
●中国が軍事基地化しようとしている環礁と軍事基地の位置関係
沖縄~シンガポール間約4000キロメートルは米軍基地の空白地帯となっている
(出所)各種資料をもとにウェッジ作成
『
AFP 2015年04月12日 19:48 発信地:マニラ/フィリピン
http://www.afpbb.com/articles/-/3045181
中国の埋め立てで拡大するミスチーフ礁、衛星写真で確認

●米シンクタンク、戦略国際問題研究所が運営するオンラインサイト「アジア海洋透明性イニシアチブ」に掲載された南沙諸島(英語名:スプラトリー諸島)のミスチーフ礁を捉えた衛星画像。中国の船が浚渫作業中とみられる(2015年3月16日撮影、同4月11日提供)。(c)AFP/CSIS Asia Maritime Transparency Initiative/DigitalGlobe
【4月12日 AFP】人工衛星写真を提供する米デジタルグローブ(DigitalGlobe)が撮影、米シンクタンクの戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies、CSIS)がAFPに提供した、南シナ海(South China Sea)の南沙諸島(英語名:スプラトリー諸島、Spratly Islands)にあるミスチーフ礁(Mischief Reef)で浚渫(しゅんせつ)工事を進める中国籍とみられる船団。
衛星写真からは、ミスチーフ礁が浚渫土砂により拡大しているのが確認できる。
中国政府は9日、同国のほかフィリピンとベトナム、マレーシア、ブルネイ、台湾が領有権を主張しているこの海域に、自国が人工島を建設する権利を改めて主張した。(c)AFP
』
ロイター 2015年 04月 9日 12:12 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0N003L20150409/
中国が南シナ海で埋め立て作業加速、揚陸輸送艦の姿も
[9日 ロイター] -
南シナ海のミスチーフ礁(中国名・美済礁)で、中国が埋め立て作業を加速させていることが、最新の衛星画像で明らかになった。
同礁はフィリピンの排他的経済水域(EEZ)内にある。
中国はフィリピンなどと領有権を争う南シナ海のスプラトリー諸島(南沙諸島)で、次々と岩礁の埋め立てを進めている。
ロイターは今年2月、中国が同諸島で他にも6つの岩礁で人工島の建設を進めていることを確認。
同海域での中国の動きに対しては、周辺諸国が警戒感を強めており、米政界からも非難の声があがっている。
今回の画像は3月16日付で、米有力シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)が公表した。
複数の作業船の姿があり、護岸工事が進められている様子が見える。
また2月1日付の画像からは、同礁から数百メートル離れた場所に中国の揚陸輸送艦の姿も確認できる。
CSISは、こうした艦船は最大で兵士800人、水陸両用装甲車20台を積載可能だとしている。
日米防衛相会談で来日したカーター米国防長官は8日、中国が南シナ海で進める岩礁の埋め立てを念頭に「軍事化に強く反対する」と強調。
こうした批判に対し、中国側は、岩礁周辺での活動は「中国の主権の範囲内」に含まれると反発している。
*内容を追加して再送します。
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2015年4月12日(日) 11時31分
http://www.recordchina.co.jp/a105983.html
オバマ米大統領、南シナ海をめぐる中国の動きを「弱い者いじめ」と批判
=米国ネットは「中国は注目を集めたいんだ」
「大統領は米国民をいじめている」
2015年4月10日、ロイター通信によると、オバマ米大統領は9日、中国が南シナ海で領有権を主張して活動していることは周辺国に対する弱い者いじめだと述べて、懸念を示した。
この報道に、米国のネットユーザーがコメントを寄せている。
ロイター通信の報道によると、オバマ米大統領は9日、訪問先のジャマイカで、中国が南シナ海で領有権を主張して活動していることに懸念を示していると述べた。
オバマ大統領は、ジャマイカで若者との会合に出席し、中国が南シナ海で領有権を主張して行っている岩礁の埋め立て工事などの活動について、フィリピンやベトナムなど、国土の規模が小さい周辺国に対して
「国際的な規範を守らず、国土の大きさや力で他国を従属させようとしている態度」
であると述べ、「弱い者いじめ」であると批判した。
この報道に、米国のネットユーザーがコメントを寄せている。
「オバマ大統領は中国を非難する時に言葉を選ぶべきだ」
「アメリカは中国を恐れている」
「中国は既存の国際法には従わず、自分たち独自の国際法を作る」
「この件についてオバマ大統領以上に怒っている人間なんて誰もいない」
「海に赤い線を引くことは可能だろうか?」
「中国はとにかく注目を集めたいんだよ」
「アメリカが中国を批判するなんて驚きだな」
「私は、オバマ大統領がアメリカ国民をいじめていることを懸念しているよ」
』
『
WEDGE Infinity 日本をもっと、考える
2015年04月14日(Tue) 香田洋二 (ジャパンマリンユナイテッド顧問 元自衛艦隊司令官)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4861
南シナ海の中国化防ぐ
豪への潜水艦輸出
中国は南シナ海で環礁埋め立てによる軍事基地の建設をすすめる。
アジア太平洋地域における米軍の対中優位を維持するには日米に加え、豪との一体的な潜水艦運用が効果的だ。
2月20日、オーストラリア(豪)アンドリューズ国防相が2020年代に退役するコリンズ級潜水艦6隻に代わる新たな潜水艦(新型SS)の導入について
「日、独、仏が提携相手になる能力があるか選定するプロセスに加わる」
と述べた。
豪は戦略文書において
「世界においてアジア太平洋地域へ戦略重心が移動する歴史的シフトが進行している」
とし、これに的確に対応するため
(1).豪軍の戦力強化、
(2).アジア太平洋地域への関与の強化
が必要としている。
戦力強化面では積極的な兵力整備計画である「戦力2030」を発表しており、本構想は大国間関係の変化及び豪周辺諸国の軍事力拡大の両リスクに対して確実に対応しうる軍事力、特に在来兵力による抑止力を構築するものである。
その実現には財政事情等もあり不透明な面もあるが、本計画において豪政府が最も重視するのは潜水艦を新型SS12隻へと倍増する構想である。
また、注目すべきは兵力整備のあらゆる要素を考慮した結果、
★.原子力潜水艦を採用した場合に必要な生産・整備補給・教育訓練・核廃棄物処理等に必要な国家的資源が、国家としての負担限界をはるかに超えたもの
となることから、豪政府は在来型(ディーゼル型)に限定していることである。
豪が新型SSを重要視する理由は中国による海洋活動の活発化にほかならない。
近年の中国の経済発展とこれに支えられた海軍兵力の増強と強引な海洋活動の活発化は、周辺諸国のみならず世界の関心事となっている。
特に、南シナ海において中国は国際法上も歴史的にも全く根拠のない「牛の舌の形をした9段線」(Nine-Dashed Line)と称される海域に対する占有的な権利を主張しており、南シナ海では周辺諸国のみならず我が国や米国との対立が先鋭化している。
当面米軍に対して質量両面で劣る中国軍は本格的な軍事衝突を避けて米軍の弱点を突く能力を構築して米軍のアジアにおけるプレゼンス(平時)、介入(危機)及び軍事作戦(有事)を抑止するための
「近接阻止・領域使用拒否(Anti-Access Area Denial:A2AD)戦略」
を打ち出して、
戦わずして米国民の意志を減退させて米軍の展開と介入を阻止
しようとしている。
これに対し米国はリバランスに代表されるアジア太平洋重視政策に基づき、軍事面では米軍の
プレゼンス・近接確保(Presence/Access Assurance)戦略
を推進している。
また、米国は米軍の対中優位を維持するとともに同盟国との連携強化を推進している。
その柱が日米同盟体制であるが、同時に米豪同盟の意義も大きい。
四周環海の豪は米豪同盟を安全保障の基本とした上で周辺諸国とは積極的に友好関係を推進しており、一時懸念されたインドネシアとの関係も改善し喫緊の安全保障上の不安はない。
その前提で、大国間関係の変化及び周辺諸国の軍事能力強化が進捗した場合、豪に対する負の影響は全て海・空を経ての脅威であるとの認識の下、豪は
(1).自国にとって好ましくない安全保障環境の出現を防止するとともに、仮に
(2).その事態が生起したとしても悪化を制御し、更に
(3).最悪の事態に陥った場合でも脅威を確実に排除することができる通常戦力による戦略打撃機能の保有を軍事力整備の目的
としている。
新型SSは空軍のF/A-18E/F(将来はF-35)とともに本目標を達成する柱と位置づけられ、その任務は対水上・対潜戦、機雷敷設、対地攻撃(戦略打撃)、戦略監視偵察、特殊作戦支援等と考えられる。
公刊資料から推察すると以上の任務を達成し得る新型SSは水中排水量約4000トン、米国製の戦闘指揮システムを装備し、主要兵器として魚雷・巡航ミサイル・機雷を搭載可能な航続距離1万2000海里程度の潜水艦となる。
また推進システムは航続距離を延伸する観点からAIP(非大気依存推進型)システムやリチウムイオン電池の採用が有力である。
これらの厳しい要求を満足する潜水艦は世界で唯一海自主力の「そうりゅう」級を基本とした艦と考えられるが、独・仏はこうした潜水艦を保有しないものの建造可能として本整備計画への参加意思を表明している。
一時顕在化した豪国内での開発・建造案は15年2月末現在では沈静化している。

●海上自衛隊の「おやしお」級(左)と「そうりゅう」級潜水艦(JIJI)
以上の通り新型SSの運用要求は極めて野心的なものであり、搭載武器も米国製の戦闘指揮システム及び魚雷と対艦ミサイルに加え巡航ミサイルが考えられる。
また特殊作戦支援機能を具現する艦外設置型シェルターの導入もあり得る。
建造技術面では主要武器が米軍現用の最新型のものとなることから当該装備を狭隘な船体に作り込む(「艤装」)ことが求められ、通常型としては極めて大型の潜水艦となった。
この様な大型かつ高度な装備を搭載する新型SSを建造するため建造所には高度な技術力が求められることも明白である。
また、艤装に際しては米海軍・米国武器製造会社との緊密な連携も必須となるが、米国との関係も考慮した場合、本計画に関心を示す各国のうち上述の各要素を全て満たすのは我が国のみと考えられる。
運用面では日豪両国の最新潜水艦による自国の国益保護面の貢献に加え、海自と豪海軍が共通のプラットフォームを運用することは両者の相互運用性の向上のみならず、両国潜水艦がもたらす高度の作戦能力が米海軍部隊運用の柔軟性を向上させ、結果的に米国との同盟を強化することになる。
独/仏との協力となった場合には米国の最大同盟パートナーである我が国がその枠組み外となり、
米国を中心とした当地域の包括的な安全保障体制構築向上への寄与の程度が日豪協力に比べ低くなるため、以上を総合的に判断すれば新型SSにおける日豪協力の意義は際立っている。
豪中両国の関係は友好を基本としているが、同時に中国は豪周辺海域、特に南シナ海において9段線に代表される国際規範とは異なる独自の主張を展開し強圧的な活動を実施している。
この中国の目標は
(1).南方の防衛域外縁の拡大、
(2).戦略海洋核戦力(SSBN)の展開と防護、
(3).海上交通の保護及び
(4).周辺諸国への影響力行使
である。
■米中軍事バランスに与える影響
その柱が南沙諸島の複数の環礁の埋め立てと港湾・航空基地の建設、空母機動部隊の整備、海南島三亜の大規模海軍基地建設とSSBNの配備である。
環礁の埋め立てでは既に軍事基地化が完成している西沙諸島のウッディ島に加え、南沙諸島のファイアリークロス環礁等数カ所が埋め立て中であり、将来はマニラ西方にあり13年にフィリピンから強奪したスカボロー礁まで及ぶ公算がある。
これらの環礁の施設整備にはあらゆる軍用機の運用が可能な平行誘導路が付随した全長2500メートル以上の滑走路と、大型艦船用の水深を有する港湾が含まれていることは確実である。
逆にこの地域の米軍基地は立ち寄り実績のある豪軍基地等を除けば、沖縄以西の南シナ海・インド洋を含む広大な地域に極めて小規模のシンガポール(艦船)とディエゴガルシア島(航空機)しかない。
このことから、我が国の支援機能と洋上補給による海軍力のプレゼンスを最大活用するとしても、米軍の作戦及び後方支援両面において限界が存在することは明白である。
これらを総合的に考慮した場合、中国が実施中の環礁の埋め立て・施設整備が完成した暁には南シナ海中部に出現する三角形状の海空域における米中軍事バランスに悪影響を与えることも懸念される。
次に中国が空母機動部隊を戦力化して南シナ海で運用する場合、仮に米軍のプレゼンスが低下したとすれば同海域の戦略バランスが中国側に傾くことは明白である。
また、三亜基地に配備される中国SSBNに搭載される戦略弾道弾JL-2の射程(5000キロメートル)では南シナ海から米国主要部に到達しないため、SSBNは太平洋・インド洋において行動する必要がある。
このため中国は三亜から両海域へ出撃・帰投するSSBN防護を確実にするため、同海域における制海権の確立を目指すことは兵理の常識である。
もし中国A2ADの狙い通り米国のアジア太平洋地域への介入意図が萎えた場合には、米軍のプレゼンスが低下し介入が遅れることとなり、当地域における中国の冒険主義を抑えきれなくなる恐れが高い。
勿論、米国はA2ADに対して毅然と臨むことを表明しているが、ここで米戦略支援上、豪新型SSが大きな意義を持つ。
そもそも水中で湾曲する音波を使用することから潜水艦探知は非常に難しく、対潜戦能力が高いといわれる日米であっても行動中の自国以外の潜水艦の所在を全て確実に把握することはできないのが一般的である。
日米に比べ対潜戦能力が立ち遅れている中国海軍は、これを自覚し鋭意向上中とはいえ、今後10年強の間は日米にははるかに及ばないと見積もられる。
新型SSの巡航ミサイルによる戦略打撃能力は中国の環礁埋め立て基地の一部を無力化するに十分であり、また対艦ミサイル及び魚雷攻撃により中国にとって虎の子かつ国家の誇りである空母そのものを海底に葬り去ることも可能となる。
更に三亜基地に対する戦略打撃力及び同基地から行動するSSBNに対する対潜戦能力も中国の戦略立案上無視できない要素である。

●中国にとって虎の子である空母「遼寧」(SHINKASHA/AFLO)
以上が新型SSの中国に与えるに与える戦略的影響であり、中国海軍にとってはわずか12隻とはいえ、その脅威が極めて高いことから、中国は本計画と日豪協力に対し、あらゆる手段を講じて反対することが予測される。
我が国はこの様な外乱に惑わされることなく、大局的見地から官民一体となり整斉と取り組むことが肝要である。
本件は防衛産業初の大規模国際協力であり全てが未知であるが、両国政府の支援を得た最適の業務分担体制を確立することにより建造、運用・後方支援の各分野において真に我が国益に貢献する日豪防衛協力を実現することができる。
』
『
ロイター 2015年 04月 22日 08:35 JST
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPKBN0NC2OL20150421?pageNumber=1&virtualBrandChannel=0
焦点:自衛隊の後方支援拡大へ、
フィリピン有事なら米軍に弾薬提供
[東京 22日 ロイター] -
安倍政権が今国会中の成立を目指す新たな安全保障法制によって、米軍に対する自衛隊の後方支援の地理的範囲が拡大する。政府は想定される具体的な事態を明らかにしていないが、
★.可能性のあるシナリオの1つはフィリピン有事。
複数の関係者によると、中国と武力衝突したフィリピンとともに戦う米軍に、自衛隊は弾薬や燃料を提供できるようになる。
■<シーレーン有事、日本に影響と判断>
政府と自民・公明両党は、5月中旬に法案を閣議決定することを目指し、新たな安保法制の協議を積み重ねてきた。
米軍に対する後方支援を地理的に広げるのが柱の1つだが、どうような事態を想定しているのか、政府はこれまで具体例を明示してこなかった。
しかし、複数の関係者や専門家が可能性として指摘するのはフィリピン有事。南シナ海では中国と周辺諸国の緊張が続いている。
このうちフィリピンは米国と軍事同盟を結んでおり、中国との争いが武力衝突に発展すれば、相互防衛条約に基づき米軍が参戦する可能性がある。
★.「フィリピンが中国と衝突したら同盟国の米軍にSOSが行く。
その米軍から自衛隊の支援を要請されたら日本はどうするのか。
これは議論になると思う」
と、安保政策に精通する自民党関係者は話す。
南シナ海の領有権をめぐるフィリピンと中国の対立は、ここにきて一段とエスカレートしている。
中国はフィリピンの排他的経済水域(EEZ)で岩礁の埋め立てを加速し、軍事拠点化を進めようとしている。
一方のフィリピンは埋め立て工事の衛星写真を公開し、中国をたびたび非難している。
4月20日からは、米国とフィリピンがここ15年間で最大規模の合同演習を開始した。
「不測の衝突が起きる可能性は高まっている。
フィリピンは米国の関与が強まっていると考え、つまり米国の拡大抑止力が効いていると考え、強気に出る可能性がある。
当局が中国漁船を拿捕するようなことが再び起きるかもしれない」
と、安全保障が専門の拓殖大学の川上高司教授は言う。
「中国も国内事情などを考えて強硬な姿勢を取る可能性がある」
と、同教授は指摘する。
複数の政府・与党関係者によると、中国とフィリピンの武力衝突に参戦した米軍に対し、自衛隊は後方支援ができるようになるという
日本は南シナ海で領有権を争う当事国ではないが、同海域は世界の漁獲量の1割を占める有数の漁場であるとともに、年間5兆ドル規模の貨物が行き交う貿易ルート上の要衝でもあり、その多くが日本に出入りしている。
政府関係者の1人は
「南シナ海は日本の重要なシーレーン(海上交通路)。
有事が起きて航行に支障が出れば、日本経済に重大な影響が及ぶ」
と述べ、自衛隊を後方支援に派遣する要件に該当すると指摘する。
米太平洋軍司令官を務めたデニス・ブレア元海将は、中国とフィリピンが武力衝突する可能性は低いとする一方、
★.仮に衝突すれば停戦に向け米軍が介入するシナリオ
に言及する。
ブレア氏は
★.「米国は双方を引き離すために周辺空域と海域を封鎖しようとするだろう」
と話す。
■<フィリピンの軍事力向上を支援>
政府と与党は新たな安保法制で、周辺事態法を改正することを決めている。
1999年にできた現行法は、日本周辺で有事が起きた場合に、米軍に水や燃料といった物資、捜索や救助といった役務の提供を可能にしており、
具体的には朝鮮半島を念頭に置いている。
★.改正後は地理的制約がないことを明確にし、「重要影響事態安全確保法」と改称。
世界のどこで武力紛争が起きようと、日本の平和と安全に重要な影響を与える事態と判断すれば、そこで軍事行動する米軍を自衛隊が後方支援できるようになる。
さらに豪軍を念頭に、支援対象を米軍以外に広げるほか、弾薬提供や発進準備中の戦闘機への給油など、支援内容も拡充する方向で調整している。
防衛省の報道官はロイターの取材に対し、
「どのような事態が『重要影響事態』に該当するかは個別具体的な状況に応じて判断される。
あらかじめ該当するか否かを論じることはできない」
としている。
法案には自衛隊が後方支援を行う要件として、現に戦闘が起きている現場ではないことや、国会の承認を得ることも盛り込まれる見通しだ。
一方、フィリピン有事に米軍を後方支援することは、日本にとって避けたいシナリオでもある。
自衛隊の行動が中国から武力行使とみなされ、日本が攻撃の対象になる可能性を否定できないからだ。
日本は2月にフィリピンと防衛協力の覚書を交わすなど、軍事関係の強化を急いでいいる。
共同訓練の本格化をはじめ、フィリピンの軍事能力向上を支援することで、不測の衝突が起きないよう抑止力を高める狙いがあると、政府関係者は指摘する。
(久保信博、ティム・ケリー 編集:田巻一彦)
』
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JB Press 2015.4.23(木) 北村 淳
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43589
もうどの国にも止められない中国の人工島建設

●南シナ海・南沙諸島(スプラトリー諸島)のジョンソン南礁で中国が進めている工事を写したとされる写真。フィリピン外務省提供(撮影日不明)。(c)AFP/DEPARTMENT OF FOREIGN AFFAIRS (DFA)〔AFPBB News〕
中国がすでに736億元を投入して建設を推し進めている南沙諸島のファイアリークロス礁人工島で、3000メートル級滑走路の本格的な建設がいよいよ始まった。
本コラムでもたびたび取り上げているように、この他にもクアテロン礁、ジョンソンサウス礁、ヒューズ礁、ガベン礁、スービ礁が“人工島”として生まれ変わりつつあり、ミスチーフ礁も中国がコントロールしている(参考:「中国のサラミ・スライス戦略、キャベツ戦術の脅威」「人工島建設で南シナ海は中国の庭に」「結局アジアは後回し?中国の人工島建設を放置するアメリカ」など)。
このような動きを受けて、先週ドイツで開かれたG7外相会合で発せられた声明には、南シナ海や東シナ海での中国による軍事力を背景にした拡張主義的海洋戦略に対する“強い懸念”が盛り込まれた。
当然のことながら、中国外務省はじめ中国共産党政府はこの声明に対して反発し、とりわけ日本とアメリカに対して強い不満を表明している。

●南沙諸島で中国が建設を進める人工島
■中国に自制を求めたG7外相会合
G7外相会合声明では、以下のように南シナ海と東シナ海での領域紛争に関連する懸念が書き込まれている。
「G7(アメリカ、日本、カナダ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア + EU)は、
領域あるいは海洋(における権益)に関する紛議を威嚇、強制、軍事力を用いて解決しようとする試みには断固として反対する。
関係諸国には、国際法や国際調停システムを利用するなど平和的な紛争解決を図ることを呼びかける。
G7は、永続的な地形の変化を海洋環境に加えてしまうような一方的行動に対する沿岸諸国の反対意思を尊重する」
こうした原則的表明に加えて、次のように具体的な“名指し”に近い表現で中国に強く自制を求めた。
「G7は、東シナ海と南シナ海における、大規模な埋め立て作業のような、
現状維持を崩して緊張を高める一方的行動を憂慮し観察を続ける」
■アメリカに対する中国の反駁
このG7外相声明が発せられる直前にも、アメリカのオバマ大統領やケリー国務長官らが、南シナ海での中国による軍事力を背景にした威圧的政策を批判した。
それらの批判に対して、中国外務省や共産党系メディアは下記のように強く反駁していた。
「南シナ海での領域紛争では、中国こそが被害者なのだ。
中国の領域である南シナ海のいくつかの島嶼をフィリピンやベトナムは占領しており、飛行場まで設置している島嶼もある。
ところが、これら諸国はあたかも中国の圧迫を受けているかのように見せかけることにより国際社会にアピールしている。
そして、その見せかけを百も承知でアメリカ政府は南シナ海の領域紛争に干渉しようとしている。
アメリカ政府は、第三国間の領土紛争には関与しないとしているにもかかわらず、
南シナ海だけでなく東シナ海でも日本と中国の領域紛争に口出ししている」
「このようにアメリカ政府が干渉する真意は、南シナ海や東シナ海での紛争をあおり立てて、アジア太平洋地域におけるアメリカの影響力を確保しようという魂胆からであることは誰の目にも明らかである。
アメリカの政治的指導者たちによる無責任な主張は、
南シナ海での領域紛争をさらに引っ掻き回して地域の平和と安定に打撃を加え緊張を高める以外のなにものでもない」
■日本に対しても強烈に非難
G7外相会合声明が発せられると、中国共産党系英文メディアは上記のようなアメリカへの反駁に加えて、日本に対する強烈な非難を展開している。
「G7外相会合声明に、わざわざ南シナ海における領域紛争が取り上げられたのは、日本がこの問題を書き込むように執拗に根回しをした結果である。
日本はG7外相会合という多国籍枠組みを利用して、南シナ海で中国が周辺諸国を脅かしているかのごとき印象を国際社会に宣伝することによって、東シナ海でも日本が圧迫されているかのごとき演出をなそうとしているのだ」
「このような動機に加えて、日本は、安倍首相による第2次世界大戦降伏70年声明や、戦時の残虐行為に対して懺悔をしないという方針から国際社会の関心を薄れさせる、という意図もある。
日本政府が自己中心的な利益と目的のためにG7という国際的舞台を利用したことは、まさに恥ずべき行為と言えよう」
「このような日本の動きは、中国が最近、ASEAN諸国、とりわけベトナムと平和的に領域紛争を解決しようとしている努力に水を指すものである。
日本による南シナ海問題への介入は地域の安定と平和の維持を危殆(きたい)に瀕せさせようとするものである。
・・・日本は、再び、誤ったタイミングで誤った地域に口出しするという愚かな過ちを犯しているのだ」
■「人工島には民間施設を設置する」と説明
上記のような日本やアメリカに対する反論・非難と同時に、中国共産党政府は
「南シナ海に建設中の人工島には数多くの民間用施設が設置されることになり、中国のみならず南シナ海周辺諸国や南シナ海を利用する国際社会にとり大きな貢献をなす」
という説明も公表した。
中国当局による人工島建設に関する公式発表は極めて珍しい。
中国外務省によると、南シナ海のいくつかの環礁での埋め立て作業によって誕生する人工島では、科学的研究活動、気象観測、環境保護活動、漁業活動などが許可されることになるという。
そして、それら非軍事的諸活動のために、航海用設備や施設、緊急避難施設、捜索救難用施設なども建設されることになることが明らかにされた。
中国海警や公船を配して「中国の海」を拡大
もちろん、南シナ海に続々と誕生する中国人工島が、中国海軍を中心とする軍事拠点として利用されることは当然である。
ただし、それらの人工島に非軍事的な民間施設が多数建設されることにより、人工島は単なる軍事施設ではなくなることになる。
したがって人工島には海軍施設が存在することになるものの、人工島周辺海域の警備は第一義的には人民解放軍ではなく「中国海警(China Coast Guard)」が任じることになる。
中国海警は法執行機関であるとはいうものの“第2海軍”として位置づけられている。
実際に中国海警の巡視船は質量ともに強化され続けており、第5軍と位置づけられている「アメリカ沿岸警備隊」を凌駕して“世界最強”の沿岸警備隊になりつつあるとアメリカ海軍では警戒を強めている。
しかしながら、中国海警はあくまで法執行機関である以上、中国海警の公船に米海軍や自衛隊の軍艦が先制的にアクションを起こすことは絶対に避けねばならない(たとえ防御的攻撃をなしても、軍艦による“非軍艦”に対する先制攻撃となってしまう)。
したがって、人工島の“運用”が開始され、中国海警による警戒活動が実施されると、たとえ人民解放軍艦艇や航空機が人工島を本拠地にしていても、南シナ海周辺諸国やアメリカなどの軍艦は、中国人工島周辺海域に接近することをためらわなければならない状況となってしまうのである。
そして、尖閣周辺海域のように人工島周辺海域にも中国海警その他の中国公船や民間船が常時姿を見せつつある状況を続けることにより、名実ともに「中国の海」は拡大していくのである。
』
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