりの低い伸びにとどまり、政府目標の7.5%に届かなかった。
景気の安定の重点目標として雇用確保を打ち出し、「都市部で年1千万人以上の新規就業」を目指すが、容易ではない。
物価上昇率目標を14年よりも0.5ポイント下げ、3%前後としたが、物価の伸びはこのところ大幅に鈍化しており、早晩、デフレ(物価下落)に陥るとの懸念も取りざたされている。
こうした中で出始めたのが、中国が本格的な金融緩和に踏み切るとの観測だ。
2008年のリーマンショック後、中国が50兆円規模の財政投資を実施、世界的な金融恐慌を食い止めた経緯がある。
その後、米国をはじめとする世界の先進各国は苦境を脱するため量的金融緩和に踏み切った。
日本の異次元緩和もその一環といえる。
その後米国の量的金融緩和(QE)は出口を探る動きとなっているが、日本、欧州はじめ多くの国で金融緩和競争が展開されている。
世界最大規模の消費・債権国家でもある中国がこれに加われば、影響は甚大だ。
中国人民銀行は、景気を支えるため昨年11月に約2年4カ月ぶりに利下げを実施、今年3月に追加利下げに踏み切った。
14年通年の消費者物価の伸びは2%にとどまり、高い金利水準維持の必要はない。
基準金利水準は依然高水準で、さらに利下げの余地はある。
15年1月も、主要70都市の新築住宅価格は続落し、下げ止まりの気配はない。
今後、中国人民銀行が本格的な量的金融緩和政策(QE)に踏み切れば、人民元安に拍車がかる懸念もある。
★.地方政府の抱える不良資産を買い取る形で、人民銀行が人民元を放出する可能性があるからだ。
中国の外貨準備を保有している人民銀行が地方政府の不良資産を買い取る元手として、米国債を売却するのではないかとの見方もくすぶる。
米国債売りと人民元安誘導がセットとなった中国版QEが実施されれば、世界のマーケットの波乱要因になるとの警戒感が世界市場で広がっている。
(八牧浩行)
』
「抜群に健全な中央が地方を救う」
とき、手持ちの米国債が売られる。
となると、何が起こる?
『
ロイター 2015/3/13 16:19 ロイター
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0M90HI20150313
アングル:米国で中国留学への関心低下、
しぼむ「高給取り」の夢
]
[上海 13日 ロイター] -
米国では過去数年、中国に留学して中国語を学ぼうとする学生の数が大幅に減少しているという。
米カリフォルニア大学交換留学プログラム(UCEAP)では、
★.中国への留学数は4年前の半数に満たない水準
になると予想されている。
また、ワシントンにある留学団体CETは、
★.2013年以降、中国への関心が低下し続けている
と明らかにした。
こうした関心低下を一部の中国専門家は憂慮している。
ウィルソン・センター・キッシンジャー米中関係研究所のロバート・ダリー所長は、両国関係の重要性を考えれば、中国語を話し、中国の文化を理解する人材がさまざまな業界に存在することは「国益に関わる問題」だと指摘。
「中国の言葉で理解しない限り、われわれは中国に論理的かつ効果的に、そして完全に対処することはできない」
と語った。
米国際教育研究所によると、海外留学生の数は全体として若干増加している一方、
★.2012─13年の中国への留学生数は前年比3.2%減の1万4413人だった。
★.対照的に、米国で学ぶ中国人留学生の数は2013─14年に前年比で16.5%増え、27万4000人を超えた。
<需要の減少>
米国の学生にとって、中国への留学にはいくつか「心配の種」がある。
★.1つは深刻な環境汚染。
★.そしてもう1つが雇用機会の減少だ。
留学経験のある中国人が増えており、中国の多国籍企業が採用するのはほとんどが中国人。
中国語が話せる外国人の需要は減りつつある。
「中国語を学んで給料の高い仕事に就けると考えて中国に留学したが、そうはならないことがすぐに分かった」。
こう語るのは米大学院生のイアン・ワイスガーバーさん(25)。
「自分と同じくらい英語が話せる中国人がたくさんいる。
それに、中国語は彼らの母語だ」
一方、前述UCEAPのゴードン・シェーファー氏は、中国への留学生数の減少は、連続して授業を取る必要がある科学やテクノロジー専攻の学生が増えていることも一因との見方を示した。
また複数の留学団体の幹部は、学生が中国の大学に自分たちで直接留学する傾向にあることが、従来の留学プログラム利用者が減少している原因の1つだとしている。
中国で学ぶ外国人留学生についてのリポートを執筆した、中国のシンクタンク「中国与全球化智庫」の王輝耀・理事長は、米国には中国への留学を斡旋する団体が少なすぎると指摘。
また、米国政府の対策不足にも不満を示した。
<将来の保証>
留学団体幹部の話によると、米学生が中国に滞在しても、その期間は短くなる一方であり、語学を学ぶより旅行が目的であることも多いという。
10年前の中国ブームの後は、中国語への関心は米学生の間で薄れているように見える。
語学教育で知られるバーモント州のミドルベリー大学では、
中国語の入門クラスの登録者数は、2007年時の約半数の水準だという。
同大学のトーマス・モラン教授は、昨年に中国語を履修した学生の総数は「過去10年で最低」だったと語った。
米近代語協会が先月発表した調査結果によると、米国の高等教育機関における
★.中国語の学習者数は2002─06年の間に50%増加し、
★.2006年からの3年間でさらに16%増えた。
★.しかし2009─13年は伸び率がわずか2%に減速した。
「結局は、お金の問題に行き着く」。
こう指摘するのは、中国留学に長年携わってきたジョン・トンプソン氏。
「最終的に報われるという保証が何もないのに、極めて難しい言語を習うため就職もせずに数年を棒に振るだろうか」
(Alexandra Harney記者、翻訳:伊藤典子、編集:宮井伸明)
』
サーチナニュース 【経済ニュース】 2015/03/07(土) 12:24
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2015&d=0307&f=business_0307_010.shtml
中国主導で相次いで設立される国際開発金融機関
― 既存の国際金融秩序への挑戦になるか ―
中国経済新論「中国の経済改革」-関志雄
中国は、習近平政権の下で、従来の「韜光養晦」(目立たずに力を蓄える)という方針を大きく転換し、より積極的な外交を展開するようになった。
その一環として、自らの主導で、
★.新開発銀行(New Development Bank, 以下NDB)や、
★.アジアインフラ投資銀行(Asian Infrastructure Investment Bank, 以下AIIB)
など、新しい国際開発金融機関の設立を進めている。
まず、2014年7月15日、中国、ブラジル、ロシア、インド、南アフリカの新興5カ国(BRICS)はブラジルのフォルタレザで開催された首脳会談で、NDBと外貨準備基金の創設に関する合意文書に調印した。
NDBの資本金は当初500億ドルで、5カ国が均等に出資。
最終的には1000億ドル規模への拡大を目指す。
本部は上海に置く。
初代総裁はインドから出すが、今後、BRICS各国が順番で担当することになっている。
外貨準備基金は1000億ドルの規模で、
中国が410億ドル、
インド、ロシア、ブラジルがそれぞれ180億ドル、南アフリカが50億ドル
を拠出する。
NDBと外貨準備基金の関係は、世界銀行とIMFの関係に似たようなものになると考えられる。
次に、習近平国家主席が2013年10月に東南アジア歴訪中に提唱したAIIBは、2014年10月24日に、中国、インド、シンガポールをはじめとする21カ国の代表が北京で設立に関する覚書に調印した。
その後、インドネシア、ニュージーランドなども加わり、2015年1月現在、メンバーの数は27カ国に達している。
AIIBの法定資本金は1000億ドルとし、当初は500億ドル規模から始める。
出資比率は、各国のGDP規模を反映させるように決め、中国は最大の出資国となる。
本部は北京に置く。
そして、上海協力機構開発銀行、上海協力機構発展基金の設立も検討されている【注1】。
中国政府による公式の説明では、これらの機関を設置する狙いは、資金不足に直面している発展途上国のインフラ建設と持続可能な発展を促進することであるが、アジアおよび世界における中国の影響力を高めるという狙いもあろう。
これに対して、米国は、中国がNDBとAIIBを梃子に既存の国際金融体制を揺るがそうとしていることを懸念している。
(Ratner, Ely, “Making Bank - Why China’s new infrastructure bank represents a challenge to the global order,” foreignpolicy.com, October 23, 2014)
実際、米国は一部の国に、アジアインフラ投資銀行に参加しないよう説得していたと伝えられている。
(Perlez, Jane, “U.S. Opposing China’s Answer to World Bank,“The New York Times, October 9, 2014)
米国の圧力を受けたせいか、日本、韓国、オーストラリアといった有力な候補は設立計画への参加を見送った。
米国のこのような疑念に対して、中国は次のように答えている。
まず、中国財政部の関係者によると、NDBは、インフラ建設および持続可能な発展を促進するという役割において、現行の多国間および地域の開発銀行と相互補完する。
また、NDBの設立は、BRICS諸国の国際経済事務における影響力と発言権を強めながら、グローバル経済ガバナンスシステムの公正で合理的な方向への発展を促進することができる(新華社、「BRICS開発銀行発足は一里塚としての意義がある」、2014年7月15日)。
また、中国財政部の楼継偉部長は、世界銀行とアジア開発銀行(ADB)など、既存の国際開発金融機関が主に貧困削減を目指しているのに対して、AIIBがアジアにおけるインフラ建設の推進を主要業務としていることから、両者は競争関係ではなく、相互補完関係にあると強調している。
その上、中国はAIIBを強力に支援するため、50%まで出資する意向を示していたが、必ずしも50%にこだわることなく、参加国が増えることにより、中国の出資率は下がっても構わないと説明している(新華網、「財政部長楼継偉がアジアインフラ銀行の設立準備について語る:世界経済の発展のウィンウィンに寄与」、2014年10月24日)【注2】。
しかし、NDBとAIIBが期待されているこのような効果を上げることができるかどうかを判断するのは時期尚早である。
NDBに関して、政治・経済状況が大きく異なるBRICS 5カ国が一緒に協力し合うことは、決して容易ではない。
一方、AIIBに関しては、圧倒的な力を持つ中国がその立場を利用し、もっぱら自国の利益を追求することがないかが懸念される。
これらの課題を克服することは、両機関が成功するための前提条件となろう。
【注1】 NDBとAIIBとは別に、2014年11月8日に、習近平主席は中国が400億ドルを出資して「シルクロード基金」を設立すると発表した(習近平、「コネクティビティー・パートナーシップ会議」での演説)。
同基金は、同年末12月29日に正式に発足した。
ただし、NDBとAIIBと違って、国際機関の形を取らず、中国人民銀行が管轄し、外貨準備のほか、中国投資有限責任公司(CIC)、中国国家開発銀行などが出資している。
(「シルクロード基金の運営が始まった」、中国人民銀行ウェブサイト、2015年2月16日)
【注2】 IMFと世界銀行を中心とする既存の国際金融秩序に異論を唱えてきたノーベル経済学賞受賞者であるコロンビア大学のJ・E・スティグリッツ教授も、中国が主導する新しい国際開発金融機関の設立を支持している。
(Stiglitz, Joseph E., “The Chinese Century,” Vanity Fair, January 2015)
(執筆者:関志雄 経済産業研究所 コンサルティングフェロー、野村資本市場研究所 シニアフェロー 編集担当:水野陽子)(出典:独立行政法人経済産業研究所「中国経済新論」)
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2015年3月10日(火) 9時9分
http://www.recordchina.co.jp/a103861.html
中国が世界的金融緩和競争に参戦か、
米国債売り・人民元安誘導も
=成長鈍化・デフレ回避へ背水の陣―中国経済情報筋
中国経済情報筋によると、中国が量的金融緩和(QE)を実施し、人民元の引き下げ誘導に乗り出す、との見方が広がっている。
世界景気の低迷を背景に欧州や日本をはじめとする各国で量的金融緩和競争が展開されている中で、中国がこれに参戦すれば世界経済に与える弊害が大きいと懸念されている。
李克強首相は第12期全国人民代表大会(全人代)第3回会議で、2015年の実質経済成長率の目標を14年より0.5ポイント低い「7%前後」とする方針を表明した。
公共投資などで高成長を達成してきたこれまでの政策を転換、経済改革を通じた安定成長への軟着陸を目指すことを打ち出した。
成長率目標に関し「必要性と可能性について考慮、客観的な実情に即した」と説明、「中国経済は『新常態(ニューノーマル)』に突入した」と強調し、年2ケタの伸びを続けるような高速成長が終わり、7%前後の中高速成長の時代に入ったとの認識を示した。
14年の中国実質成長率は7.4%と24年ぶりの低い伸びにとどまり、政府目標の7.5%に届かなかった。
景気の安定の重点目標として雇用確保を打ち出し、「都市部で年1千万人以上の新規就業」を目指すが、容易ではない。
物価上昇率目標を14年よりも0.5ポイント下げ、3%前後としたが、物価の伸びはこのところ大幅に鈍化しており、早晩、デフレ(物価下落)に陥るとの懸念も取りざたされている。
こうした中で出始めたのが、中国が本格的な金融緩和に踏み切るとの観測だ。
2008年のリーマンショック後、中国が50兆円規模の財政投資を実施、世界的な金融恐慌を食い止めた経緯がある。
その後、米国をはじめとする世界の先進各国は苦境を脱するため量的金融緩和に踏み切った。
日本の異次元緩和もその一環といえる。
その後米国の量的金融緩和(QE)は出口を探る動きとなっているが、日本、欧州はじめ多くの国で金融緩和競争が展開されている。
世界最大規模の消費・債権国家でもある中国がこれに加われば、影響は甚大だ。
中国人民銀行は、景気を支えるため昨年11月に約2年4カ月ぶりに利下げを実施、今年3月に追加利下げに踏み切った。
14年通年の消費者物価の伸びは2%にとどまり、高い金利水準維持の必要はない。
基準金利水準は依然高水準で、さらに利下げの余地はある。
15年1月も、主要70都市の新築住宅価格は続落し、下げ止まりの気配はない。
今後、中国人民銀行が本格的な量的金融緩和政策(QE)に踏み切れば、人民元安に拍車がかる懸念もある。
★.地方政府の抱える不良資産を買い取る形で、人民銀行が人民元を放出する可能性があるからだ。
中国の外貨準備を保有している人民銀行が地方政府の不良資産を買い取る元手として、米国債を売却するのではないかとの見方もくすぶる。
米国債売りと人民元安誘導がセットとなった中国版QEが実施されれば、世界のマーケットの波乱要因になるとの警戒感が世界市場で広がっている。
(八牧浩行)
』
「抜群に健全な中央が地方を救う」
とき、手持ちの米国債が売られる。
となると、何が起こる?
『
ロイター 2015/3/13 16:19 ロイター
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0M90HI20150313
アングル:米国で中国留学への関心低下、
しぼむ「高給取り」の夢
]
[上海 13日 ロイター] -
米国では過去数年、中国に留学して中国語を学ぼうとする学生の数が大幅に減少しているという。
米カリフォルニア大学交換留学プログラム(UCEAP)では、
★.中国への留学数は4年前の半数に満たない水準
になると予想されている。
また、ワシントンにある留学団体CETは、
★.2013年以降、中国への関心が低下し続けている
と明らかにした。
こうした関心低下を一部の中国専門家は憂慮している。
ウィルソン・センター・キッシンジャー米中関係研究所のロバート・ダリー所長は、両国関係の重要性を考えれば、中国語を話し、中国の文化を理解する人材がさまざまな業界に存在することは「国益に関わる問題」だと指摘。
「中国の言葉で理解しない限り、われわれは中国に論理的かつ効果的に、そして完全に対処することはできない」
と語った。
米国際教育研究所によると、海外留学生の数は全体として若干増加している一方、
★.2012─13年の中国への留学生数は前年比3.2%減の1万4413人だった。
★.対照的に、米国で学ぶ中国人留学生の数は2013─14年に前年比で16.5%増え、27万4000人を超えた。
<需要の減少>
米国の学生にとって、中国への留学にはいくつか「心配の種」がある。
★.1つは深刻な環境汚染。
★.そしてもう1つが雇用機会の減少だ。
留学経験のある中国人が増えており、中国の多国籍企業が採用するのはほとんどが中国人。
中国語が話せる外国人の需要は減りつつある。
「中国語を学んで給料の高い仕事に就けると考えて中国に留学したが、そうはならないことがすぐに分かった」。
こう語るのは米大学院生のイアン・ワイスガーバーさん(25)。
「自分と同じくらい英語が話せる中国人がたくさんいる。
それに、中国語は彼らの母語だ」
一方、前述UCEAPのゴードン・シェーファー氏は、中国への留学生数の減少は、連続して授業を取る必要がある科学やテクノロジー専攻の学生が増えていることも一因との見方を示した。
また複数の留学団体の幹部は、学生が中国の大学に自分たちで直接留学する傾向にあることが、従来の留学プログラム利用者が減少している原因の1つだとしている。
中国で学ぶ外国人留学生についてのリポートを執筆した、中国のシンクタンク「中国与全球化智庫」の王輝耀・理事長は、米国には中国への留学を斡旋する団体が少なすぎると指摘。
また、米国政府の対策不足にも不満を示した。
<将来の保証>
留学団体幹部の話によると、米学生が中国に滞在しても、その期間は短くなる一方であり、語学を学ぶより旅行が目的であることも多いという。
10年前の中国ブームの後は、中国語への関心は米学生の間で薄れているように見える。
語学教育で知られるバーモント州のミドルベリー大学では、
中国語の入門クラスの登録者数は、2007年時の約半数の水準だという。
同大学のトーマス・モラン教授は、昨年に中国語を履修した学生の総数は「過去10年で最低」だったと語った。
米近代語協会が先月発表した調査結果によると、米国の高等教育機関における
★.中国語の学習者数は2002─06年の間に50%増加し、
★.2006年からの3年間でさらに16%増えた。
★.しかし2009─13年は伸び率がわずか2%に減速した。
「結局は、お金の問題に行き着く」。
こう指摘するのは、中国留学に長年携わってきたジョン・トンプソン氏。
「最終的に報われるという保証が何もないのに、極めて難しい言語を習うため就職もせずに数年を棒に振るだろうか」
(Alexandra Harney記者、翻訳:伊藤典子、編集:宮井伸明)
』
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