2015年4月2日木曜日

アジアインフラ投資銀行(2):アジア開銀と並び立つ存在、乱立する国際金融機関、「サブプライム危機」再来も

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2015/04/01 23:56   【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/201504/CN2015040101001475.html

投資銀、創設メンバー50超に アジア開銀と並び立つ存在

 【北京共同】中国が主導して設立する国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)は1日、50超の国・地域が創設メンバーとして参加する見通しになった。
 4月15日前後にメンバーが確定する。

 日米主導のアジア開発銀行(ADB)は67の国・地域が加盟。AIIBはやや少ないが、ADBと並び立つ存在感を放ちそうだ。

 創設メンバーとなるための申請期限は3月31日。日米は期限までに参加表明していない。
 中国財政省の発表では48カ国が参加申請した。中国国営通信の新華社(電子版)などによると、イスラエルが4月1日までに参加表明。
 ノルウェー、台湾も参加申請などしている。



レコードチャイナ 配信日時:2015年4月1日(水) 18時1分
http://www.recordchina.co.jp/a105322.html

AIIBに「日本は数カ月以内に参加の見通し」との報道を、日本政府が否定
=米国ネット「忠実な犬が瀕死の飼い主に…」
「みんなすぐに脱退するだろ」

 2015年3月31日、AFP通信によると、中国主導で設立準備が進んでいる「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)をめぐり、木寺昌人駐中国大使が日本は数カ月以内に参加する見通しであると述べたとの報道を、日本政府が否定した。

 記事では、木寺昌人駐中国大使が英紙フィナンシャル・タイムズに「日本は数カ月以内にも参加する見通しである」と述べたことを伝えている。
 この報道を受けて、菅義偉官房長官は31日の記者会見で、木寺大使がそのような発言をしたのは事実ではないと述べ、報道を否定した。
 菅官房長官はまた、AIIBで公正なガバナンスが確立されるのか懸念があるとの見解を示した。

この報道に、米国のネットユーザーがコメントを寄せている。

「現代の金融システムはお笑い草だ。
 そしてまた新たなお笑い種が出てきた」
「AIIBにとって、日本が参加しない見通しだということはいいニュースなんだろう」

「日本は米国の許可が出なければ参加しないだろうな」
「いいことだ。
 米国と日本が一緒に切腹する時が来ている」
「忠実な犬が瀕死の飼い主にしがみついているという痛ましい状況だな。
 日本は本当に忠実だ

「中国主導の銀行に誰が参加するかが、なぜそんなに関心事になっているんだ?
 遅かれ早かれ、だまされ、監視され、いじめられているのだと分かって、
 みんな、すぐに脱退することになるだろう!
「ここ数十年にわたって、中国とロシアが米国に対して経済戦争を仕掛けてきている。
 中東に注意を向けるのをやめて、中国とロシアに目を向けるべきだ!」



ロイター 2015年 04月 3日 10:17 JST
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPKBN0MU02820150403?pageNumber=1&virtualBrandChannel=14348

コラム:日本のアジア投銀「不参加」は良策

──日本が中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)参加を見送ったことは、費用対効果などの面で、妥当な判断だ
と第一生命経済研の熊野氏は指摘。

[東京 2日]
 中国が主導して設立するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設メンバーになる申請期日が3月31日に到来した。
 結局、日本は申請をしなかった。
 台湾、韓国など約50カ国・地域が申請、または意向を示した。

 この構想への参加が、まるで環太平洋連携協定(TPP)参加と同じような感覚で「船に乗り遅れる」と議論されることに違和感を覚える。
 TPPは貿易連携に関する共通のルールづくりをしようとしているので、船に乗り遅れるのは大きなマイナスだ。
 TPP加盟国の中での輸出入の拡大にはメリットが大きい。

 一方、AIIBへの参加は、まず、透明性の高いルールづくりの中に参画できるかどうかが不透明だ。
 日本が参加した場合には、他の参加表明国に比べると、そのプレゼンスの大きさから考えて、出資金額は膨らむだろう。
 当然、欧州諸国などよりも利害関係は大きくなる。
 だからこそ、透明性が担保されていないと、日本が享受できるメリットは甚だしく読みにくく、費用対効果が低くなる可能性もある。

 アジアの投資案件に対する融資に関しても、創設メンバーとして活動した方がメリットが大きいのか、今後、アジア開発銀行(ADB)の融資との協調を模索することができるのか、という点を検討することが重要だ。

 筆者は、今後のAIIBにおける運営が不透明な中で、拙速な判断をしなかったことは妥当だと考える。
 実際にAIIBのスキームが固まってきてから、ADBなどを通じた協調を推進しても遅くない。

<欧州と新興国がAIIBに関心を持つ理由>   

 今回、AIIBへの参加が話題になったことで振り返ってみたいのは、従来の国際金融の枠組みが良かったかどうかである。
 日本や日本企業が果たして多くのメリットを享受できてきたかという点の再検証である。

 かつて1997年のアジア通貨危機後に、宮沢蔵相(当時)がアジア通貨基金構想を提示したが、米国、中国、そして国際通貨基金(IMF)が反対して、その構想が頓挫した経験を思い出す。
 このときは、既存の通貨体制、すなわちブレトンウッズ体制に挑戦するような芽は、やはり摘まれてしまうのかと残念に感じた。

 あれから時代は移り変わって、2008年には20カ国・地域(G20)金融サミットが開催されるようになり、リーマンショック後の体制を議論する場が設けられた。
 欧州からは、以前よりブレトンウッズ体制に替わる仕組みづくりを推進する意見が出されていたので、AIIBに欧州諸国が参画する動きをみせたことも、後から考えるとうなずける。

 本質的なことは、日本にとって、米国が中心のドル体制が本当に使い勝手の良いものであるかどうかという点である。
 円の国際化という最近話題にならなくなったテーマを再検討することだろう。
 新興国にとっても、G20などを含めて米国中心のドル体制の中での発言力は以前から相対的に小さかったわけで、AIIBに惹かれる動機はあったと考えられる。

<大切なのは為替レートの安定化>

 日本では、黒田日銀総裁の強烈な量的・質的金融緩和が実施されて、超円高から円安局面へと軌道修正が行われた。
 為替に関する議論は、もっぱら円高ではなく円安が良いのか、あるいは円安が進むと輸入物価の上昇で痛みがある、といった点に傾きやすかった。

 しかし、本筋は、円の取引量が増えることで、為替の過度な変動が起こりにくくなることである。
 為替レートは不安定でなく、安定していることが理想だ。
 そのためには、海外向けに円建ての融資を増やすと同時に、非居住者による円建ての直接・証券投資も増えることが都合が良い。

 一方、現状のような日銀の超低金利がずっと継続していると、先行き円キャリートレードが活発化して、一時的に大幅な円安が進み、その後、ポジションが解消されて逆転円高が起こるという懸念も根強くある。
 投機マネーによるかく乱は、為替レートが安定化する理想像とは正反対の状態である。

 中国には、AIIBを主導してドル偏重の外貨準備の運用先を多様化したいという思惑がある。
 この課題は、日本と共通する。
 アジアのインフラ投資向けに資金を振り向けて、為替変動リスクにさらされにくい運用をしたいという気持ちもあるだろう。
 中国との間で、共通する利害はまだ多く存在するはずだ。

 国際金融の未来図を考えるとき、日本政府は、中国などアジア諸国との間で、共通利益を追求する構想を提示していくことが課題だろう。

*熊野英生氏は、第一生命経済研究所の首席エコノミスト。1990年日本銀行入行。調査統計局、情報サービス局を経て、2000年7月退職。同年8月に第一生命経済研究所に入社。2011年4月より現職。
*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。



ニューズウィーク日本版 2015/4/9 13:01 冷泉彰彦
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150409-00147218-newsweek-nb

中国主導のAIIBに急いで参加する必要はない
 - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代

 日本はAIIB(アジアインフラ投資銀行)の創設メンバーには入りませんでした。
 アメリカも同様でしたが、その一方でヨーロッパ各国は出資することになりました。
 日米が孤立したように見えるとか、中国主導の経済に乗り遅れていいのかといった議論もあるようです。

 ちなみに、アメリカでは経済界を中心に「オバマがアッサリと無視した」ことへの反発が出ています。
 中国経済との結びつきの強い現在のアメリカ経済においては、自然な発想とは言えるでしょう。
 ですが、今のところは大きな論争にはなっていません。
 アメリカとしては、政界も財界も静観の構えです。

 現時点で日本もアメリカもAIIBに入った方が良かったのでしょうか?
 あるいは事態の推移を見守るのがいいのでしょうか?
 現時点で言えば、私は「静観」で良いと思います。

 というのは、おそらくは理念という意味でも実務という意味でも、
 このAIIBという金融機関の立ち上げは全くの準備段階で
 「海のものとも山のものとも分からない」
からです。

 そのことはAIIBのホームページを見れば一目瞭然です。
 まず内容が全く薄いのです。
 これからドルベースで10億ドル(日本円で1000億円レベル)とか更にその100倍、あるいはそれ以上、といったカネを動かす機関としてPRの体裁はできていないのです。

 そのホームページの中には、理念として「リーン(引き締まった)、クリーン(清潔な)、グリーン(環境に優しい)」というスローガンが掲げてあるのですが、これが何とも心細い感じを与えます。
 官僚組織の肥大化を避け、腐敗を避け、環境破壊を避けるというのは、話としては良い方向には違いないのですが、このように列挙されると、反対に「肥大化、腐敗、環境破壊」といった内外の懸念に対して「受け身」のように見えるのが気になります。

 また同じホームページの中には設立の経緯として、「習近平国家主席が......」とか「李克強首相が......」といったリーダーのイニシアチブが大げさに書かれていたり、実際に設立を決めた調印式における習近平主席を中心とした集合写真が掲げられていたりという具合です。

 その写真を見ただけで、まるで途上国の政府系機関が指導者を持ち上げているという感覚で、心細くなります。
 これは金融機関なので、利用者と出資者にとってどういったメリットがあるのかがホームページで宣言すべき最も大事なことだと思うのですが、そうではなく「とりあえず国威発揚のノリ」でホームページを作ってしまうという感覚には、「肥大化、腐敗、環境破壊」的な危険性を感じてしまうのです。
 金融機関としての可能性は、全く白紙
と考えるべきでしょう。

 こうした点に関しては、日本が中心となって設立したフィリピンに本部を置くアジア開発銀行(ADB)の発足当時の状況とはだいぶ違うように思います。
 ADBは1966年に設立されました。
 それから3年強を経過した時点で、初代の渡辺武総裁が世界銀行のロバート・マクナマラ総裁と対談した内容が、1970年4月13日の朝日新聞の第2部に掲載されています。

 この中で、両総裁は「途上国の自助努力が先進国からの援助を刺激する」という好循環を作らねばならないとか、「途上国の負債削減が急務だ」という認識に立って、「融資と技術訓練をセットで行う」あるいは「途上国が輸出産業を育成できるように指導する」といった長期的な観点からの「目標」をしっかりと掲げていました。

 AIIBもそのホームページで、「現存の開発銀行(複数形、つまりは世銀とADBのこと)や民間セクターの経験に学んで自行の基盤を整備してゆく」ということを述べています。
 ですが、そのことの本当の意味、つまり短期的な自国への利益還流や、自国の影響力強化では「ない」ような、本当に「開発のための銀行」としての存在意義を学ぶまでには時間がかかるでしょう。

 AIIBは構想が生まれてからまだ2年も経過していない「純粋に新規のプロジェクト」です。
 この先、本当に優秀な人材を集めて、確固たる理念と公明正大な業務体制を整備してゆけるのか、AIIB自身が警戒している「肥大化、腐敗、環境破壊」を回避することができるのか、見極めには時間がかかると思います。


2015.4.8(水) Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43460

AIIB創設の幸運を信じられない中国政府
ソフトパワーへの方向転換が奏功、
米国の同盟国からも支持獲得
(2015年4月7日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 中国政府は自分たちの幸運を信じられないほどだ。
 米議会での苦境にアジアの追い討ちをかけるように、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は先週、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加を確約した。

 ネタニヤフ氏と、3月3日に同氏が米議会で行った演説で恥をかかされたバラク・オバマ米大統領はもともと不仲だが、中国が最初に新銀行の構想を立てた時、イスラエルほどの往年の米国同盟国を呼び込むことは考えられなかったはずだ。

 AIIBになびいた英国の一見突拍子もない離反行為――英国は米国のパートナー国として、新銀行に関する米国の反対論を無視した最初の国――として始まったものは、中国の純然たる戦略的勝利に発展した。

 オーストラリアや韓国のような米国の伝統的な軍事同盟国を含め、50カ国以上がAIIBへの参加を決めた。唯一、日本だけが――今のところ――米国への支持を貫き、新銀行の統治と透明性の基準に対するオバマ政権の懸念を繰り返している。

■ベトナムでの反中デモを受け、政策を転換

 中国政府の成功はただの幸運だけでなく、賢明な政策調整の成果でもある。
 2013年11月の東シナ海上空での防空識別圏(ADIZ)の設定宣言から昨年5月のベトナム沖での石油掘削装置(リグ)設置に至るまで、中国の「ハードパワー」の主張はほぼすべての地域近隣国との衝突を招きそうに見えた。

 中国の外交政策の専門家らは内々に、南シナ海でのやり過ぎの後、ベトナム各地で勃発した暴力的な抗議デモが警告になったと認める。
 北京でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)年次首脳会議開催をわずか6カ月後に控え、中国政府はハードパワーの誇示をやめ、ソフトパワーによる説得に切り替えた。

■滑稽なまでのミスを連発した米国

 APECの会合では、中国政府は尖閣諸島(中国名:釣魚島)を巡る日本との切迫した対立から手を引いた。
 米国との間では、予想外の環境・軍事協定に調印した。
 さらに、インフラに重点を置く、アジアと欧州を結ぶ「新シルクロード」構想を支援するための400億ドルの基金創設を発表した。

 これとは別にAIIBは少なくとも1000億ドルの資金を同構想に拠出する予定で、中国は旧シルクロード沿いでかつてベネチアの銀行家が担った役割を引き受けることになる。

 中国の戦略的な方向転換は、地政学上の強敵のほとんど滑稽なまでのミス連発の恩恵を受けた。

 米議会は世界銀行と国際通貨基金(IMF)で中国などの新興国により大きな役割を与える改革案を承認することを渋り、キャピトルヒルで好まれる言い回しを使うなら、AIIBに関してオバマ政権が「票を数える」ことができなかったことが事態を悪化させた。

 舞台裏でどこかの機関に反対し、静かに失敗することと、公然と失敗することは大違いだ。

 オバマ氏にとってさらに悪いことに、露骨に中国を排除する「環太平洋経済連携協定(TPP)」貿易交渉をまとめるファストトラック権限を確保できなければ、アジア環太平洋地域における同氏の立場は一段と悪くなる。

■中国がスリランカで直面している危機

 もしTPPが失敗すれば、中国にとっては意外かつ喜ばしいことに、オバマ大統領のアジアへの「ピボット」の経済的な要素が完全に瓦解したことになる。

 だが、習近平国家主席はまだ祝うわけにはいかない。

 2015年は驚異の年として始まったかもしれないが、スリランカで進展中の外交問題は機運がいかに急変し得るかを思い出させる出来事だ。

 コロンボにおける中国の危機は、概ね自ら招いた問題だ。
 中国は習氏のかつての盟友、マヒンダ・ラジャパスカ氏が権力をしっかり掌握していると考え、50億ドル相当のプロジェクトにカネをつぎ込んだからだ。

 今年1月の大統領選挙でのラジャパスカ氏の衝撃的な敗北により、スリランカに対する中国のインフラ投資――および、その関連融資協定――はコロンボの新政権によるありがたくない精査を受けることになった。

 もし事実であることが立証されれば、スリランカのプロジェクトでの透明性の欠如やそれ以上に悪い汚職の疑惑は、AIIBでの潜在的な統治欠如に対する米国政府、日本政府の懸念を完璧に浮き彫りにするだろう。

 目下の中国政府の課題は、スリランカでのミスが新銀行の指揮下で繰り返されないようにすることだ。

By Tom Mitchell



ロイター 2015年 04月 9日 08:22 JST 
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPKBN0MZ2GD20150408

コラム:乱立する国際金融機関、「サブプライム危機」再来も

[ニューヨーク 7日 ロイターBREAKINGVIEWS] -
 米国が住宅ブームの絶頂期にあったころ、借り手は一生安泰に見えた。
 不動産価格が高騰するにつれ、最も信用リスクの高い人たちでさえ、簡単に融資を受けることができた。
 銀行は担保条件を緩め、所得証明書の提出も求めなかった。
 だが、こうしたやり方はうまくいかなかった。

★.サブプライムローン危機は、ある種の競争が行き過ぎたときに何が起きるかヒントを与えてくれる。
 サブプライムローンは収入以上の暮らしを求める消費者には素晴らしいかもしれないが、金融機関にとっては危険を招きかねない多大な譲歩を伴う。
 それが極限状態になったとき破綻が待っている。
 故に、新たな規則や融資基準が少なくとも必要となる。

 こうしたサブプライムローン危機と同じことが、世界的な経済開発資金で起きてもおかしくはない。
 ブレトンウッズ協定により、欧米主導の世界銀行と国際通貨基金(IMF)が設立されて以降、この2つの機関が、危機にある国や貧困脱却を目指す国への融資を担ってきた。

 しかし現在、IMFと世銀の覇権は、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)やシルクロード基金、新興5カ国(BRICS=ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)による新開発銀行などの台頭に直面している。

 世銀のキム総裁は7日、米戦略国際問題研究所(CSIS)での講演で、
 「適切な基準があれば、AIIBや新興5カ国が設立する新たな開発銀行は、貧困国や新興国の経済発展にとって大きな力となる可能性がある」
と述べた。

 しかしながら、米国のサブプライム危機が示すように、
★.多国間融資の過当競争は、
 民間の体力を弱らせ、
 ガバナンスの悪さを助長し、
 貧富の差を潜在的に拡大させる危険
がある。
★.独裁的指導者が率いる貧しい国家が、最も甘い条件で最高の融資を得るために、アジアの新国際金融機関を利用しようとするのは想像に難くない。

 このように主張するのは主に米共和党議員だが
 IMF改革への彼らの反対がほぼ間違いなく、中国を独自の投資銀設立に向かわせたのは皮肉なことだ。

 2016年の米大統領選に向け、7日に共和党指名候補争いへの立候補を表明したランド・ポール上院議員(ケンタッキー州選出)は、4年前に上院選に出馬した際、世銀とIMFが
 「有用性を失い、世界経済の発展を損なっている」
として、米国は手を引くべきだと主張した。

 ポール議員は、
★.中国とインドが貧困から抜け出せたのは国内改革によるものであり、世銀の融資によってではない
と指摘。
 チリと韓国についても同様だとした。
 また、ひどい経済政策を取るアフリカ諸国に対する数百億ドル規模の融資の一部は、改革を回避し「民主政治の発展を妨害する」ために使われたと批判した。

 IMFに関しては、より金利が高く、より厳しい財政規律が求められる資本市場での調達から「腐敗した無能な政権」を救ったと非難。
 政府や民間金融機関は救済を当てにするようになり、「無責任な行動」を助長した
と述べた。

 こうした考え方に基づき、ポール議員はIMF改革を可能にさせる条件を含むウクライナ支援案にも反対した。
 IMF改革案は2010年に同理事会で合意されている。
 改革案には中国を含む新興国の出資比率を引き上げることが含まれているが、米議会はまだ承認していない。

 世界経済の実体を考慮すれば、こうした改革も当然のことだろう。
★.IMFへの中国の出資比率は現在4%。中国の3分の1の経済規模である英国を下回っている。
★.改革案では、中国の出資比率が4%から6.39%に、ブラジルも1.79%から2.32%に引き上げられる。
 ただしどちらの場合も、米議会調査局によれば、世界GDPに占める割合から見れば、それでも低いという。

 しかし米議会が改革案を承認しなければ、こうした変更は実現しない。
 米国が参加することなしに、中国はAIIB設立に向け、わが道を突き進むだろう。
 世界で新たな「底辺への競争」がスタートした。

by Rob Cox
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。



レコードチャイナ 配信日時:2015年4月16日(木) 7時10分
http://www.recordchina.co.jp/a106238.html

中国、日本にAIIB副総裁職を提案していた?
=韓国ネット「相変わらず日本の影響力はすごい」「これが日韓の差?」

 2015年4月14日、韓国・聯合ニュースは、中国が設立を主導しているアジアインフラ投資銀行(AIIB)に日本を引き込むため、水面下で「日本人の副総裁職」が提案されていたと伝えた。

 日本メディアによると、AIIBの初代総裁が有力視されているAIIB臨時事務局の金立群(ジン・リーチュン)局長は先月22日、北京でアジア開発銀行(ADB)の中尾武彦総裁と会い、
 「日本が創設メンバーとしてAIIBに参加した場合、
 副総裁や日本単独の理事ポストを与える」
と提案したという。

 日本は米国ともにAIIBの参加決定を保留したが、その後多くの国がAIIBへの参加を明らかにしたため、6月末ごろまでに正式に参加の可否を決定すると明らかにした。

これについて、韓国のネットユーザーはさまざまなコメントを寄せている。

「中国は韓国に対しても同じように求愛してきた。
 韓国が自ら『加入させてくれ』と頼んだわけじゃない」
「中国だけではアジアを統制できないと判断したから日本に頼ったんだ。
 結局、日米中でアジアを統制しようということ。
 さすが実利主義の中国。
 表面ばかりを気にして、いまだに小さい国の中で争っている韓国とは違う」

「日本の国力は中国に勝っていると評価する専門家もいる。
 今後、日本が軍事力を強化したら、日本の強大国としての地位は確固たるものになるだろう。
 韓国とはレベルが違う。
 韓国は自動車の部品一つまともに作れない」

「きっぱり断っても『必要だ』と言われる日本がうらやましい」
「相変わらず、日本の影響力はすごいな」
「これが日本と韓国の差?」
「もしかして…国際社会の仲間外れは韓国と北朝鮮?」


サーチナニュース 2015-04-16 15:27
http://news.searchina.net/id/1569998?page=1

麻生財務相の「参加見送り」見解、中国メディアは未練たらたら
・・・「日本国内でもAIIB参加すべきの声」と報じる

 中国メディアの新華社は15日、アジアインフラ投資銀行(AIIB)への日本の参加の是非をめぐって日本の一部の政治家や学者に対して取材を行ったことを紹介し、「日本政府は早くAIIBに参加するよう」求める声があったと報じた。
 日本政府の同行への不参加について、麻生太郎財務相は「不透明な部分が残る」などの説明を繰り返している。

 記事は前衆議院議員で元財務相の藤井裕久氏が「日本はAIIBに参加すべき」と述べ、その理由として「土木・建築業をはじめとする日本のインフラ産業にプラスの影響がある」ことを挙げたことを紹介した。

 さらに藤井氏が「各国が友好関係を構築することが平和への貢献につながる」と強調し、日本が中国をはじめとする他国と手を取り合い、アジアの発展に貢献する必要があるとの見方を示したと紹介した。

 続けて、元外務省国際情報局長の孫崎享氏が
 「日本にとってもっとも理想的な状態は、アジア各国が相互協力のもとで利益を得ること」
と述べたことを紹介し、日本はさまざまな形で相互協力を強化すべきであり、その観点から「日本はAIIBにどの国よりも先に参加を宣誓すべきだった」と述べたと報じた。

 また記事は、キヤノングローバル戦略研究所の瀬口清之氏に対する取材として「日本がAIIBに参加すれば日本企業のアジアでの投資が促進され、日本経済にもプラスとなる」との見方を示したことを紹介したうえで、日本国内の政治家や学者から「日本はAIIBに参加すべきとの声があがっている」との見方を示した。

 中国における報道では、
 「自国側の主張を相手国内で発生した声で代弁」させる場合が多い。
 また新華社報道は当局の考えを反映したものと考えてよい。
 上記記事の背景には、
 「日本がAIIBに入らないのは痛手」との本音が見え隠れしている。



レコードチャイナ 配信日時:2015年4月18日(土) 11時53分
http://www.recordchina.co.jp/a106532.html

AIIB、中国の能力不足を疑う声も
=いかにして懸念に答えるか―中国メディア

  2015年4月15日、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設メンバーの顔ぶれが最終的に確定した。
 米国と日本の参加をめぐる論議や分析、動向が世界中から注目されたが、国際世論の注目が徐々に、今後のAIIBの運営ルールにシフトしていることは明らかだ。
 まさに
 「準備は整った。後は東風が吹く(最後の重要な条件が整う)のを待つのみ」
という状態で、メンバー国がいかにAIIBを運営していくかにかかっている。

 国際世論はAIIBについて、「中国にとって大きな挑戦となる」と見なしている。
 さらには、中国の能力不足を疑う声も少なからず聞こえてくる。
 これらの疑問は、
 「今後のAIIBの運営において、透明性が保たれるのか?」
 「投資対象となるインフラプロジェクトは、環境保護の面で、厳しい融資条件を満たすことが可能なのか?」
 「管理能力を備え、合理的な制度設計や管理体制を実現し、リスク管理の水準を保つことができるのか?」
といった点に集中している。

 確かに、中国にとって、AIIBのような多国で構成される国際金融機関を主導するのは今回が初めてだ。
 初めてのことに挑戦する時には、当然、さまざまな壁にぶつかる。
 だが中国には「克服できない困難はない」ということわざがある。
 ピンチはチャンス、成果を得るためには、挑戦を避けては通れない。
 挑戦は改革を後押しし、各方面がAIIB規約の制定を首尾よく行うことを促す。

 透明性は、中国がAIIB設立を提唱した当初から、最も多く、最も頻繁に取り上げられた問題のひとつだ。
 だが、注意深く見てみると、米国と日本が参加を見送った以外は、ほぼ全ての先進国が創設メンバーとなっている。
 このような多国で構成される国際金融機関が、不透明な状態でいることは難しく、もし不透明ならば、多くの先進国が自ら「自国は不透明」と宣言するようなものだ。

 また、広く関心が集まったのは環境問題だ。
 確かに、中国はこれまで「まず汚染、対策は後回し」という遅れた発展プロセスを経てきた。
 だが、今の中国は持続可能な発展を可能とする理論と実践を備えており、「金山銀山を求め、さらに、青山緑水(せいざんりょくすい)を求めるのではない。
 青山緑水こそが金山銀山だ」の言葉の通り、環境保護に対する理念は、人々の心に深く浸透しており、どのようなインフラ建設プロジェクトも、スタートする際には、厳しい環境保護基準をクリアしなければならない。
 ましてや、AIIB創設メンバーには、ドイツのような世界トップの環境保護の「達人」が入っており、今後、インフラ建設プロジェクトが環境を汚染する恐れがあるといった悩みが生じる可能性など有り得ない。
 環境保護を疎かにすることは、中国やドイツはもちろん、全参加国にとって断じて許されないことだ。
 このような状況から、AIIBの初のインフラ建設プロジェクトが高く注目されることは間違いなく、AIIBの「試金石」と言っても差し支えない。

 互いに力を合わせれば、必ず良い結果が生まれる。
 世界はひとつの「地球村」で、誰もが「運命共同体」だ。
 みんなに関わることは、一緒に相談して対処すれば良い。
 「大国」とは、地域ひいては世界の平和と発展に対して、大きな責任を担う国家のことで、
 決して地域や国際社会で「大きなシェア」を占めているという意味ではない。

 これらのことから、AIIBメンバーが平等な話し合いを通じ、叡智を集結し、知恵を最大限活かし、公正かつ合理的な運営規則を確立することは、間違いないと思われる。
 規則の制定にあたっては、世界銀行(世銀)、国際通貨基金(IMF)、アジア開発銀行(ADB)、欧州投資銀行(EIB)、米州開発銀行(IDB)など各種国際金融機関の有益な経験と教訓を参考とし、AIIBの投資特色にもとづき、きめ細やかな配慮と力を結集し、正確な位置づけを意図して行われるであろう。

 AIIBは、既存のADBに取って代わることはできない。
 ADBや世銀などの国際金融機関と共に歩み、それらに花を添え、互いに補い合い、歩調を合わせて発展し、アジア金融協力体制の構築を推進する役割を担っている。
 アジア金融体制プラットフォームの構築を探求し、アジアの相互連携・疎通を加速させ、アジアの経済・社会発展を促し、各方面の相互利益とダブルウィン実現を目指す。

(提供/人民網日本語版・翻訳/KM・編集/武藤)




【何かと不安な大国:中国】



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