2015年1月31日土曜日

「2015年中国バブル崩壊説」は当たるのか?(4):経済減速はバブル崩壊を誘発するのか?、2008年からの7年間で中国の成長率は半分ほどに下落

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 人口増加が永久に続くわけではない。
 経済発展が永久に続くわけではない。
 ピークがくれば、そのカーブは下降に向きを変える。
 カーブが底を打ったら上昇に転じる。
 ガキにでもわかる仕組みで動いている。
 人口は世紀というスパンで動く。
 問題は下降に入ったとき、いかにうまくコントロールできるかである。
 バブルは破裂せねばならない。
 その衝撃で本体を壊すようなことにならないようにすることが肝心である。
 わかりやすい経済問題では、人はそれをソフトランディングという。
 

サーチナニュース 【経済ニュース】 2015/01/31(土) 06:34
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2015&d=0131&f=business_0131_006.shtml

中国経済の「減速」は決定的 「改革は待ったなし」=中国メディア

 中国メディアの和訊網は28日、中国国内において
 国内総生産(GDP)の数字が「政治的な色彩を帯びることは避けようがない」
とし、
★.極度にねつ造された中国のGDPの数字などもはや誰も気に留めていない
と論じた。

 記事は、中国の地方部におけるGDPの数字には地方政府の幹部らの昇進や栄転を狙って数字が加算されているとし、「極度にねつ造された数字」と指摘、「どおりでエコノミストや政府高官までもがGDPの数字に関心を持たないわけだ」と論じた。

 さらに、2014年における中国のGDP成長率が7.4%だったことを紹介、24年ぶりの低水準だったとしつつも、
 「中国政府の目標は7.5%だったため、7.4%という水準は十分に許容範囲内だった」
と指摘する一方、
 ほかの指標を勘案した場合、7.4%という数字には疑問が残る
と主張した。

 続けて、
★.電力消費は経済活動を推し量るうえでの重要な指標であり、
 李克強首相も重視している指標だと指摘。
 14年上半期の電力消費は前年同期比5.3%増、GDP成長率は7.5%増だったと紹介し、
★.さらに14年下半期の電力消費は同2.5%増、GDP成長率は7.3%
だったとし、電力消費の落ち込みに比べてGDP成長率の落ち込み幅が小さすぎるとの見方を示した。

 また記事は、
 「数字がどうであっても15年も中国経済が減速することはほぼ決定的」
とし、生産能力の過剰や不動産市場の在庫積み上がり、地方政府が抱える巨額の負債などが顕在化した今、これまで
 中国政府が実施してきた景気刺激策はもはや使えない
と主張。
 GDP成長率を追い求めたことで環境汚染や非合理的な産業構造を招いてしまった
とし、中国の改革はもはや待ったなしの状況になっていると主張した。



レコードチャイナ 配信日時:2015年1月31日 10時15分
http://www.recordchina.co.jp/a101404.html

中国が「第二の日本」になる危険性―米メディア

 2015年1月27日、米ラジオ局ボイス・オブ・アメリカ中国語版サイトは記事
 「中国経済の成長減速、財布のひも締めた消費者」
を掲載した。
 デフレマインドが広がり、中国が第二の日本になる危険性が懸念されている。

 「自動車が欲しいんですが、最近値引きが続いていると聞きます。
 今後さらに下がるのか、見極めたいので今は買いません。
 それに以前ならば給料は上がる一方だったのでローンでの買い物も不安はなかったのですが、今は将来が不安ですから」

 これはある中国人営業マンの言葉。
 こうしたデフレマインドは中国政府が最も恐れている事態だろう。
 単なる成長の鈍化が問題ではない。



サーチナニュース  2015/02/01(日) 06:06
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2015&d=0201&f=business_0201_002.shtml

中国の不動産市場 着実に顕在化する「危機」=中国メディア

 中国メディアの長江商報は26日、中国の不動産開発業者である恒盛地産の業績が急激に悪化していることを伝え、
 「恒盛地産が直面している危機は、不動産市場における危機のうちの氷山の一角に過ぎない」
と論じる記事を掲載した。

 記事は、恒盛地産の2014年半期決算報告書の内容として、損失額は2億2100万元(約41億7800万円)に達したほか、同社の純負債額は195億元(約3687億円)に達したと紹介、
 「恒盛地産の経営危機はすでに顕在化している」
と指摘した。

 さらに、恒盛地産の危機は不動産市場においては「氷山の一角に過ぎない」とし、金融情報を提供している中国企業の同花順のデータとして、14年第3四半期末時点で、
 上海もしくは深セン株式市場に上場している143社の不動産企業のうち24社が赤字
であり、さらに85社はマイナス成長だったと紹介した。

 また記事は、深センの不動産企業である佳兆業集団が中国の不動産企業として初めてドル建て社債の利払いができず、デフォルトの危機に直面していることを指摘。
 同社が手がけていたプロジェクトは停止を余儀なくされ、銀行から現金などの資産を差し押さえられていると紹介した。

 続けて、恒盛地産や佳兆業集団などの不動産企業が相次いで経営危機に直面していることについて、中国社科院金融研究所の易憲容研究員が
 「中国不動産市場がソフトランディングを実現することは不可能」
と指摘したことを伝え、
 不動産市場の危機が一歩ずつ顕在化している
との認識を示したことを伝えた。



JB Press 2015年02月03日(Tue)  石 平 (中国問題・日中問題評論家)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4687

2015年の展望
想像以上に減速している中国経済

 始まったばかりの2015年、中国経済は一体どうなるのか。
 それを占うためにはまず、昨年の中国経済の実績を見てみる必要があろう。
 1月20日に中国政府が発表した、7.4%という2014年の経済成長率は、今後の中国経済の暗い見通しを暗示するような深刻な数字であった。

 「成長率7.4%」といえば、先進国の中では高い数字であるが、中国ではむしろ大きく下がったと言える。
 政府発表の中国経済の成長率が7.5%を切ったのは実は
 1990年以来24年ぶり
のことである。
 しかも、
 成長率がピークに達した2007年の14.2%
と比べれば、7.4%はその半分程度。
 つまり
★.2008年からの7年間、中国の成長率は半分ほどに下落
しているわけで、その数字が尋常ではないことがよく分かる。

■経済成長率に比例しない? 電力消費量、鉄道貨物輸送量

 さらに言えば、政府の発表した7.4%という2014年の成長率が果たして本当かどうかがまず疑問である。
 一国の実体経済が伸びているかどうかを見る場合、より確実な指標の一つは、生産活動を支える電力消費量が伸びているかどうかである。
 この物差しで見れば、中国経済の減速は政府発表以上に深刻であることが分かる。

 たとえば2013年、中国政府公表の成長率は7.7%であったが、それに対して、関係部門が発表した13年の全国の電力消費量の伸び率は同じ7%台の7.5%であった。
★.しかし2014年、中国全国の電力消費量の伸び率は13年の半分程度の3.8%に落ちている
ことが判明している。
 だとすれば、14年の経済成長率が依然として7%台とは疑問を抱かざるを得ない。

 2014年の中国経済の減速が政府発表以上に深刻であることを示すもう一つの数字がある。
 中国交通運輸省の発表によると、
★.2014年1月から11月までの中国国内の鉄道貨物運送量は前年同期と比べると3.2%も減っている
ことが分かった。
 生産材や原材料の多くを鉄道による輸送に頼っている鉄道大国の中国で、鉄道の貨物運送量が前年比で3.2%減ということは、中国全体の経済活動がかなり冷え込んでいることを物語っている。

 簡単に言えば、
★.鉄道貨物運送量がマイナス成長に転じている2014年、
 経済全体の成長率が依然として7%台を維持しているとはとても思えない。
 政府が発表した去年の7.4%の成長率はかなりの水増し部分があることは明らかである。

 要するに、
★.2014年の中国経済はほんの少ししか成長していないか、
 あるいはまったく成長していないかのどちらかであろう。
 それこそが、今の中国経済の厳しい現状である。

■中国経済の行方を大きく左右する不動産市場

 だとすれば、2015年の中国経済は一体どうなるのかは、火を見るよりも明らかであろう。
 今年の中国経済は昨年よりさらに落ちていくことはあっても、上がる要素はなさそうである。

 まずは中国経済の行方を大きく左右する不動産市場の動向から見てみよう。
 今年1月、中国指数研究院は昨年12月に全国百都市の不動産平均価格が前月よりまたもや下がったと発表した。
 しかもそれは、昨年5月から連続8カ月の下落となっていることから、私が以前から予測している
 不動産バブルの崩壊は確実に進んでいる
ように見える。

 実は昨年夏あたりから、中央政府と地方政府は「救市(不動産市場を救うこと)」と称して、久しぶりに利下げを断行したり不動産購買への規制をことごとく撤廃したりして必死に努力してみせたが、不動産市場の低迷と価格の下落を食い止めることはついに出来なかった。
 「政府はいつでも不動産価格をコントロールできるからバブルの崩壊はない」
という中国式の神話は今や崩れつつある。

 問題は、今年どうなるかであるが、昨年末に発表された中国社会科学院の「住宅白書」は、2014年の住宅市場に関して「投資ブームの退潮、市場の萎縮、在庫の増加」などの問題点を指摘した上で、
 「2015年の住宅市場は全体的に衰退するだろう」
との予測を行った。

 そして同じく昨年末の12月29日、中国国務院発展研究センターの李偉主任が人民日報に寄稿して、2015年の経済情勢について
 「長年蓄積してきた不動産バブルは需要の萎縮によって崩壊するかも知れない」
と語った。
 国家直属のシンクタンクの責任者が「不動産バブル崩壊」の可能性を公然と認めたのは初めてのことだが、前述の社会科学院白書と照らし合わせてみると、どうやら中国経済をよく知る人たちの間では、
★.不動産バブルはそろそろ崩壊してしまう、という共通した認識が既に定着している
ようである。

 今のすう勢から見ると、本格的なバブル崩壊はまさにこの2015年に起きる可能性が大であるが、それが
★.現実に起きてしまえば、中国経済全体は一体どうなるのだろうか。

 今まで、不動産業は中国経済の支柱産業と呼ばれてきた。
 たとえば2009年の1年間、土地の譲渡や住宅の販売などによって生み出された不動産関連の経済価値の総額は7.6兆元に上るという試算がある。
 それは、当年度の中国のGDPの33.5兆元の2割以上を占めている。
 09年からも不動産投資の伸び率はずっと経済全体の伸び率の倍以上を維持してきたから、GDPに占める不動産業の比重は今でもそう変わっていない。
 しかし今後、バブルの崩壊に伴って不動産業が「全体的に衰退」となれば、中国経済の受ける打撃は成長率の1、2%の低減という程度のものでないことは明々白々である。

■内需拡大も絶望的

★.不動産バブルが崩壊して「支柱産業」としての不動産業が衰退してしまうと、
 今まで不動産業の繁栄にぶら下がってきた鉄鋼やセメント・建材などの基幹産業がいっせいに沈没するのは避けられない
であろう。
 不動産投資低減のマイナス効果は、今でも既に不況に陥っているこの一連の産業の低迷に拍車をかけることになるからだ。

 実際、中国国家統計局と中国物流購入連合会が2月1日に発表した今年1月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、前月に比べて0.3ポイント低下して49.8となり、景気判断の節目となる50を2年4カ月ぶりに下回った。
 不動産バブルの崩壊が始まる中で、製造業全体の衰退はすでに鮮明な傾向となっているが、今後、
★.バブル崩壊がより本格化していけば、中国経済の土台となる製造業の沈没
は必至のすう勢となろう。

★.製造業が沈没すれば、それに支えられている雇用は大幅に減り、よりいっそう失業の拡大
が予想される。
 しかも製造業全体の業績不振の中で従業員の賃金水準がさらに下落することも考えられる。
 それがもたらす
★.致命的なマイナス効果はすなわち、
 中国政府が経済成長率の失速に歯止めをかける役割を多いに期待している内需の拡大がますます不可能となる
ことだ。
★.失業が拡大して賃金水準が下がってしまうと、
 今後の国内消費は縮小することがあっても拡大することはまずない。

 しかも、不動産バブルの崩壊は別の側面においても中国の消費拡大に大きな打撃を与えることとなる。
 今後、不動産価格が大幅に落ちていく中で、不動産を主な財産として持っている富裕層や中産階級はその財産の多くを失うことが予想される。
 しかし財産が失われた後でも高いローンだけが残る。
 中国政府が内需拡大の主力として期待しているのはまさにそういう人々であるが、彼らがこのような苦境に立たされると、中国の内需拡大はますます絶望的なものとなろう。

 とにかく、
★.経済成長の失速がすでに鮮明となっている中国では、
 バブル崩壊が現実となってそれに伴う一連の悪影響が現れてくると、
 中国経済は実質上のマイナス成長に突入
してもおかしくないような状況となってくるのである。

 さらにいえば、今や
★.GDP規模の約4割に相当する融資規模に膨らんだシャドーバンキングが今後一体どうなるのかは、中国経済にとってのもう一つの時限爆弾
である。
 昨年10月1日掲載の私のコラムで指摘しているように、中国のシャドーバンキングの中核的存在を成している「信託投資」は、実はその半分程度が不動産業への貸し出しとなっているから、今後、不動産バブルの崩壊が本格化して不動産業へ投じられた「信託投資」の多くが回収不可能となると、「信託投資」そのものはいずれか破綻してしまい、「信託投資」の破綻はすなわちシャドーバンキング全体の破綻に繋がりかねない。

 そして万が一、シャドーバンキングが破綻して全国的金融恐慌となると、中国経済はもはや成長するかどうかどころではない。



ロイター 2015年 02月 4日 11:18 JST
http://jp.reuters.com/article/jpchina/idJPKBN0L805820150204

中国の14省が2.4兆ドルの投資計画、景気押し上げへ

[上海 4日 ロイター] -
 中国の14省は今年から景気刺激策の一環として、インフラ整備やその他のプロジェクトに合わせて15兆元(2兆4000億ドル)を投じる計画だ。
 上海証券報が伝えた。

 上海証券報によると、2日には四川省が2兆9900億元の支出計画を発表。
 今年は4188億元を投じるという。
 福建省は環境分野などのインフラ整備に対する投資規模が3兆元で、14省のうち最も高額になるという。

 他省では、湖北省の投資規模が2兆9000億元、河南省は1兆5000億元、湖南省は1兆元という。


 「2兆4000億ドル」とは日本円で「約280兆円」になる。
 来年度の日本の「一般会計総額96兆3400億円」というから、その約3倍になる。


ロイター 2015/2/11 04:05 ロイター
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150211-00000017-biz_reut-nb

中国社会融資総量の残高が14.3%増、14年末時点

[北京 10日 ロイター] -
 中国人民銀行(中央銀行)によると、経済の流動性を示す指標の社会融資総量の残高は2014年末時点で前年比14.3%増の122兆8600億元(19兆7000億ドル)だった。

★.銀行融資以外のシャドーバンキング(影の銀行)といった信用供与を含む
 社会融資総量の残高が公表されたのは初めて。
 これまでは毎月のデータのみが公表されていた。

 人民銀によると、社会融資総量残高は2002年以降、年率平均19.3%の伸びを維持しており、銀行融資の伸び率を2.7%ポイント上回っている。

 2014年時点で
★.社会融資総量残高は国内総生産(GDP)の193%に相当し、
 2002年時点を69.6%ポイント上回った。

 人民元建て融資の残高は2014年末時点で81兆4300億元で、前年比13.6%増加し、社会融資総量の66.3%を占めた。
 シェアは2002年の86.8%から低下した。

 シャドーバンキングの一種である委託貸付は2014年末に9兆3300億元と、前年比29.2%増。
 信託貸付は10.7%増の5兆3500億元となった。

 銀行引受手形は6兆7600億元と、前年比1.8%減少。
 社債は11兆6900億元と、25.8%増加した。







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2015年1月30日金曜日

中国、「軍事外交の比重をこれまで以上に突出させる」:アメリカの不快感回答は日本への期待となって顕れる

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 中国の「軍事外交」が大きくなればなるほど、日本は
 『待ってました』
とばかり、にそれに飛びつくことになる。
 日本の軍隊は自衛型であり、それは周囲の圧力が日本に及んだ時に最強になる。
★.攻撃タイプの軍事補強はできないが、
★,自衛補強となれば、大義名分さえあれば滑らかに推進できる
形になっている。
 このことから、中国のこの
 「軍事外交の比重をこれまで以上に突出させる」
という発想は、おそらく日本政府にとっては朗報と捉えるだろう。
 中国の日本侵略構想(構想でしかなくても)が常態化すれば、日本の手足を縛るものがなくなる。
 自由に対中国軍事政策が実行できることになる。

 日本には『中国に敗ける』という感覚がない
 おそらくそれは
 戦争キャリアの豊かさからくる余裕
だろう。
 過去に日本は勝とうとして負けた経験を持つ。
 いまは憲法の縛りによって勝つ戦争はできなくなっている。
 今の日本は負けない戦争のやり方を研究し尽くしている。
 つまり、
 日本は戦争のやり方を知っている軍事をもっている
ということある。
 それに対して中国が戦争するとき「絶対に勝たねばならない」ということを第一義に据えないといけない。
 それは負けたら、共産党が潰れてしまう可能性が大きくなるからである。
 よって中国にとって
 日本に戦争を仕掛けるのは一か八かのバクチ
になる。
 このバクチに身銭を張るほど中国は狂ってはいない。
 だから、孫氏の兵法を実戦して、数量軍事術を駆使することになる。
 つまり、
 「見た目で勝つ」
という戦法である。
 数で脅す、という作戦
である。
 しかし、
 その戦術を十分知っている
ために日本は、
 中国の軍事恫喝に「怖れる」ということがなくなっている。
 逆にそれをどのようにうまーく利用するか、の判断が先行する。 
 中国が軍事恫喝を強めれば強めるほど、日本はポイントを稼げることになる、というわけである。
 中国が動くたびにソロバンを弾くのが日本政府である。
 日本は小狡いキツネである。
 中国は見た目賢いイノシシといったところか。
 シロウト外交のの弱みを軍事外交で補強する、
というのが発想の原点であろうが、何とも下策である。
 あたかもひ弱な小動物を演出する日本にのせられてしまうような外交ではどこかで行き詰まる。
 それを軍事力をひけらかすことによって突破しようとするのだろうが、あまりに能がない。
 日本以外の国は恫喝がそこそこ有効であろうが、
 日本はそれを逆手にとる悪知恵
をもっている。
 日本に恫喝は効かない。
 それより、オダテのほうが効力がある。
 その辺の見極めがつかないというのがシロウト外交の弱みである。


サーチナ 1月30日(金)10時57分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150130-00000085-scn-cn

中国・習近平主席「軍事外交の比重をこれまで以上に突出させる」

 中国の習近平国家主席(共産党中央総書記、中央軍事委員会主席)は29日、中国人民解放軍の一部幹部に接見した際、
 「新たな情勢の下、軍事外交は国家の外交と安全戦略の中における重要性が更に強まり、その地位はこれまで以上に突出したものになる」
と述べた。
 新華社などが報じた。

 習主席は29日午後、北京市内で全軍外事工作会議と第16期武官工作会議のメンバーと接見。中国の軍事外交のこれまでを振り返り、
 「わが党は歴史的にも重視してきた。
 それぞれの歴史時期において、軍事外交は国家の外交全体の推進や国家の安全維持のため、わが軍の建設のために重要な役割を果たしてきた」
と説明した。

 今後については、
 「新たな情勢の下、軍事外交は国家の外交と安全戦略の中における重要性が更に強まり、その地位はこれまで以上に突出したものになる」
と説明。
 さらに、その場にいた軍人に向い
 「皆が政治意識を強化してほしい。
 思想上、政治上、行動上、党中央と高いレベルで一致してほしい。
 党の軍事外交に対する絶対的な指示を揺らぐことなく堅持してほしい」
と、共産党中央の決定に対する服従を、改めて求めた。

**********

◆解説◆
 「軍事外交」とは、外国の軍組織との合同演習や訪問、意見や情報の交換、場合によっては技術導入などを含む協定締結などの活動を指す。
 また、対象を外国の軍組織に特定していない軍による発表や意見表明(宣伝活動)も、軍事外交の一種と考えることができる。

★.中国の「軍事外交」には、宣伝の比重が大きい特徴がある。
 さらに、軍事外交にかぎらず外交全般として、
★.自国の利益と力量を相手と比較して「対抗するが衝突は避ける」(米国)、
★.「基本的には利益獲得を狙うが、場合によっては厳しい対立も辞さない」(日本やインド)、
★.「他の対抗相手への対策として、接近する」(ロシア、パキスタン)、
★.「利益獲得のため、相手側政権への利益を誘導」(ミャンマー、カダフィ政権下のリビア」
など、自国と相手国の関係をパターン化して、中長期戦略をはっきりとさせる特徴がある。

 「軍事外交」には、交流により「疑心暗鬼を解消し、危機を回避する」との効用がある。
★.一方で、「事実上の威嚇による、目的の達成」を意識する場合がある。

 清国の北洋艦隊は1886年から1892年にかけて3回、日本を訪問した。
 目的は朝鮮を巡り対立していたロシアを威嚇し、日本にも圧力をかけるためだったとされる。
 長崎に無許可上陸した自国水兵が起こした、日清双方に死傷者を出した乱闘事件(1886年、長崎事件)についても、清国側は再発防止のための取り決めをないがしろにし、再び死傷者を出す乱闘事件を発生させた。

 北洋艦隊の日本訪問当時、日本海軍には北洋艦隊の「定遠」や「鎮遠」に匹敵できる軍艦は存在しなかった。
 日本側は、軍・官・民のいずれもが慄然としたという。
 長崎事件における清側の「高飛車」な態度も、「日本威圧」の一環として意識したものだった可能性がある。

 しかし「定遠」に招待された日本海軍軍人は北洋艦隊将兵の練度や士気が低いことを見抜いた。
 当時は日清ともに近代的な軍艦を建造する能力はなかったが、日本側は軍艦輸入などで軍備を整えると同時に訓練を続けた。
 1895年に勃発した日清戦争で、日本は豊島沖海戦、黄海海戦、威海衛突入作戦など海の戦いでも勝利した。

 日清戦争については、欧米列強を含め開戦前まで「清国が圧倒的に有利」との見方が一般的だった。
 日本は清国が“仕掛けた”軍事外交で得た情報をもとに、
 「海軍力でも、やるべきことをきちんとやれば、戦えない相手ではない」
と判断し、開戦の決断にも結びつけたと言える。

 上記はかなり極端な例だが、
★.「軍事外交」においては「相手に何をどこまで伝えるか」が極めて重要
になる。
 しかもそれを、末端にまでのあらゆるレベルで徹底させねばならない。


  さて、この
 習近平の思惑に対するアメリカの回答
が出てきた。
 それは何と
 「日本に南シナ海の哨戒を期待する」
というものである。
 日本としては『してやったり』だろう。
 「オバマの裏切り」以降、日本はほとんどアメリカを信用していない。
 オバマはこれからも日本を縛るような行動をとるのか、と疑心暗鬼になっている。
 たとえば、「心神」の開発に割り込んでくる可能性を非常に懸念している。
 とりあえず、アメリカ海軍は日本の足を縛るようなことはない、ということがこのことで分かってきた。
 艦隊司令官の発言をオバマが否定することはないであろうと思われるから、オバマもこのことについては了解しているものと判断’できる。
 ということは、
 習近平発言への明確なアメリカの警鐘
ということになってくる。


ロイター 2015年 01月 31日 14:08 JST
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPKBN0L404R20150131

南シナ海の哨戒活動、自衛隊に期待=米第7艦隊司令官

[東京 31日 ロイター] -
 米海軍のロバート・トーマス第7艦隊司令官は31日までにロイターのインタビューに応じ、自衛隊が哨戒活動を南シナ海にまで広げることに期待を示した。

 同海域の権利を主張し、活動を活発化させる中国をけん制するのが狙い。
 東シナ海までだった日本の哨戒範囲が広がれば、中国との間で緊張が高まる可能性がある。

<南シナ海での活動「理にかなっている」>

 トーマス司令官は
 「南シナ海の同盟国、盟友国は、同海域を安定させる機能として、ますます日本に期待するようになるだろう」
と指摘。
 「率直に言って、南シナ海では中国の漁船、海警の船(と海軍の艦船)が近隣諸国を圧倒している」
と述べた。

 安倍晋三政権は東南アジアの安定に積極的に貢献する姿勢を示しており、トーマス司令官の発言は、
 米国が日本の動きを支持していることの表れ
と言える。

 両国は、自衛隊と米軍の役割分担を定めた「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の改定作業を今年前半までに終える予定にしている。
★.柱の1つとして海洋安全保障での協力を打ち出す見通しで、
 東シナ海までだった日本の役割が拡大する可能性がある。

 日本は独自に開発した初の国産哨戒機「P1」の配備を始めた。航続距離が従来の「P3C」の2倍の8000キロに伸び、能力的に南シナ海へのパトロールも可能になる。

 「将来的に自衛隊が南シナ海で活動することは理にかなっている」
と、トーマス司令官は日本の役割が広がることを歓迎した。

 南シナ海では中国、フィリピン、ベトナム、台湾、マレーシア、ブルネイが領有権をめぐって争っている。
 日本は当事国ではないが、同海域は世界の漁獲量の1割を占める有数の漁場であるとともに、年間5兆ドル規模の貨物が行き交う貿易ルート上の要衝でもあり、その多くが日本に出入りしている。
 中国外務省の報道官は、定例会見でトーマス司令官の発言について問われ
 「域外の国は、域内の国々が平和と安定を守る努力を尊重すべきだ」
と語った。

<「九段線は国際ルールに適合せず」>

 中国は南シナ海の島々の領有権を主張する根拠を、地図上に独自に引いた「九段線」にあるとしている。
 九段線に囲まれた範囲は、南シナ海のおよそ9割を占める。

 南シナ海における火種の1つが、フィリピンに近い中沙諸島のスカボロ―礁。中国がフィリピンの漁師を締め出し、フィリピンは国際仲裁裁判所に提訴している。

 「九段線なる線は、国際的なルールや規範、基準、法律に適合しておらず、不必要な摩擦を生み出す状況を作り出している」
と、トーマス司令官は語った。
 その上で
 「フィリピンの問題の1つは能力。
 装備協力だけでなく、訓練や運用、日本が支援するのに完璧な分野だ」
と述べた。

 日本とフィリピンは29日、都内で防衛相会談を開き、海洋安全保障の協力強化で一致した。
 両防衛相は覚書に署名し、海上での突発的な衝突を防止するための共同訓練を年内に実施することや、フィリピンの航空輸送の能力強化を日本が支援することなどを決めた。
 日本の中谷元防衛相は会談後に記者団に対し
 「覚書をしたことで、さらなる新しい段階に入った」
と語った。

 自衛隊との連絡幹部だった米海兵隊のグラント・ニューシャマン元大佐は、
 「軍事力を強化し、積極的な役割を果たそうとする安倍政権にとっては論理的な帰結だ」
と話す。
 「と同時に、自衛隊にとって従来任務からの決別となる」
と語る。

 日本戦略研究フォーラムの研究員でもある同氏は、日本が哨戒任務を南シナ海にまで広げることで、東南アジア諸国との安全保障関係が深まるだろうと指摘する。

*トーマス司令官のインタビューは1月26日に行いました。



レコードチャイナ 配信日時:2015年2月1日 2時31分
http://www.recordchina.co.jp/a101665.html

 米海軍司令官、自衛隊の南シナ海での活動に期待
=米メディアの報道に、米国ネットユーザーは「米国が関わることではない」
「第三次世界大戦に…」

 2015年1月30日、米ロイター通信の報道によると、米海軍第7艦隊のロバート・トーマス司令官が、米国は日本の自衛隊が南シナ海でのパトロールを活動することを歓迎するとの見解を示した。

 ロイター通信は30日、米海軍第7艦隊のロバート・トーマス司令官が、日本の自衛隊が南シナ海へパトロール活動を拡大することに期待すると述べたと報じた。
 南シナ海で領有権を主張して強硬な行動に出ている中国は、周辺国にとって脅威であることに言及し、日本が地域を安定させる役割を持つことになるだろうとの期待を持っていると述べたと伝えている。
 この報道に、米国のネットユーザーがコメントを寄せている。

「私は中国語よりも日本語を勉強した方が良さそうだな。
 やれやれ」
「これでは、日本はアメリカの犬のようになっているじゃないか。
 南シナ海の問題はアメリカには関係のない話だ。
 日本が愚かでなければ、中国を怒らせたりしないはずだ。
 日本は、アメリカに言われたことをするのではなく、自分の頭で考えて行動すべきだ」

「一体どうなっているんだ?
 アメリカは日本に南シナ海に出て行くことを許可しているというのか?
 アメリカが関わることではないじゃないか」
「アメリカがそんなことを日本に期待したら、真珠湾攻撃が繰り返される」

「日本の軍事化のための課題は、中国との領有権をめぐる問題からイスラム国の脅威まである。
 安倍首相は今年に安全保障の法整備を行い、自衛隊の活動範囲を拡大させるだろう」

つまり、「中国対そのほかの国」という構図なのか?
「アメリカは第三次世界大戦が起こるように仕向けているじゃないか!」



2015年02月01日 10時06分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
http://www.yomiuri.co.jp/world/20150131-OYT1T50088.html?from=ycont_top_txt

将来、自衛隊の南シナ海監視を歓迎…米国防総省

 【ワシントン=今井隆】
 米国防総省のカービー報道官は1月30日の記者会見で、自衛隊が将来的に南シナ海上空で監視活動を行うことについて
 「歓迎し、地域の安定に貢献する」
と語った。

 南シナ海のほぼ全体に主権が及ぶと主張している中国政府の反発は必至だ。

 南シナ海での自衛隊機による警戒監視を巡っては、米海軍第7艦隊のトーマス司令官が29日、ロイター通信のインタビューに対し、
 「南シナ海での自衛隊の活動は将来、理にかなうものになる」
と期待感を示した。


 オバマはこれまでの方針を大きく変えたようだ。
 中国をいたぶり始めた。


レコードチャイナ 配信日時:2015年2月4日 19時30分
http://www.recordchina.co.jp/a101841.html

オバマ大統領のダライ・ラマ招待、
「いかなる国の指導者もダライ・ラマとの会見には断固反対」
―中国

 2015年2月2日、中国外務省の洪磊(ホン・レイ)報道官は、オバマ米大統領が5日に行われる毎年恒例の全米祈祷朝食会にダライ・ラマを招待したことについて言及した。
 中国日報が伝えた。

 洪磊報道官は、
 「チベットに関連する問題は中国の核心的利益と民族感情に関わっている。
 中国は、いかなる国でもチベット問題を利用して中国内政に干渉することや、いかなる国の指導者がいかなる形でもダライ・ラマと会見することに断固反対する」
と強調。
 「米国がチベット問題についての同意を守り、両国関係の大局を考え、関連問題を適切に処理することを希望する」
としている。

 この報道に対し、中国のネットユーザーからは
 「反対してもムダ」
 「ダライ・ラマって中国人じゃないの?」
 「大げさに騒げば逆に不利になる」
 「米国のやり方はいつも卑怯だ」
 「中国に内政干渉し、分裂をたくらんでいる米国」
 「中国政府はいつも反対するだけ」
などの反応が見られた。



レコードチャイナ 配信日時:2015年2月6日 7時39分
http://www.recordchina.co.jp/a102051.html

中谷防衛相、自衛隊の南シナ海での警戒活動は「今後の課題」
=海外メディア「南シナ海は中国のものではない」
「米国は力を失いつつある」―米国ネット

 2015年2月5日、ロイター通信の報道によると、
 中谷元防衛相は3日、米海軍司令官が自衛隊の南シナ海での警戒活動を行うことを歓迎すると発言したことについて、
 どのように対応するかは今後の課題であると述べた。

 ロイター通信の報道によると、中谷防衛相が3日の記者会見で、自衛隊が南シナ海での警戒活動を行うことを歓迎するという米海軍司令官の先ごろの発言について、日本の対応は今後の課題であるとの見解を示した。
 中谷防衛相はまた、自衛隊は現在、警戒活動を行っておらず、そのような計画もないと述べる一方で、今後どのように検討していくかは課題であると述べた。
 また、中国は米国側の発言を受けて、日本が緊張関係を作るべきではないとして反発していると伝えている。

この報道に、米国のネットユーザーがコメントを寄せている。

「日本は武装すべきだ。
 中国はますます攻撃的になり、そしてますます欺くようになってきている」
「民主主義国家が生き残るためには、軍事同盟を結び、自分たちで守る方法を作らなければいけないと思う」
「これは中国対日本ではなく、中国対アメリカという話だな」

「それで、南シナ海領域の他の国々は、日本の自衛隊を歓迎すべきだということなのか?」
「私たちの同盟国である日本が軍事力を取り戻そうとしているのは喜ばしい。
 中国との今後の緊張関係が避けられない中、日本は最高の同盟国だ」
「今の状況は、アメリカが単独では力を失いつつあり、日本の助けを必要としていることを示している」

「南シナ海は中国のものではない。
 関係している国々は、中国にそのことを示すべきだ」
「日本は、話すことをやめて行動を起こすべきだ。
 中国の植民地主義的な態度にうんざりしているのは日本だけではない」



レコードチャイナ 配信日時:2015年2月7日 16時15分
http://www.recordchina.co.jp/a102040.html

日本の南シナ海警戒活動、
米国の歓迎姿勢は「日中を仲たがいさせるため」―ロシアメディア

  2015年2月4日、ロシアメディア・スプートニクは、自衛隊の南シナ海での警戒活動を米国が歓迎していることについて、
 「米国は日本の警戒活動を歓迎することで日中の衝突をつくり、
 日本を守ることを口実にアジア太平洋地区での軍事的影響力を拡大しようとしている」
と指摘した。
 5日付で環球時報(電子版)が伝えた。

 ロシア科学アカデミー米国カナダ研究所のパーヴェル・ゾロタリョフ副所長は、
 「米国はアジア太平洋地区での軍事力拡大においていい口実を見つけた。
 米国は発展し続ける中国の軍事力と経済力を警戒している。
 中国は同地区において米国の強大な実力と地位を脅かす存在となっているため、日本の南シナ海での警戒活動を歓迎していることは中国へのけん制であるのは疑いようもない。
 日中が衝突し、日本を守るためことを理由に同地区で力を増強しようとしているが、今年は抗日戦争勝利70周年という節目の年でもあるため、中国は日本の侵略の歴史に触れるなど強く反発するだろう」
と述べた。

 このほか報道では、
  「米国の軍艦が南シナ海に姿を見せることは米中関係を揺るがすこと。
 米中関係が悪化した際、米国は同地区の中国に向かう石油タンカーの航路を封鎖するなど軍事的圧力を中国にかける可能性もあると中国側は見ている。
 日米の軍艦がそろって南シナ海に現れることは、中国の立場を複雑化させる」
と結んでいる。


レコードチャイナ 配信日時:2015年2月11日 9時56分
http://www.recordchina.co.jp/a102278.html

中国が海警局の法執行能力を大幅に強化
=「離島の主権断固維持」と表明―中国メディア

 2015年2月10日、中国新聞社によると、中国の王宏(ワン・ホン)国家海洋局長は9日の全国海洋活動会議で
 「今年中国は海洋権益の維持を的確に強化し、海、空、宇宙の立体化権益維持システムを着実に仕上げるとともに、全海域で石油・天然ガスの探査・開発、定期巡航法執行・検査などを展開する」
と述べた。

 「海洋権益維持の水準はしっかりと高められた」。
 王局長は
 「昨年中国は釣魚島(日本名・尖閣諸島)の常態化主権維持巡航を継続し、
 黄岩島(スカボロー礁)に対する優勢管理・コントロールを継続し、
 仁愛礁(アユンギン礁)、南北康暗沙海域で実効性ある監視を行い、
 中建南プロジェクトの実施過程では海警局船隊が陣頭に立って、ベトナム側の大規模な破壊行動を効果的に阻止した」
と述べた。

 姜大明(ジアン・ダーミン)国土資源部長(国土資源相)は
 「国家の海洋権益を守る闘争は依然複雑で厳しい情勢にある。
 海警局の法執行能力を大幅に高めて、各種の複雑な局面に対処する準備を整える必要がある」
と指摘した。

 王局長は今年の取り組みについて
▽:島しょの主権を断固として守り、長期的な力比べの準備を整える
▽:釣魚島の常態化主権維持巡航、黄岩島に対する優勢管理・コントロールを引き続き成し遂げる
▽:海洋における総合的な法執行を的確に強化し、
 海警局部隊の整理統合を加速し、
 「三無」船舶による活動と不法操業を重点的に取り締まり、
 海上活動の安全を確保する
よう指示した。

 王局長によると、今年中国は無人島特別法執行行動を展開し、領海基点となる島、すでに開発・利用された無人島、重要な生態的価値を持つ島に対する監視・観測を全面的に展開する。

(提供/人民網日本語版・翻訳/NA・編集/武藤)



サーチナニュース 2015-03-03 11:51
http://news.searchina.net/id/1563653?page=1

尖閣諸島問題
・・・「日本の一方的な排他的管理を打破する」と中国軍副参謀総長

 中国人民解放軍の孫建国副参謀総長は新華社系誌「瞭望東方周刊」の取材に応えてこのほど、尖閣諸島の問題について
 「われれは断固として、日本が釣魚島(尖閣諸島の中国側通称)海域を一方的かつ排他的に管理している状況を打破する」
などと述べた。
  孫副参謀総長は、尖閣諸島の問題で日中の対立が激しくなった発端を、日本が同諸島を国有化したことと主張。
 「われれは断固として、日本が釣魚島(尖閣諸島の中国側通称)海域を一方的かつ排他的に管理している状況を打破する」、
 「さらに1歩、戦略の主導権を掌握する」
と述べた。

  中国中央は、日本政府による同諸島国有化に対抗するために「果断な決断」をしたとして、
  「公船を断固として釣魚島から12海里以内の海域に派遣し、権利維持のためのパトロールを常態化させた」、
 「東シナ海に初めて防空識別圏を設けた」
ことなどを挙げ、
 「釣魚島の権利維持について、重大な歴史的突破をした」
と主張した。
 孫建国副参謀総長は1952年生まれ。
 海軍潜水艦学院を卒業し、海軍畑を歩んだ。
 現在は中国国際戦略学会の会長も務めている。

 **********

◆解説◆
  尖閣諸島の国有化問題の発端は、2010年9月に同諸島付近で操業中の中国漁船を日本の海上保安庁巡視船が取り締まろうとしたところ、同漁船が巡視船に自船をぶつけた、いわゆる「尖閣諸島中国漁船衝突事件」があった。
   その後、石原慎太郎都知事(当時)が、私有地だった尖閣諸島の3島(魚釣島、北小島、南小島)を東京都が購入する構想を発表。
 中国側の猛反発を受けた野田内閣は「平穏かつ安定的な維持管理」をするためとして、国有化を決めた。
  尖閣諸島の問題で日中両国民が大きな衝撃を受けたのは「漁船衝突・船長逮捕」だったが、中国側は「日本政府の国有化で問題がエスカレート」との主張を繰り返している。
 なお、
★.同諸島で2番目の大きさの久場島(くばじま)と5番目の大正島は
 米軍が射爆撃場として排他的に管理している(使用は中断)。
★. 中国側としては「自国領内に米軍の軍事施設がある」という“ゆゆしき事態”であるはずだが、言及することはない。

  中華民国(台湾)政府が尖閣諸島の領有権を初めて正式に主張したのは1971年6月11日。同年12月30日、中華人民共和国(中国)政府も、尖閣諸島の領有権を主張しはじめた。
   中国共産党は「反植民地状態だった中国から、外国勢力を追い出し、完全な自主独立を実現した」ことを政権の正統性の重要な根拠としている。
 したがって、中華民国が尖閣諸島の領有権を主張した場合、中華人民共和国としても座視はできず、「同様に領有権を主張せざるをえない」立場だ。
  日本では1971年、「日中国交正常化」を求める声が盛り上がっていた。台湾当局としては、「中華人民共和国に尖閣諸島の領有権を主張させる」ことで、日中間に「深刻な対立の原因」という“地雷”を埋めておくことになったとも言える。








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イスラム国人質事件(1):日本外交は大きく変化する、通用しなくなった戦後の「全方位外交」、日本の「自粛文化」は極致の水準

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この事件は『普通の国』政策に大きな舵を切る節目になる。
 「お詫びと反省の国」から「普通の国」へ変わるとき、
 いったいどんな形で、どんなキッカケで変わっていくものか
その事例の一つとして、この事件は大きくかかわってくるように思える。


2015.01.30(金)  Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42806

イスラム国人質事件、日本外交の転換点か
(2015年1月29日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 日本では今、
 「I am Kenji(私はケンジ)」
が「I am Charlie(私はシャルリ)」に取って代わって一番叫ばれるスローガンになっている。
 ここで言うケンジとは、後藤健二氏のこと。シリアで過激派武装組織「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」に拘束された、尊敬されているフリーランスジャーナリストだ。

 1月24日、今や嫌というほどお馴染みになったオレンジ色のジャンプスーツを着た後藤氏の動画が公開された。
 後藤氏は、人質になっていたもう1人の日本人、湯川遥菜氏の遺体を写したと見られる写真を手に持っていた。
 湯川氏はほぼ間違いなく、日本政府が2億ドルの身代金を払うことを拒んだ後に首をはねられたようだ。
 ISISはヨルダンに収監されているアルカイダの過激派の釈放を要求している。
 彼女が解放されなければ、次に死ぬのは後藤氏だ、
とISISは警告している。

■安倍首相の掲げた「積極的平和主義」

 後藤氏の運命よりはるかに大きなものが、今、分かれ目にある。平和主義憲法に根差す日本の外交政策が分水嶺に立っているのだ。
 後藤氏の運命に日本国民がどう反応するかが、日本が今後向かう方向性に大きな影響をもたらす可能性がある。

 互いに関連のある2つの変化が進行している。
 まず、保守派の安倍晋三首相は、より強固な防衛態勢を築こうとしている。
 これは首相が「積極的平和主義」と名付けたものだ。

 この積極的平和主義は、同盟国への武器の売却――最近まで厳密に禁止されてきたこと――から中国と争われている島嶼周辺での海上防衛の強化に至るまで、あらゆることを正当化するために利用されてきた。

 特に、安倍首相は同盟国が攻撃された場合に日本が支援することを禁じる憲法の解釈を変更したいと考えている。
 理想的には、日本が交戦権を永久に放棄することを定めた1947年憲法の第9条を廃止したいとも思っている。

 現実には、それは恐らく不可能だろう。
 憲法改正に必要な国民投票では、極めて平和主義の日本国民がほぼ間違いなくそのような修正を否決するからだ。

 次に、日本政府が長年、国際舞台で自国を中立な国として演出しようとしてきた後で、安倍氏は立場を明確にする方向へ日本を突き動かそうとしている。
 第2次世界大戦以降、日本は想像力豊かに「全方位外交」と名付けられたものを追求してきた。

★.ありていに言えば、全方位外交は、すべての人の友人であるふりをしながら、自国の経済的利益を追求することを意味した。
 その間、
 日本を防衛する危険な仕事は米国にアウトソースされた。

■通用しなくなった戦後の「全方位外交」

 全方位外交にも用途はあった。
 例えば1973年には、日本の外交官らはオイルショックの破滅的な原油禁輸措置に直面し、日本政府をアラブ世界の友人として打ち出すことで、ヨム・キプル戦争(第4次中東戦争)でイスラエルを支持する米国と距離を置いた。
 すると、原油が再び日本に流れ込んだ。

 今から10年前、日本政府はイランで似たようなカードを切った。
 日本はイラン政府に熱心に働きかけ、巨大なアザデガン油田の権益を獲得した。
 ただ、この時は、制裁の名の下に、米国政府によって合意を帳消しにされた。

 中立性のイリュージョンは、うまくやり遂げるのが難しくなっている。
 日本の経済的影響力が衰える一方で、中国の台頭と米国の9.11テロ攻撃で戦略地政学的な断層が広がったからだ。
 今回の人質事件の危機は、安倍氏の外交政策の野望にとって、もろ刃の剣となるかもしれない。

★.同氏はこの事件を、
 日本がもっと自立する必要がある証拠として利用
しようとするだろう。
 多くの国と異なり、日本には、いつでも救出作戦に乗り出せる特殊部隊がないし、自国民を傷つけようとする外国勢力に対して軍事行動を取る憲法上の自由もない。

 防衛専門家で安倍氏の外交政策を支持する岡本行男氏は、今回の拉致事件によって、
★.日本国民は世界の不愉快な現実を突きつけられたと言う。
 「我々はもう、カモフラージュされた中立性の陰に隠れることができない」

 日本では、多くの人がこれとは正反対の結論を導き出すだろう。
 今回の事件は外国での冒険に巻き込まれるリスクを示していると彼らは言うだろう。
 他国と距離があって、浮世離れした日本の快適さからすると、諸外国はさまざまな一神教が優位性を争う、血も凍るような場所に思える。

 安倍氏は、ISISと戦う国々に対して2億ドルの人道支援を行うことを約束したことで、国会で批判された。
 批判的な向きに言わせると、それが原理主義の雄牛を煽る赤いマントだったのだという。

 「多くの人が言っていますよ。『一体なんで我々は米国の保安官代理になりたいのか? 我々は本当に自分の身を危険にさらしたいのか?』とね」。
 東京のテンプル大学のジェフ・キングストン教授はこう言う。
 この議論の結果は、多分に後藤氏の運命にかかっているのかもしれない。

 処刑された湯川氏は、自分は満州の姫の生まれ変わりだと言っていたことがあり、その挙句に、うっかりと中東に足を踏み入れてしまった夢想家だ。
 そんな湯川氏とは異なり、後藤氏は、多くの国民の同情を誘っている。

■後藤氏の運命に日本人はどう反応するか

 後藤氏は、ジャーナリストとしてのキャリアの多くを紛争地域の子供たちの苦難を世界に伝えるために費やしてきた人道主義者であり、不運な湯川氏を救出しようとする必死の試みでシリアに向かった。
 28日時点では可能に思えたように、もし後藤氏が解放されたとしたら、安倍氏の立場は有利になるだろう。
 たとえ後藤氏の自由がヨルダンの人質交換を通じて勝ち取られたものだったとしても、妥協を拒む安倍外交は結果を出したと見なされるからだ。

 一方で、もし後藤氏が結局、死ぬことになってしまったら、外国への関与に対する国民の支持が揺らぎかねない。
 そうなった場合、安倍氏が憲法解釈の変更をいっそう推し進めるために必要な法案を可決するのが難しくなるかもしれない。
 しかし、長期的には、どんな後退も恐らく一時的なものになるだろう。

■いずれにせよ、日本の立場には変化

 何しろ、世界は変化している。
 中国は日本に対して、自国の領有権の主張を強めている。
★.日本政府の多くの関係者は米国のことを、
 いざとなった時に日本の防衛のために米国人の血を流すことはない、頼りにならない同盟国と見なす
ようになっている。

 その一方で、日本が今も原油の調達先として依存している中東は、イデオロギーを巡る戦いで焼け落ちている。
★.日本がどっちつかずの立場を取っていられる時代は終わりつつあるのだ。

By David Pilling
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サーチナニュース 2015-01-30 10:07
http://news.searchina.net/id/1559489?page=1

「イスラム国」邦人人質事件
 「前例主義」が日本の動きを窮屈にしている=中国メディア

 「イスラム国」とされるグループによる邦人人質事件について、中国メディア・新浪軍事は29日、安倍晋三首相をはじめとする日本政府の「テロリズム」への対応について中国人専門家らがどのように見ているかを報じた。

  記事は、今回の事件における日本政府の対応について、3人の専門家の意見を紹介。
  まず、シンガポール国立大学の国際問題専門家・黄靖氏が「100点満点で70点」と回答し、
 ポジティブな評価の理由として
 「突発的な状況に対して、日本政府が非常に厳格に情報の掌握を行っており、社会にはあれこれ言うなかで、政府は手中の情報をしっかりとコントロールしている」
と語ったことを伝えた。
  一方、ネガティブな要素として、
 「安倍晋三首相のパフォーマンスは非常にまずい。
 まず、中国や米国といった世界の大国がどの地域の問題についても有事のさいの準備をしているのに、日本はまったく準備をしていなかった。
 そして、安倍首相は今回の危機にかんして国際的な連携が基本的に取れていない。
 反テロは国際的な問題であるのに、日本はまるで井の中の蛙の如くイスラム国を見ており、フランスのように国際世論の支持を取り付けるようなことをしていない」
と評したことを紹介した。

  つぎに、中国社会科学院日本研究所副所長の高洪氏が「及第点程度」と回答したことを伝えた。
  そして、
 「今回の問題に対して日本政府は速やかにヨルダンに緊急対策本部を設けたが、対策本部は国家安全保障局の指導を受ける。
 日本には前例がなければ動かないという『前例主義』があり、設置から日が浅い国家安全保障局によって動きが窮屈になっている」
ことを減点のポイントに挙げたとした。
  そして、中国政府系シンクタンク・道紀中華シンクタンクの日本代表処首席研究員を務める庚欣氏が、
 「数年前に日本人がイラクやアフガニスタン滞在時に中国のパスポートを所持し、テロリストに遭遇した際に日本のパスポートを見せて相手が態度を悪化させることを避けた」
と語ったことを紹介。
 そのうえで、日本政府について
 「当初は中庸に立ち、フランスでの大規模デモに積極的に参加しなかった。
 しかし人質事件は安倍首相の『不適切』な“2億米ドルのPR”が引き起こしたものであり、対応する必要に迫られた。
 この対応において生じるハイレベルな矛盾が安倍首相にのしかかり、処理しようとすれば身動きが取れなくなる。
 これは日本国政府の分裂的な政治的性格に関係しているのだ」
と論じたことを伝えた。



jiji.com (2015/02/02-18:27)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2015020200563

後藤さんに渡航中止要請=昨年9月から3回-政府

 政府が過激組織「イスラム国」によって殺害されたとみられる後藤健二さんに対し、昨年9~10月に3回にわたってシリアへの渡航を見合わせるよう直接要請していたことが2日分かった。
 関係者によると、
★.外務省職員が昨年9月下旬と同10月上旬に電話で
★.同月中旬には面会して渡航中止を求めた
が、翻意させるには至らなかったという。

 外務省は2011年4月にシリア全土に「退避勧告」を発出している。

 後藤さんの渡航計画を把握した同省は昨年9月26日に渡航中止を要請。
 10月3日に後藤さんの入国を知って即時退避を求めた。
 帰国後の同月14日には職員が面会して再び渡航しないよう注意喚起した。
 だが、11月1日に後藤さんの家族から、連絡が取れなくなったと通報があった。

 後藤さんは昨年10月末にシリア北部で行方不明になり、先月20日に殺害予告の動画がインターネット上に公開されたのに続き、1日には殺害されたとみられる映像が公開された。
 先に殺害されたとみられる湯川遥菜さんの入国については、外務省は事前に把握していなかった。
 事件を受けて安倍晋三首相は2日の参院予算委員会で、「内外の日本人の安全確保に万全を期したい」と改めて強調。
 自民党が2日開いた対策本部では、退避勧告に強制力を持たせるべきだとの意見が出た。
 しかし、憲法22条が保障する「居住、移転の自由」との兼ね合いで、渡航を禁止するのは困難なのが実情だ。



ロイター 2015年 02月 1日 23:26 JST
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPKBN0L51HY20150201

アングル:自衛隊の邦人救出、人質事件で今国会の論点に急浮上 

[東京 1日 ロイター] -
 過激派組織「イスラム国」とみられるグループによる日本人人質事件が最悪の結末を迎え、今後の論点の1つに自衛隊による在外邦人の救出が浮上してきた。
★.実際に人質の救出作戦を実行するにはハードルが高い
との指摘があるものの、
★.法整備を行うことが邦人に対するテロの抑止力を高める
などとして議論が進んでいきそうだ。

1月下旬に始まった今年の通常国会では、集団的自衛権の行使を可能にする法案審議が焦点になるはずだった。
 しかし、今回の人質事件を受け、
★.海外で日本人が拘束された場合に自衛隊が救出に行けるのか、
という点がにわかに注目され出した。

★.海外で邦人がトラブルに巻き込まれた際、現行法で自衛隊に許されている活動は、輸送に限定されている。

 しかし、安倍首相は1月29日の衆院予算委員会で
 「領域国の受け入れ同意があれば、自衛隊の持てる能力を生かし、救出に対して対応できるようにすることは国の責任だ」
と語り、任務の拡大に意欲を示した。

<国会論戦に備えていた政府>

 自衛隊による邦人救出は、安倍政権が昨年7月の閣議決定で法整備を進めることを決めており、今回の事件を機に降って湧いた話ではない。
 ただ、元防衛相の小池百合子衆院議員は1月30日のロイターとのインタビューで「検討しなければならないケースが増えた」と語り、今回の事案が新たに政府内の議論や国会審議、実際の法整備に影響を与えうるとの見方を示している。

 後藤健二さんと湯川遥菜さんの拘束が明らかになった直後、政府は自衛隊の邦人救助が国会などで議論になることを見越し、統一見解をあらためてまとめ、論戦に備えていた。
 国家安全保障局が作成した想定問答集には
 「領域国の同意に基づく邦人救出などの警察的な活動ができるよう法整備を進める」
との文言が盛り込まれていた。
 つまり、テロ集団などに邦人が拘束されたケースで、
★.その場所が現地政府の実効支配下にあって治安が維持され、
 かつ同政府の許可を得ることができれば、
 武力行使を伴わない警察力として自衛隊を派遣できる
よう法整備をする、との方針だ。

 自民党の谷垣禎一幹事長は、後藤さんとみられる男性の殺害映像が流れた後の2月1日朝のテレビ番組で
 「今の場合で言えば、領域国の救出活動に頼らざるをない。
 仮に領域国から日本も一緒になって救出しようと言われた場合、なす術ない」
と発言。
 「(法律の)すき間を埋める議論をする必要がある」
と語った。

<人質の居場所がつかめない>

 だが、現場の自衛隊の指揮・命令に責任を持つ立場の防衛省関係者は、自衛隊が実際に救出作戦を行うのは現実的ではないとの見方を示す。
 領域国の支配が及ぶ地域に警察力を送るのは、相手国の主権にかかわる問題であり、同意を得るのが難しいと見る。
 一方、支配が及んでいない地域には組織的な武装勢力がいる可能性が排除できず、武力衝突につながる恐れがあるとして、現行憲法の枠内では自衛隊を派遣できないとの法的解釈が維持されている。

 その関係者は「どういう場面があるのか、考えにくい」と話す。

 能力面でも問題点を指摘する。
 陸上自衛隊には、オウム真理教による一連の事件後に創設準備が始まり、2004年に発足した「特殊作戦群」と呼ばれる部隊がある。
 海外で人質を救出するには、対テロ作戦を主任務とする彼らが派遣される可能性が高いとみられる。
 しかし、日本はインテリジェンス(情報能力)が弱く、人質の居場所を特定することが難しいと、同関係者は言う。

<「サンダーボルト作戦」は可能か>

 それでも、邦人救出に向けた法整備は議論が進みそうだ。
 海外での自衛隊の任務拡大に慎重な公明党も、井上義久幹事長が1日朝のテレビ番組で
 「国民の間にも、何とかできないのか、という率直な意見があると思う」
と指摘。
 「これからしっかり協議していかなければならない」
と語っている。

 人質救出のケースとして有名なのは、1976年にイスラエル軍がウガンダのエンテベ空港で行った「サンダーボルト作戦」。
 人質105人のうち犠牲者は3人で、今も成功例として引き合いに出されることが多い。

 「法整備をしたとしても、日本はサンダーボルト作戦のようなことは絶対にできないと思う」
と、小池衆院議員は言う。
 「でも、今は備えもなく、選択肢さえない。
 選択肢として持っていることで抑止力になる」
と、同議員は話す。

(久保信博、リンダ・シーグ 編集:田巻一彦)



朝日新聞デジタル 2015年2月1日18時56分
http://www.asahi.com/articles/ASH2162H0H21UTIL03H.html

「喪失感受け入れなければ…」 後藤さん親族・談話全文

 後藤健二さんが設立した映像通信会社「インデペンデント・プレス」(東京都港区)のホームページに1日、後藤さんの「親族一同」からとする次のメッセージが掲載された。


 日本政府及び各国政府並びに国民の皆様へ

 この度は、後藤健二が世間をお騒がせすることとなり、大変申し訳ございません。

 解放に向けご尽力いただきました日本政府及び各国政府、並び無事解放を願っていただきました国民の皆様に対しまして、親族一同心よりお礼申し上げます。
 さらに、この間ご支援を頂きました友人の皆様に心より感謝申し上げます。

 10月末にシリア国境付近にて消息を絶って以来、私ども家族は無事の帰国を祈ってまいりましたが、このような結果となり痛恨の極みであり、悲しみに打ちひしがれております。

 ジャーナリストという職業柄、危険な地域の取材に出かけることも多く、万一の場合の覚悟はしてきたつもりでおりましたが、大切な家族を失い、この喪失感を受け入れなければならない塗炭の苦しみの中にあります。

 最後に、親族一同の願いとしましては、後藤健二の御霊の安らぎを願うとともに、幼い子供たちとともに心静かな生活を送って参りたいと思っておりますので、ご理解とご高配を賜れれば幸いです。

 後藤健二 親族一同




レコードチャイナ 配信日時:2015年2月2日 13時0分
http://www.recordchina.co.jp/a101753.html

後藤さん親族の声明に
「この親族は本当に偉大」
「中国人は100年かけても追いつけない」
と驚きの声―中国ネット

  2015年2月1日、中国版ツイッター・微博(ウェイボー)で、後藤健二さんを殺害したとする映像公開を受け、後藤さんの親族が日本政府や各国政府、国民への声明を出したことを伝える投稿があった。

 投稿者は、その声明の中で後藤さんの親族が
 「世間をお騒がせすることとなり大変申し訳ありません」
と謝罪していることや、解放に向けて尽力した日本政府や各国政府、解放を願った国民や友人に対する感謝を述べていることを紹介した。

これを見た中国のネットユーザーからは驚きのコメントが多く寄せられた。

「国民の民度はこれで一目瞭然」
「ついに日本民族が強い理由が分かった。
 これは100年どころの差ではないよ」
「日本人の民度には中国人が100年かけても追いつけないな」

「ものすごく落ち着いているんだな。
 尊敬するよ」
「日本人の心は本当に強いとしか言いようがない」
「日本人は不幸な事件を正面から直視し、尊厳をもってこの不幸に向かい合っている」

「この親族は本当に偉大だ」
「特に後藤さんのお母さんには敬服させられる」
「日本人に対する新たな理解を得た」

「日本国民から学ぶに値することは本当にたくさんある」
「日本語の先生が言っていたことは本当だった。
 日本人がまず最初に心配するのが人に迷惑をかけることなんだな」
「日本社会の雰囲気というのは、何が起きても人に迷惑をかけてはダメなのか?
 それが命に関わることであっても?」



レコードチャイナ 配信日時:2015年2月2日 10時30分
http://www.recordchina.co.jp/a101746.html

後藤さん妻が声明
「支えてくれた人々に感謝、夫を誇りに思う」
=韓国ネット「日本から多くのことを学んだ」
「冷静過ぎて悲しい…」

 2015年2月2日、韓国・聯合ニュースによると、過激組織「イスラム国」で拘束されていた後藤健二さんとみられる男性の殺害映像が公開されたことを受け、後藤さんの妻は、
 「紛争地の人々の苦痛を伝えた夫を大変誇りに思っている」
と述べた。

 後藤さんの妻は1日、英国のジャーナリスト支援団体を通じ、声明を発表。「とても悲しく、大きな喪失を感じている」とした上で、
 「子供たちの目を通して、紛争地域の窮状を伝えた夫を誇りに思う。
 これまで私たち家族を支えてくれた人々にとても感謝している」
などと述べた。

この声明に、韓国のネットユーザーからは称賛のコメントが多く寄せられている。

「日本政府は嫌いだが、日本国民は素晴らしい。
 悲しみをグッとこらえ感情をむき出しにしない日本人を尊敬する」
「政府のせいにしないところがすごい。
 どうしても韓国人と比較してしまう…」

「つらくても冷静に振る舞う姿がかっこいい。
 今回の事件で、日本から多くのことを学んだ」
「韓国だったら、『大統領は謝罪しろ!』と大変な騒ぎになるだろう」

「日本人に学ぼう」
「尊敬する。
 韓国人遺族とは大違い」
「日本人のメンタルは本当に強い。
 韓国人だったら政府に賠償金を払わせようと必死に訴えるだろう」

「素晴らしいと評価するべきなのかな?
 夫が殺されたのにどうしてこんなに落ち着いていられるの?」
「誇らしいという人の気が知れない。
 冷静過ぎて悲しい」



FOCUS-ASIA.COM 2月2日(月)12時53分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150202-00000016-xinhua-cn

憎しみの連鎖は望まない
・・後藤健二さんの母の会見が韓国で反響
「100年先の意識水準」
「すぐ隣の国なのに、どうしてこんなに…」

 イスラム教スンニ派の過激派武装勢力「イスラム国(IS)」に殺害されたとみられる後藤健二さん(47)の母、石堂順子さんの会見が韓国で反響を呼んでいる。
 韓国紙・東亜日報は2日、石堂さんの「涙の記者会見」を後藤さんのこれまでの足跡とともに紹介する記事を掲載した。

 記事は、石堂さんの
 「息子が長い旅に出てしまいました。
 戦争のない世界を夢見て紛争と貧困から子どもたちを守ろういう息子の信念が、世界中の人々に伝えられることを願います。
 この悲しみが憎しみの連鎖を作ることは望みません」
というコメントを紹介したうえで、
 「政府を非難するような言葉はなかった」
と解説を加えた。
 また、
 「弟の釈放のために努力した日本政府に感謝する」
という後藤さんの兄のコメントも紹介し、日本の国内世論が今回の政府の対応については大勢が肯定していると伝えた。

 一方、後藤さんについては、中東や北アフリカ、アフガニスタンなどの紛争地域を飛び回り、教育も満足に受けられずに戦争に駆り出されたり被害を受けている子供たちを支援する活動を行ってきたことを伝えている。

このニュースに対し、韓国ネットユーザーからは多くの意見が寄せられている。主なコメントを紹介しよう。

「ほんとすぐ隣の国なのに、どうしてこんなに意識水準の差が出るのだろう」
「韓国なら、これを機会と見た野党が特別法を要求するなど政府批判を繰り返すだろう」
「残忍なISテロ集団
 …消えることの無い親子の悲劇をもたらす
 …どうか戦争の無い平穏な所で安らかにお眠りください」

「怖いです…。
 韓国のネチズンたちが。
 無差別殺人みたいに。
 過去の日本は明らかに過ちを犯しましたが、無辜の市民が日本人だからとこんな残忍な死を前にして韓国の人々が考えて吐き出す言葉が。
 日本が誤っていたと人の命より悲痛な歴史を語っています。
 しかし今の状況でまず考えるべきは無辜の民の命。
 無差別殺人に同調しないで」

「あの母親にあの息子、あの兄です
 …日本国民のこのような国家観と愛国心は見習いたい」
「日本の遺族の方を尊敬します。
 韓国なら光化門にテントを設営して、総理退陣を迫って騒ぐだろう」
「韓国なら大統領が責任取れと、騒ぎになったろう。
 先進国と後進国の差」
「我々より100年先を行く先進国の意識水準だと認めます。
 安倍が慰安婦問題さえ認めればグッドなのに。 
 ご冥福をお祈りします」

「メンタルは韓国より上」
「彼がIS統治下にいる人々に対し言葉に尽くせぬ憐憫と愛情を感じ、ムスリムからも尊敬されたとことは確かな事実だ」
「わあ…親がまったく冷静
 …韓国とは真逆だわ…」
「後藤健二の眼の輝きを見ろよ。
 あそこに行った理由も素晴らしいものだ」



2015年02月03日 07時26分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150202-OYT1T50125.html?from=ytop_top

対「イスラム国」自衛隊は邦人救出できず…首相

 安倍首相は2日の参院予算委員会で、今国会に提出予定の安全保障関連法案が成立した場合でも、イスラム過激派組織「イスラム国」による日本人人質事件で自衛隊が邦人救出に当たることはできないとの見方を示した。

 首相は
  「(人質が拘束されている)シリアの同意はおそらくあり得ない。
 仮にシリアの同意がとれたとして、ISIL(イスラム国の別称)が国家に準ずる組織であれば、自衛隊は派遣できない」
と述べた。
 そのうえで
 「実際に法的要件を整えても、(自衛隊の)オペレーションができるのかという基本的な大問題もある」
とも語った。

 政府は昨年7月の閣議決定で、邦人救出に当たる自衛隊の活動範囲について
〈1〉:現地政府の同意
〈2〉:「国家に準ずる組織」が存在していない
――ことなどを挙げている。



NHKニュース 2015年(平成27年)2月5日[木曜日]
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150204/k10015204411000.html

高村副総裁「後藤さん蛮勇と言わざるをえず」

  自民党の高村副総裁は、党本部で記者団に対し、イスラム過激派組織「イスラム国」による日本人殺害事件に関連して、外務省の担当者が渡航の自粛を3回にわたって働きかけたにもかかわらず、シリアに入国し拘束された後藤健二さんの対応は「蛮勇と言わざるをえない」と述べました。

 この中で自民党の高村副総裁は、イスラム過激派組織「イスラム国」による日本人殺害事件に関連して、「拘束された後藤健二さんは極めて優しい人で使命感が高く、勇気のある人だった。テロリストたちに対する怒りが、ますます強くなってくる」と述べました。
 一方で、高村氏は
 「後藤さんが3度にわたる日本政府の警告にもかかわらず、テロリストの支配地域に入ったということは、どんなに使命感が高かったとしても蛮勇と言わざるをえない。
 個人で責任を取りえないこともあることを肝に銘じてほしい」
と述べました。
 さらに、高村氏は
 「後藤さんの遺志を継いであとに続く人たちは、使命を果たすためであっても蛮勇にならないように細心の注意を払って行動してほしい」
と述べました。



サーチナニュース 2015-02-05 19:13
http://news.searchina.net/id/1560494?page=1

日本の「自粛文化」は極致の水準
・・・「イスラム国」人質殺人事件で分かった=台湾メディア

 日本人2人を拘束の後に殺害し、ヨルダン人パイロット、ムアーズ・カサースベ中尉をも殺害したとする画像をネット上で公開した過激派組織「イスラム国」。
 安倍晋三首相も
 「テロリストを決して許さない。その罪を償わせる」
とイスラム国を強く非難。
 ヨルダン政府は「報復」を宣言した。

  台湾メディアの聯合報は4日、過激派組織「イスラム国」に後藤健二さんが殺害されたことに対し、
 「同事件からの日本人の自粛の文化」
が見て取ることができると報じた。
 記事は、後藤さんがイスラム国に拘束され、殺害されたことを受け、日本国内ではテレビ番組の自粛や内容の変更が相次いだことを紹介。
 こうした自粛は内容の変更に対し、「自らを律する行動である」と指摘したうえで、
 日本人は天性の悲観主義者
のようだと論じた。

  さらに、
 日本人は何事も最悪のケースを常に想定している
と主張したうえで、「自粛」の文化はもはや“極致の水準”にまで達していると主張した。
 
  後藤さんが殺害される前、日本では「特別番組」などが組まれることなく、
 報道機関はあくまでも冷静に、粛々とその他の重要なニュースを伝えていた
と指摘。
 続けて、
 「仮に台湾人が拘束されるといった同様の事件が発生すれば、
 テレビ番組は事件の報道ばかりになることは間違いない」とし、
 「殺害した黒尽くめの男を忘れるな」といった呼びかけも行われるに違いないと伝えた。
  また記事は、日本の報道を見てみると、
 「テレビの中継はヨルダンからが多く、イスラム国の武装集団が銃を持って戦っている様子などは相当制限されていることが分かる」
と主張。
 さらに、台湾でも即時的な報道がなされているとしながらも、
 イスラム国の人質殺害事件をめぐる日本の一連の報道を見て、
 わずか10分のニュースであっても伝えるべき点に洩れはなく、
 台湾の報道体制よりむしろ進展を感じることができる内容だった」
と報じた。







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2015年1月28日水曜日

中国共産党の権力抗争(3):「解放軍最高指導者は習近平主席」と解放軍報が1面で強調するワケ?「習家軍(習近平の軍隊)」に

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 解放軍の汚職軍人という上層部の泡を潰し始めたら、その下から堅固な分派勢力が出てきた、といったところのようである。
 同じことは汚職官僚層という上部層の泡を潰すと、勢力隠然たる分派官僚勢力が姿を表す可能性がある。
 汚職腐敗撲滅だけでことは済まないようである。
 独裁になればなるほど絶対的に腐敗していくが、
 同時に絶対的に反対勢力が生まれてくる
ことにもなる。
 「2015年の中国」がどうなっていくのか、ドラマはまだまだ続いていくようである。


サーチナ 1月28日(水)10時29分配信
http://news.searchina.net/id/1559122?page=1

軍の最高指導者は習近平主席
・・・解放軍報が1面で強調、軍内部に「分派」か

 中国・中央軍事委員会機関紙の解放軍報は28日付の1面で、
 「工作制度はさらに1歩、真に厳しくせねばならない」
との見出しの記事を掲載した。
 同記事は、軍の指導者が中央軍事委員会主席、すなわち習近平主席と改めて強調した。
★.中国では「常識」である制度を強調したことは、
 軍内部に指導体制に抵抗する勢力がある可能性を示唆
するものと言ってよい。

 記事は、
★.「党の軍に対する絶対的な指導は抽象的な原則要求ではない」、
★.「(制度の)核心は、部隊の最高指導権と指揮権は党中央と中央軍事委員会に属することだ。
 中央軍事委員会は主席による責任制度を実施えいている」
などと主張。
★.軍に対する党と中央軍事委員会の指導と、
 中央軍事委員会主席が同委の責任者であることを繰り返し強調した。

 さらに、軍に対する絶対的指導体制を堅持するために、
★.「高級指導幹部と指導機関の責任がさらに大きい。
 態度を特別に鮮明にせねばならない。
 断固として行動せねばならない」、
★.「言葉(個人的発言)を持って法に代え、権力で法を曲げ、私情で法を曲げることは絶対に許されない。
 個人の権勢で紀律順守や法の執行を妨害することは、絶対に許されない」
などと主張した。

 中華人民共和国憲法は、「中国共産党が国家を指導」や「中央軍事委員会が(人民解放軍など)全国の武装力を指導」、「中央軍事委員会は、主席責任制を実施」ことを明記している。
 さらに、中華人民共和国国防法は、同国の武装勢力は「中国共産党の指導を受ける」と明記している。

 上記は、中国では「ほぼ常識」だ。
★.解放軍報が「当たり前」のことを繰り返し強調する文章を、しかも1面に掲載したことは、
 軍内に党執行部、つまり習近平体制に抵抗する勢力が存在し、
 体制側にとっても放置できない状況になっている可能性を示唆する
と言ってよい。

 解放軍報の記事が「腐敗問題」に直接触れていないことも注目に値する。
★.軍内部に腐敗や利権問題とは別に、
 習近平体制に批判的な勢力が存在する可能性がある。

**********

◆解説◆
 中国には2つの「中央軍事委員会」がある。
★.ひとつは中国共産党中央軍事委員会で、
★ もうひとつは国家中央軍事委員会だ。

 党中央軍事委員会の前身は1925年設立の中央軍事運動委員会。
 その後、中央軍事部、中央軍事科などと名称や組織は変更されたが、中国共産党の「核心的機関」として存在しつづけてきた。

 一方で、国家中央軍事委員会は1983年の発足。
 中国人民解放軍はもともと、国軍ではなく、中国共産党という政治勢力が持つ「私軍」だった。
 中華民国国軍との戦いに勝利して、国民党政権を「海外」である台湾に追いやることに成功したが、
★.「国軍と公然と戦った」からには「反乱軍だった」
と言ってもよい。

 1949年の中華人民共和国発足後、中国人民解放軍は「国防」の任務を担うことになったが、制度上は「国軍でなく共産党軍」との位置づけが残った。
 1983年の国家中央軍事委員会の設立は、「国軍としての人民解放軍」の方向性を打ち出したものとされる。

 ただし国家中央軍事委員会と国家中央軍事委員会は構成員が同じであり、実質的に同一の組織だ。
 そのため中国人民解放軍は現在も、「党軍」という性格が極めて強いと考えてよい。



JB Press 2015.02.02(月)  阿部 純一
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42771

腐敗分子一掃で
「習近平の軍隊」化が進む人民解放軍
「身内びいき」の抜擢人事は反発を買うおそれも

 以前、 本コラム「両立は困難、習近平はなぜ2つの改革に挑むのか」で、習近平の軍に対する「反腐敗」キャンペーンと軍の近代化を目指す改革を同時に進めるのは無理があることを指摘した。
 軍を改革するのならば、腐敗分子を一掃してから取りかかるのが順序だと考えたからである。

 しかし実態は、反腐敗も軍事改革も同時並行で進める構えを崩していない。
 そこから導かれる考え方としては、習近平による「軍権」掌握のプロセスを進めることこそが真の目的であり、2014年6月末の徐才厚「落馬」(汚職容疑で党籍を剥奪され逮捕された)以後の人民解放軍における一連の人事は、
 反腐敗と軍の改革に名を借りた「習近平の軍隊」化である
と言える。

■習近平の命令に忠実であることを要求

 2014年9月21日、北京で全軍参謀長会議が開催され、そこに出席した習近平主席は次のことを強調した。

 「国家安全保障における新たな情勢および軍事闘争準備における新たな要求を前に、
 党の指揮に従い、
  計略に長け戦争する(善謀打仗)新型司令機関の建設に努め、

 軍事工作の創新発展を推進し、
 部隊が情報化された局地戦争に勝利するよう組織し指揮する能力を絶えず強化しなければならない」

 ここで言及された「新型司令機関」が何を意味するのか、
 2013年の「党18期3中全会」(中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議)で提起されていた軍事改革とどう関係してくるのか、
 その後の報道を待ったが新たな情報は出てこなかった。
 そうしたところ、2014年12月25日、中央軍事委員会が習近平主席の批准を経て
 「党の指揮によく従い、計略に長け戦争する新型司令機関の建設に努力することに関する意見」
を発出した。

 この「意見」には軍の党と習近平主席への忠誠を強調する精神論が散りばめられている。
 どこに具体的な「意見」があるのか戸惑いを感じたが、かろうじてそれらしきものがあるとすれば、「参謀隊伍の建設」である。
 すなわち、参謀という職位の資格制度の確立や新たな参謀育成モデルの創出などによる、
 「情報化された局地戦争を指揮する上で要求される専門化した参謀の隊伍」
を建設するための努力が強調されている。

 もっとも、軍の司令機関において参謀が中心的な役割を担うのは当然の話である。
 習近平主席の「新司令機関」がもともと全軍参謀会議で提起された事実に照らして考えれば、習近平主席の批准した「意見」にはほとんど見るべきものがないことになる。

 要は、この「意見」のポイントは
★.「軍は党の指揮に従え」であり、
 極論すれば「習近平主席の命令に忠実な軍隊」であることが要求されている
のである。

■軍の高級幹部が次々に「落馬」

 こうして、2014年は軍の改革については具体的な計画が提示されないまま過ぎることになった。
 だが、この1年間で中央規律検査委により立件され「落馬」した軍における腐敗高級幹部は16名に上った。
★.16名の内訳は、上将1名、中将4名、少将10名、上級大佐1名
であり、当然ながら前代未聞の事態である。

 上将は言うまでもなく徐才厚・前中央軍事委副主席だが、
 徐才厚を含め16名のうち9名までが、軍内における政治工作を担当する政治委員であった
ことが、
 習近平主席による「軍に対する党の指導の徹底」を要求する問題提起に関連付けられる。

 もちろん、徐才厚案件に絡んで「落馬」した将官が多数を占めるが、周永康・前中央政治局常務委員の影響下にあった四川省の成都軍区からも3名、また令計画・前中央弁公庁主任の地元である山西省からも3名の「落馬」があった。
 当然ながら、こうした「落馬」が周永康や徐才厚、令計画とどう関係しているか公式の説明はない。

■軍の大規模な人事異動の狙いとは

 このような軍内の腐敗分子摘発と平行して、習近平主席が主導した大幅な人事調整も明らかとなった。
 すなわち、新年早々に軍における大規模な人事異動が報じられたのである(「看中国」の記事)。
 総参謀部、総後勤部、総装備部、南京軍区を除く大軍区、海軍、第2砲兵部隊、国防大学、軍事科学院、武装警察(武警)部隊に跨る43名に及ぶ人事異動であった。

 異動の狙いは、明らかに習近平主席に忠実な軍指導部の形成である。

 同時に、習近平政権第2期(2017年第19回党大会以降)でも現役での勤務が可能な若手将官の抜擢、すなわち世代交代による「若返り」を図るものであった。
 具体的に言えば、1940年代生まれを引退させ、1950年代生まれを中核にした軍指導体制の形成である。
 実際、今回の異動で1949年生まれの3人の上将が65歳の定年に達したことで引退した。
 第2砲兵部隊政治委員の張海陽、海軍政治委員の劉暁紅、それに軍事科学院院長の劉成軍である。

■3つのキーワードで若手を登用

 そこで問題になるのが抜擢の基準である。
 ここに習近平主席の意向が大きく働くことになる。

 その意向を示す
★.第1のキーワードは「紅二代」である。
 “革命第一世代の子弟”という意味であり、
 従来使われてきた党の高級幹部子弟を指す「太子党」とほぼ同義である。

 ただし「太子党」は、実態はともかく「党」の文字が付いているため、印象としては「グループ」つまり「派閥」と見なされやすい。
 もとより実態は徒党を組んでいるわけではないから、表現としては「太子党」よりは「紅二代」のほうが妥当だろう。
 言うまでもなく習近平主席自身が「紅二代」であり、
 その出自の共通する軍人への信頼度が高いということである。

 文革世代である習近平主席は、当時の知識青年がおしなべて経験した「下放」(青年層を地方の農村で働かせることで社会主義国家建設に協力させること)を実体験として持っている。
 山西省の農村に下放された習近平は、そこで現在、反腐敗キャンペーンで盟友関係にある王岐山・中央紀律検査委書記と知己になったとされている。

 だが、軍は事情が違った。
 子弟の下放を逃れるため、軍人の家庭では子弟を軍に入隊させることで守ったのである。
 正規の手続きでそれができたのかどうかは分からないが、たとえ正規でなくても十代後半の知識青年を子弟に持つ軍人の親の年齢を考えれば、中国革命前の入隊であり、それくらいのことはできる権力のある幹部に昇進していたであろうことは想像に難くない。
 軍に「紅二代」が多数存在するには、そうした事情があった
のである。

★.第2のキーワードは「南京軍区」、とりわけ「第31集団軍」である。
 習近平主席の福建省勤務は1985年6月から2002年10月まで17年の長きにわたったが、その間に緊密な関係を構築したのが第31集団軍だった。

★.中国には全体で18の集団軍がある。
 そのうち、第31集団軍は第一線級の部隊ではない。
 福建省厦門に本拠を置くこの集団軍は、まさに台湾の正面に位置する部隊だが、台湾への軍事的刺激を避けるため、あえて編成や装備で劣る二線級の部隊にとどめてきた。
 しかし、装備は二流でも戦略的には重要な地理的配置にあるわけで、優秀な人材を配置していたのであろう。
 習近平主席はこの第31集団軍との関係をとりわけ重視してきた。

★.第3のキーワードがあるとすれば、「留学帰国組」(「海帰」)の抜擢であろう。
 中国建国後、中ソ蜜月時代の1950年代末まではソ連への留学が多かった。
 だが、その後、中ソ対立、文革という中国の孤立した時代が1970年代まで続いた。
 結果として、軍人が外国で長期の研修を受ける機会は長く失われていたと言ってよい。
 軍人の外国での研修が奨励されるようになったのは、おそらく90年代以降のことであろうから、留学帰国組の年齢は当然若い。
 国際経験が豊かで優秀な若手幹部の登用は、今後も増加していく
ことになろう。

■反腐敗のターゲット「虎」はまだ何匹も残っている

 では、これらのキーワードに沿って、今回の人事異動を見ていこう。

★.まず「紅二代」であるが、
 武警部隊司令員から副総参謀長になった王建平(上将)、
 代わって副総参謀長から武警司令員に回った王寧(中将)、
 蘭州軍区政治委員から海軍政治委員に回った苗華(中将)、
 国防大学校長から北京軍区司令員に回った宋普選(中将)
らが「紅二代」とされる。
 彼らは10代後半から従軍しており、典型的な「紅二代」の軍人である。

★.次いで「第31集団軍」である。
 今回の異動とは関係ないが、
 中央軍事委のメンバーで総後勤部長を務める趙克石(上将)、
 現在の南京軍区司令員である蔡英挺(上将)
はこの第31集団軍の出身であり、軍長経験者である。
 すでに「紅二代」で名の上がった王寧、苗華に加え、
 済南軍区政治部主任から北京衛戍(えいじゅ)区政治委員になった姜勇(少将)も、
済南軍区に赴任する前は第31集団軍の政治委員であった。

★.「留学帰国組」はどうか。
 北京軍区参謀長から副司令員に昇格した白建軍(中将)はロシア留学組であり、
 第41集団軍軍長から広州軍区参謀長に昇格した劉小午(少将)は米国留学組である。

 この人事のなかでとりわけ注目すべきは、
 北京軍区司令員になった宋普選、
 武警司令員になった王寧、
  北京衛戍区政治委員になった姜勇
であろう。

 政治の中心・北京において習近平主席が権力を揮う上で、軍の後ろ盾は必須の要件である。
 宋普選が「紅二代」の一員であることはすでに触れた。
 職歴を見ると、済南軍区での勤務が長いが、2009年から13年まで南京軍区の副司令員であったことが習近平主席との結びつきを窺わせる。

 王寧を武警司令員に配置したことは、まさに習近平主席の身辺警護役という意味合いがある。
 姜勇を北京衛戍区政治委員に登用したのも同様である。
 ともに第31集団軍の軍長、政治委員経験者であり習近平主席に近い軍人である。

★.反腐敗キャンペーンを継続する習近平主席にとって、
 最悪のシナリオは軍の離反
である。
 前中央軍事委副主席の郭伯雄、
 前国防部長の梁光烈、
 そして現職の国防部長の常万全
など、軍の関係では反腐敗のターゲットである「虎」がまだ何匹も残っている。
 これを一網打尽にすれば軍が大混乱に陥る
ことが分かっているだけに、時間をかけて混乱を避けつつ事を運ばなければならない。

 習近平主席の身辺の安全を確保することは今回の人事で概ね実現できたし、軍指導部の“若返り”も進んだ。
 しかし、「紅二代」「第31集団軍」のような、ある意味で「身内びいき」の抜擢人事は反発を買う要素となり得る。
 また、それが今後課題となる軍の機構改革にもマイナスの影響を及ぼしかねない。
 「軍権」掌握を急ぐあまり、人民解放軍を「習家軍(習近平の軍隊)」にするようであれば、まともな軍事改革はおぼつかない。



レコードチャイナ 配信日時:2015年1月19日 5時0分
http://www.recordchina.co.jp/a100866.html

中国人民解放軍で官職売買が横行、関係筋が相場を暴露―米華字メディア

 2015年1月15日、米国に拠点を置く中国情報専門の華字ニュースサイト・博訊によると、中国人民解放軍総政治部の関係筋がこのほど、軍内で行われていた官職売買の相場を暴露した。

 この関係筋によると、軍の最高指導機関である中央軍事委員会で、徐才厚(シュー・ツァイホウ)や郭伯雄(グゥオ・ボーシオン)が制服組の最高ポストに当たる副主席を務めていた当時、軍内では官職の売買が横行。
 将官位の売買価格の相場にちなみ、
★.軍職幹部は1000万元(約1億8900万円)であることから「千軍万馬」
★.100万元(約1890万円)の師団幹部職は「百万雄師」
などの隠語が通用していたという。



レコードチャイナ 配信日時:2015年1月19日 3時20分
http://www.recordchina.co.jp/a100850.html

中国を倒せる国は存在しない、
唯一の脅威は中国自身の腐敗だ―中国退役少将

 2015年1月16日、環球時報は記事
 「中国を倒せる国はない、倒せるのは中国自身の腐敗だけだ」
を掲載した。

 中国人民解放軍は15日、2014年に取り調べ、摘発を行った高級将校16人のリストを発表した。
 うち15人は少将以上の将官だ。
 元制服組トップの徐才厚(シュー・ツァイホウ)元中央軍事委員会副主席が象徴的だが、習近平(シー・ジンピン)体制が反汚職にかける意気込みが改めて示された内容と言える。

 軍事評論家の羅援(ルオ・ユエン)退役少将は環球時報の取材に応じ、
 「反汚職は徹底しなければ ならない、さもなくば日清戦争で日本に負けた国辱が繰り返されることになるだろう」
と警告。
 「強大化した中国と戦う勇気と能力を持った外国は存在しないが、唯一中国を打ち負かす力があるのは中国自身の腐敗だ」
とコメントしている。



 WEDGE Infinity 日本をもっと、考える  2015年03月05日(Thu)  岡崎研究所
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4762

習近平の反汚職運動 
人民解放軍内にどこまで及ぶのか

 Diplomat誌のティエッツィ編集員が、1月31日付同誌ウェブサイト掲載の記事で、習近平は人民解放軍を反汚職運動の次のターゲットにしているようであり、これまで歩調がそろっていなかった、文民と軍の規律検査組織が、新たな協力関係を模索する予兆がある、と報告しています。

 すなわち、人民解放軍内の反汚職運動は、既に、徐才厚、谷俊山という2匹の「トラ」を捕えたが、概して、軍においては文民組織ほど活発には反汚職運動は進展していなかった。

 しかし状況は変化している。
 2014年7月の周永康・元政治局常務委員の立件の後、習近平が人民解放軍を汚職撲滅の次のターゲットにする兆候があった。
 中国メディアは、強力かつクリーンな軍の重要性を説く記事を続々と配信し始め、そういう傾向は2015年に入っても続いている。
 1月初めには、中国メディアは、軍高官が関与した16件の汚職事件について報じた。

 楊宇軍・国防部報道官は、1月29日の記者会見で、人民解放軍における反汚職運動の多くの新しい展開について説明した。
 楊は、中央軍事委員会の査察チームが、今年、全ての主要な軍の組織に対する査察が実施することになろう、と述べた。
 つまり、軍においても党の文民組織と同様、目標は、「トラもハエも捕まえる」のみならず、汚職行為を防止し懲罰するための法的・制度的メカニズムを実際に構築することにある。
 それは、予見し得る将来にわたり、反汚職運動が持続されるようなメカニズムを作ろうということである。

 それがうまく行くかどうかは分からない。
 これまでの反汚職運動の成功は、王岐山・中央規律検査委員会書記に負うところが大きい。
 しかし、軍には、汚職を検査する自前の組織、中央軍事委員会紀律検査委員会がある。
 ごく最近まで、両組織の間では協力が欠如していた。

 軍と文民の汚職検査機関の間で協力するための新たな取り組みが出て来てはいる。
 反汚職運動が始まって2年経ち、中央軍事委員会紀律検査委員が初めて中央規律検査委員会の本会議に出席した。
 それは、新たな協力の時代の予兆であり得る。楊報道官も、記者会見で、軍事機密が保護されることを条件に、軍側として汚職事件についての透明性を高めることを約束した、と述べています。

出典:Shannon Tiezzi,‘Graft Busters Take Aim at China's Military’(Diplomat, January 31, 2015)
http://thediplomat.com/2015/01/graft-busters-take-aim-at-chinas-military/

* * *

 本論説の主たる論旨は、習近平体制下で反汚職運動が人民解放軍の中でも強まるであろうが、しかし、それらがうまくゆくかどうかはわからない、ということです。

 これまで、習体制下において、「虎もハエも叩く」という威勢の良い掛け声のもと、薄煕来、周永康、徐才厚など政治局員レベルの幹部を含む多くの人々を訴追してきました。
 その主たる攻撃対象は、ほとんどが党関係者であり、レベルの高い軍人としては徐才厚や谷峻山に限られてきました。
 しかし、最近になって、中国メディアも報道しているように、軍内にも摘発の対象を広げようとの動きが出ています。

 これまで中国の権力構造の中では人民解放軍は一つの「聖域」でしたから、ここに手を入れることは、軍の強い反撥を引き起こす可能性があり、習近平にとっても容易なことではないでしょう。

 これまでの反汚職運動のターゲットとなってきたのは、主として江沢民や胡錦濤につながる勢力であり、習側近の「太子党」につながる人たちは入っていません。
 その意味では、この運動そのものが権力闘争の色合いをもっており、今回の軍内の汚職摘発も当然その延長線上にあるものと考えられます。

 今日の中国における幹部の腐敗・汚職の度合いは、中国側メディアの報道をそのまま信用するかどうかを別として、驚くべきレベルに達しています。
 徐才厚(前中央軍事委員会副主席)の受け取ったとされる賄賂の額、その放恣な生活ぶりから、党と軍の間に大きな違いがないことが分かります。

 かつて中国共産党は「党内の団結、党幹部の廉潔性、効率的な党運営」を誇示してきましたが、
★.今日の中国共産党は、グループ間で分裂気味であり、
 また、幹部たちの腐敗汚職の程度は法外なもの
となっています。





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日本は「5兆8千億円」の「大いなる中国のお得意様」:これではお家芸の舌鋒鋭い恫喝外交がみすぼらしく映る!

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 2014年1年間に中国は日本から「13兆4千億円」のモノを買ってる。
 同じく日本は中国から「19兆2千億円」のモノを買っている。
 つまり、中国にとって日本は5兆8千億円も余分に買ってくれる「特上のお得意様」なのである。
 これでは民間レベルでは「日本製品ボイコット」もできないし、政府レベルでは中国お得意の『恫喝外交』も効力がない。
 だから外交では日本に対してはいつも決まり文句が出てくる、いわく
 『強い不満を発する』
と。
 文句をいうだけしか方法がない。
 それ以上の手出しができない。
 これが中国のツライところだろう。
 中国製品の19兆円は代替先がある。
 中国がダメなら、ちょっとカネはかかるが別の国から輸入しよう、ということができる。
 しかし、日本製品の13兆円は振替がきかない。
 基幹部品がメインであるため、おいそれと輸入先を日本からドイツにしようといったことができない。
 日本に首根っこを抑えられているようなものである。
 国内宣伝向けにちまちまチョッカイ出す程度で、本腰を入れるには程遠い。
 日本はそれを大仰に言い立てて『普通の国政策』を実行する。
 どう考えても中国に分が悪い。
 ちなみに『普通の』」とは「new normal」のこと。
 中国はこれを『新常態』といい、
 アメリカは『新たな正常』という。
 日、米、中で「new normal」をやっている、
ということになる。
 どこでもやっていることは同じで、訳文を変えているだけである。
 中国が強気になれないのは、
 根本は「中国にとって日本は最上のお得意様である」という点にある。


現代ビジネス 2015/1/28 06:02 磯山 友幸
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150128-00041900-biz_gendai-nb

安倍政権は中国経済頼み!
 日中貿易7.5%増、訪日中国人は1.8倍に

 海上保安庁の発表によると、1月27日、沖縄県・尖閣諸島の久場島沖で、中国海警局所属の公船「海警」2隻が日本の領海を侵犯した。
 2014年1年間だけでも中国船による尖閣諸島海域での領海侵犯は30回を超えており、日中間の政治的緊張関係は続いたままだ。

 ■対中貿易赤字は過去最大

 だが、経済関係に目を転じてみると、様相はまったく違う。
 相次いでまとまりつつある2014年の統計数値をみると、
 政治は冷え込んでも経済関係は熱い「政冷経熱」が鮮明になっている
ことが分かる。

 財務省が1月26日に発表した貿易統計によると、
★.2014年1年間の日本から中国への輸出額は「13兆3844億円」と6%増えた。
★.また、中国から日本への輸出額は「19兆1705億円」と8.6%増えた。
 輸出入を合わせた貿易総額は32兆5550億円と7.5%の増加だった。
  いずれも、過去最高の金額である。

 中国からは半導体など電子部品や通信機器の輸入が大幅に増えた一方、日本からは自動車や化学光学機器などが大きく伸びた。
 鉄鋼や非鉄金属、金属製品など輸入も大きく伸びており、日本の製造業が最終製品を作るに当たって必要な原材料を中国からの輸入に依存している姿が浮かび上がる。

 当然、輸出よりも輸入の方が増え方が大きいため、
 対中貿易赤字額は「5兆7861億円と15%増え、過去最大を更新した。
 景気の減速懸念が広がっている
 中国からすれば、日本向け輸出で稼ぐ貿易黒字は年々大きく
なっており、経済的に無視できない規模になっている。

 ■国内経済が頼みの綱の日中トップ

 日中間の貿易は2000年以降、順調に拡大してきたが2回にわたって大きな影響を受ける。
 1回目は2008年に世界を震撼させたリーマンショック。
 貿易が世界規模で収縮した影響もあり、2008年は日本からの輸出が0.9%増、輸入は1.4%減とともに悪化した。
 その影響が最も大きかったのが2009年で、輸出入ともに20%を超える大幅なマイナスとなった。

 2010年には輸出入ともに二ケタの伸びに戻ったが、そこで起きたのが尖閣諸島を巡る政治的な紛争だった。
 日本政府が尖閣諸島の国有化に踏み切るなど、日中間の緊張が最も高まった2012年には、日本から中国への輸出は11%近く減少した。
 反日暴動が起き、日本企業の工場が襲われるケースも出たことで、日本企業の対中ビジネスに対するマインドが急速に冷え込んだことが背景にあった。
 中国からの輸入額の伸びも2.7%増にまで落ち込んだ。

 2012年末に安倍晋三政権が誕生すると、その後は
★.「日中冷戦」とも言える政治的な対立が続くことになるが、
★.経済関係は2013年以降、急速に回復に向かった。

 日本からの輸出額は2013年に9.7%増となり、2014年は6.0%の増加、一方の中国からの輸入額も2013年には17.4%増え、2014年は8.6%伸びた。
 昨年11月に北京で行われたアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、安倍首相と習近平主席が初めての首脳会談を行ったが、政治的な「融和ムード」はまったく出来上がっていない。

★.中国ウォッチャーによると、
 習主席の現在の最大の関心事は政敵の排除
 このため、国民の批判を浴びかねない対日融和姿勢は取れないものの、日本と本気で事を構える気もない、ということのようだ。

 また、国民の支持を失わないためには、まがりなりにも経済成長を続けることが不可欠で、日中間の経済取引を落ち込ませるような事態も避けたいということのようだ。
 つまり、習体制では当面、日中は「政冷経熱」が続くという見方が強い。



2015年01月27日10時46分 [ⓒ 中央SUNDAY/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/821/195821.html?servcode=300&sectcode=300

「今年の世界経済牽引、中国の代わりにアメリカが主導する」

  世界的な景気予測の専門家であるディシジョン・エコノミクスのアレン・サイナイ会長が
 「今年、世界経済は中国の代わりに米国が導くだろう」
と話した。
 彼は
 「米国経済は4%まで成長が可能で、特にアジア諸国の輸出を吸収して世界の同伴成長を主導するだろう」
と話した。
 世界経済研究院〔司空壹(サゴン・イル)理事長〕招請で訪韓したサイナイ会長は20日、中央SUNDAYとのインタビューで
 「日本円は2~3年後には1ドル=200円あたりまで下がる」
としながら
 「韓国の経済指標は優秀だが、中国・日本経済の影響を受けるため注意しなければならない」
と助言した。
 最近断行された欧州中央銀行(ECB)の量的緩和(QE)については
 「米国の事例で分かるように、QEは結果があらわれるまで時間が長くかかるため今年中に成果はないだろう」
と見通した。
 ロシアの債務不履行(デフォルト)の可能性も大きいと展望した。

 ■米国の時代が訪れたのか

  「2008年リーマンショックで触発された経済危機からもう完全に抜け出したようだ。
 政府の財政支出が減っても今年3~4%まで成長が予想される。
 来年には成長率がさらに上がる展望だ。
 失業率も史上最低だ。
 米国の消費が年間12兆ドルに達し、経済の68%も占めていることを勘案すれば米国経済の回復は韓国・中国・日本の経済をみな引き上げるだろう。
 以前の米国がそうだったように」

  ■連邦準備制度理事会(FRB)が金利を上げても影響がないだろうか

  「米国経済が完全雇用に近づきながらFRBの金利引き上げは
 『新たな正常(new normal)』
に合わせて施行されるだろう。
 米基準金利が今年の年末に1%、来年には2%になるはずだが、金利引き上げは金融市場を少しの間不安にさせるかもしれないが米国の全体的な成長トレンドには影響を及ぼすことはないだろう」

■オイル価格はどこまで下がるだろうか

  「1バレルあたり最低20ドルから70~80ドル間を行き来するものと見られる。
 1バレルあたり100ドル時代は当分戻ってこないだろう。
 このおかげで多くの国の経済成長率が高まるだろう。
 ロシア・ベネズエラなどの被害国をすべて集めても、世界経済全体をおいてみれば恩恵国よりはるかに少ない。
 もちろんオイル価格の動きの影響は過去よりも少ないだろう。
 かつてのオイルショックの時よりも、世界がはるかにエネルギー効率的に変わったためだ」

■オイル価格の下落局面で韓国のようなエネルギー輸入国が気をつけるべき点は

  「ロシアのリスク管理をうまくやるべきだ。
 ロシアのプーチン大統領は隅っこに集まる虎になった。
 彼の帝国は崩れている。
 政治は結局、経済によって左右されるものだ。
 投資家の立場としてはロシアがデフォルトを宣言する可能性が大きいとみている。
 ジョージ・ソロスはこのような展望が合理的ではないといったが、それはロシアの債務が過去の外国為替危機の時のように高くない点など、断片的な部分だけをみたものだ。
 今、ばく大な量のお金がロシアを抜け出している。
 ロシアの大金持ちがマンハッタンの最高級マンションを買い求める心の余裕もない」

■中国経済はどのようにみるか

  「中国経済の構造自体が心配な面がある。
 あまりにも中央集中的な政府が、多元化された経済を監督している。
 不正腐敗にシャドーバンキング(shadow banking、影の金融)、不動産の過剰投資まで。
 このすべての問題を解決するのは、どの政府でも難しいことだ。
 今、中国の景気浮揚策が物足りない印象だから中国政府も悩みが多いだろう。
 浮揚はさせなければならないが余剰投資を解決しなければならず、その上に軟着陸の可能性もあるためだ。
 それにもかかわらず私は中国経済に対しては概して楽観的だ。
 需要があまりにも大きくアジア経済に寄与する面も大きくて、特に今年は米国が中国の成長を助けるだろう。幸いオイル価格も安い」

■中国経済に危機が訪れる可能性は

  「危機は訪れないだろう。
 もちろんシャドーバンキングのような高リスク融資の正確な規模も分からない。
 ゴーストタウンのような余剰マンションをどのように処理するかも未知数だ。 
こういう途方もない懸案が成長を鈍化させるのに一定の役割をするだろうが、危機を呼び起こすほどではない」

■中国に投資しているか

  「中国のポータルサイト百度(バイドゥ)に投資した。
 私の中国に対する立場と同じように、その会社について詳しいことは分からない。
 ただ中国経済の底力を信じて投資しているのだ。
 株式市場の透明性がかなり不足している。
 だが、バイドゥを愛している」

■日本経済は人為的な円安だけで回復できるだろうか

  「私は5年前から円安にしなければならないと日本政府に助言してきた。
 インフレがあまりにも低く何より消費心理が極度に萎縮した状況で財政政策がうまくいかない。
 円安は輸出を増やすことよりも今後の消費にどんな影響を及ぼすかがさらに重要だ。
 他国の通貨の為替レートはずっと下がっている。
 それで円安の効果が減っている。
 目標にした効果を得るためには、さらに円安にならなければならない。
 4年前、私は日本円が1ドルあたり100円に進むといったし、今や私のターゲットは130円だ。
 2~3年後には175~200円まで行くと予想している。
 スイスフランのケースで見るように、今や私たちは各国の通貨が大量に行き来する時代に暮らしている。
 全くおかしな話ではない」

 ■米国証券市場と債権市場のトレンドはどのように展開するだろうか

  「米国と多くのグローバル証券市場は今年、上昇の勢いを継続するだろう。ビジネスサイクルが拡大の一途にあるからだ。
 債権市場は非常に低い金利状況で驚くべきことにずっと低い傾向を続けている。
 これは世界的に低い物価、低いインフレ期待値、米国と英国・日本の金利が事実上ゼロである点などのためだ。
 金利は経済が(日本や欧州などで)QEを中断してもかまわないほど強い成長の勢いを見せるまでは低い傾向を継続するだろう。
 概して肯定的な2015~2016年の経済展望で留意しなければならない要素は
▼:米国の消費傾向
▼:日本・欧州の回復傾向
▼:ドル高傾向による一部の開発途上国の低成長が米国とグローバル経済に及ぼす影響
▼:オイル価格の下落の被害国が世界経済に及ぼす影響
などに整理される」

  アレン・サイナイ氏:
…1970年代から経済コンサルティング活動を始めて83~96年のリーマンブラザーズとザ・ボストンカンパニーの首席エコノミストとして仕事をした。北米経済金融学会長、MIT教授などもつとめた。ミシガン大学を卒業し、ノースウェスタン大学で経済学博士学位をとった。米行政府と議会にも持続的に経済アドバイスを行ってきている。

(中央SUNDAY第411号)



レコードチャイナ 配信日時:2015年2月7日 7時11分
http://www.recordchina.co.jp/a101874.html

韓国が2年連続で中国の最大輸入先に
=中間製品から消費財へのシフトが課題―韓国メディア

 2015年2月3日、韓国・聯合ニュースによると、韓国貿易協会が公表した統計から、昨年、
★.中国の韓国からの輸入額は全体の9.7%を占める1903億ドルで、韓国が2年連続で最大輸入国
となったことが分かった。
 中国紙・参考消息(電子版)が伝えた。

★.中国の輸入に占める割合は、
 韓国 9.7%
 日本 8.3%、
 米国 7.8%、
 台湾 7.8%、
 ドイツ 5.3%、
 オーストラリア 4.6%、
 マレーシア 2.8%、
 ブラジル 2.6%
だった。
 韓国が中国の輸入に占める割合は、2013年に初めて日本(8.2%)を超える9.2%に達して首位となっていた。

 中国の電気・機械産業の急速な発展に伴い、韓国製部品の輸入規模が拡大したと分析されている。
 昨年、中国が韓国から輸入した
★.半導体は前年比10.8%増となる501億ドルで、輸入総額の25%以上
を占めた。
 自動車部品は39億ドル、コンピュータ・周辺機器は31億ドルで、それぞれ前年比16.6%、76.3%増加した。

 このほか、韓流ブームによって韓国製品が中国で受け入れられるようになっているという分析がある。
 これとは反対に、領土問題などの悪化が、日本の対中輸出に悪影響を与えており、このことも韓国のシェアが増大した理由の一つとみられている。

 だが、専門家によると韓国からの消費財の輸入は依然として少ない。
 中国は最近、ディスプレイや石油化学、船舶、機械などの主要工業分野での生産規模を拡大しており、輸入に頼ってきた中間製品の自給率を向上させている。
 そのため、韓国企業も中国国内市場を狙った消費財の輸出を拡大していくべきだと指摘している。







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2015年1月27日火曜日

日本の技術とは(3):組み立てロボット「ロビ」、ソフトバンクのロボット"Pepper"、無人探査機月面着陸国際コンテスト

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サーチナニュース 2015-01-26 22:21
http://news.searchina.net/id/1558854?page=1

日本の組み立てロボット「ロビ」
・・・米メディアが「ダンスイベント」紹介、
中国ネット民が興味津々!?=中国版ツイッター

 20日に創刊されたデアゴスティーニ・ジャパンのロボット組み立てマガジン、「週刊『Robi』(ロビ)」第3版を記念して、同社が東京で「ロビ」100体に一斉にダンスさせるイベントを実施した。
 ロボット好きの中国ネットユーザーたちもこのイベントに注目したようだ。
 米メディアのウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の中国語電子版は22日、中国版ツイッター・微博(ウェイボー)上でこのイベントについて動画つきで紹介。
 「ある雑誌の発表会で」、100体のロボットが一斉に「ラジオ体操を披露した」と伝えるとともに、「ロビ」について高さ約34センチメートルで、歩行やダンス、200語あまりの日本語単語の聞き取りができるとした。
  この紹介に対して微博のユーザーからは「すごい」、「とてもかわいい」、「買いたい」、「萌える」といった肯定的なコメントが多数寄せられた。
 また、技術の進歩に驚いたり、日本人の技術力に感嘆するユーザーもいた。
 一方、
「欲しいけれど、怖い」、
「最初は娯楽でいいが、やがては災難になるかも。
 人工知能は、本当にいいものなのか」
と、どんどん進歩するロボット技術に対する懸念を示すようなコメントもあった。

 中国初の人型ロボットとして2000年に登場した「先行者」が散々日本国内で「ネタ」にされてから、はや14年。
 人型ロボットに限らず、産業ロボットを含む中国のロボット技術はなおも世界のトップには立てていない。
 そして中国のネットユーザーたちは、日本で新たな人型ロボットが出るたびに「日本人はクレイジーだ」と嘆息する。
  WSJ中国語電子版の微博アカウントをはじめ、今回のイベントを紹介する微博上のツイートでは、「ロビ」が雑誌の付録であり、毎号買い続けると読者自身「ドライバー1本」で組み立てることができるということは紹介されていない。
 この「事実」を知ったら彼らはさらに驚くに違いない。




組み立てロボット「ロビ」100体がダンス
2015/01/21 に公開
小型の二足歩行対話型ロボット「Robi(ロビ)」が1月20日、100体そろってダ­ンスを披露した。
【記事はこちら】http://www.asahi.com/articles/ASH1N4V...




週刊ロビ 70号完成して電源を入れる
2014/08/02 に公開
電源を入れると、「僕を作ってくれてありがとう」という1度しか聞けないメッセージが­流れる。結構感動する。
娘に見せる前に本当に実働するのか事前にチェックをしたのだが、このメッセージが聞け­なくなるので、SDデーターの内容を書き換えた。
性格.LOGを開くと半角スペースが書き込まれているので消去すると、この最初のメッ­セージをもう一度聞くことができるのだ。
ただし、自己責任で・・・
一応、別のSDに全データーをコピーして性格.LOGを書き換えて稼動させた。
何かあったら元のSDに戻すのだけど、それでも何が起こるか分からないので、やる方は­自己責任でお願いします~



マイナビ・ニュース   [2015/02/23]
http://news.mynavi.jp/news/2015/02/23/048/

ソフトバンクのロボット"Pepper"、
27日に表参道で限定発売--次回出荷は夏に


●感情認識パーソナルロボット「Pepper(ペッパー)」

  ソフトバンクモバイルとソフトバンクロボティクスは2月20日、感情認識パーソナルロボット「Pepper(ペッパー)」を開発者向けに27日より販売すると発表した。

 Pepperは、周囲の状況を把握しながら自律的に判断して行動し、人の表情と声のトーンを分析して人の感情を推定できる人型のロボット。
 人との会話以外にも、家族の写真を撮影したり、スマートフォンと連携して家族にメッセージを送れる。
  本体価格は19万8000円で、別途ロボット手続き手数料の9800円が必要となる。

 また、発売にあわせて「ロボアプリ」をダウンロードできるアプリストアを提供。さまざまな機能を追加できるようになる。
 発売時点ではベーシックアプリとアプリストアのアプリの合計約100本を準備する。

●Pepper(ペッパー)発表会 ダイジェスト映像 
2014/06/06 に公開



朝鮮日報 記事入力 : 2015/03/02 09:02
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/03/02/2015030200809.html

感情認識ロボット「ペッパー」、1分で完売

 日本のソフトバンクは2月27日、ヒト型の感情認識ロボット「ペッパー」300台をアプリ(ソフトウェア)の開発者向けに限定発売し、わずか1分で完売した。

 身長121センチ、重量28キログラムのペッパーは、周囲の状況を把握し、自らの判断で行動するほか、人間の表情や声を分析し、感情を認識できる人型ロボットだ。
 ペッパーはユーザーと会話することができ、家族写真を撮影したり、スマートフォンと連動させてメッセージを送信したりする機能も備えている。

 今回アプリ開発者用に発売されたペッパーの価格は1台19万8000円。
 ソフトバンクは「関連アプリを開発してもらうため、開発者に先行販売した。
 一般向けの販売は今年夏に予定している」と説明した。

 ロボット本体とは別に、アプリ販売、クラウドサービス、修理点検などを受けるためには別途料金プランに加入しなければならない。
 ソフトバンクの孫正義会長は
 「(ペッパーは)ベビーシッターや家族の一員として社会全般で活用できる無限の可能性を持っている。
 最初に構想が浮かんだ25年前からペッパーを公開する日を夢見てきた」
と語った。




スポニチ [ 2015年1月28日 05:30 ]
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2015/01/28/kiji/K20150128009705880.html

無人機月面着陸コンテスト 日本チームに開発支援6000万円
月着陸へ日本チームに賞金 月面探査車
Photo By 共同 


 無人探査機による月面着陸を競う国際コンテストに参加している日本のチーム「HAKUTO(ハクト)」が、開発支援のための賞金50万ドル(約6000万円)を獲得した。

 主催するXプライズ財団(米カリフォルニア州)が26日発表した。
 コンテストには米グーグルが出資し、
 「2016年末までに月着陸や月面走行、地球への映像送信などを達成するのが課題」。

 東北大の吉田和哉教授らが率いるハクトは日本から唯一の参加。
 高解像度カメラを備えた小型軽量の探査車を開発している。
 共同電によると今回の賞金は競技の中間点でさまざまな技術開発を促す狙いで、米国やドイツ、インドなどの4チームも獲得。
 参加チームには今年末に打ち上げ計画を明らかにすることが求められており、今後さらに競争が加速する。



朝日新聞デジタル 2015年1月28日06時59分
http://www.asahi.com/articles/ASH1W54NFH1WULBJ00L.html

月面探査レース、日本チームに6千万円支援 米グーグル


写真・図版ハクトが開発し月面での走行を目指す探査ロボット=2014年12月18日、浜松市
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 月面へ無人機を送り込む国際探査レースに国内から唯一参戦している民間チーム「HAKUTO(ハクト)」は27日、開発支援のための賞に選ばれたと発表した。
 50万ドル(約6千万円)の資金を獲得した。

 ハクトは、ベンチャー経営者や小惑星探査機「はやぶさ」開発などに携わった吉田和哉・東北大大学院教授らが参加し、月面探査ロボットを開発。昨年11~12月にあった走行試験などをクリアし、受賞が決まった。

 このレースは米グーグルがスポンサーで、賞金総額は3千万ドル(約35億円)。
 現在、各国の計18チームが参戦している
 。巨額の費用がかかる開発や打ち上げの経済的支援のために「中間賞」が設けられ、今回、ハクトを含む5チームに贈られた。
 各チームは来年末までに探査機を開発して打ち上げ、500メートル以上の月面走行や鮮明な映像の送信などを達成する必要がある。



レコードチャイナ 2015年2月24日05時10分
http://www.asahi.com/articles/ASH2R4KFJH2RULBJ008.html

月面探査レースの国内チーム、来年後半に無人機打ち上げ

 米グーグルがスポンサーの国際月面探査レースに国内から参戦している民間チーム「HAKUTO(ハクト)」は23日、開発した無人探査機を来年後半に米国から打ち上げる計画を発表した。
 米国チームと同じロケットに載せて、月面着陸を目指す。

 日本科学未来館(東京)で開いた記者会見で明らかにした。
  米スペースX社のロケットに米民間企業チームの着陸機や探査機と相乗りして、米フロリダ州から打ち上げる。
 ハクトの探査機は米チームの着陸機に同乗して月面に着陸。
 その後、レースの条件である500メートル以上の走行や鮮明な映像の送信などを目指す。
 計画の詳細な日程は調整中だ。

 ハクトはベンチャー経営者や小惑星探査機「はやぶさ」開発などに携わった吉田和哉・東北大大学院教授らが参加。
 会見で袴田武史・チームリーダーは
 「ローバー(探査機)の技術ではトップにいると自任している」
と自信を見せた。
 吉田教授も「着実に夢の実現に近づいている」と話した。



2015年02月22日 11時18分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
http://www.yomiuri.co.jp/science/20150222-OYT1T50031.html

お手軽、人工衛星キット…300万~350万円

 人工衛星の開発に力を入れる大阪府立大(堺市)が、5月にも国内初の「衛星キット」を発売する。

 超小型衛星の基本構成を製品化するもので、購入者は独自に観測機器などを追加できる。 
 短期間に安価で開発できる超小型衛星は、アジア諸国など途上国でも関心が高く、国内外の研究機関や企業へ売り込みを狙う。

 同大学の南部陽介助教によると、衛星キットは約10センチ角のサイコロ形で、重さは約1キロ。
 電源や通信装置などで構成されている。
 本体の約3分の1は、購入者がカメラや集積回路といった実験装置を自由に搭載できるスペースだ。

 2014年に同大学が打ち上げた超小型衛星「こすもず」をベースに開発を進め、今月中にも試作機を完成させる。
 兵庫県の電子機器メーカーが量産化に協力し、販売価格は300万~350万円の予定だ。



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 資 料
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(c)AFP 2013/09/05 に公開


「2013年8月21日、未来の希望へ、ロボットの第1歩です」
「おはよう、地球の人間の皆さん。僕、ロボット宇宙飛行士のキロボ。世界で初めての、­おしゃべりするロボット宇宙飛行士なんだ。よろしくね」
「地球では、ミラタ(MIRATA)がバックアップクルーとして応援してくれてるよ」
「ミラタ、今から地球に写真を送るよ」
世界で初めて宇宙へ飛び立った、会話ができるヒューマノイド型ロボット「KIROBO­(キロボ)」が国際宇宙ステーション(International Space Station、ISS)で初めて声を発したことが5日、発表された。
映像前半は、8月4日のキロボを搭載したロケットの打ち上げの様子。(c)AFP

 確か韓国は国家規模で月探査を計画をして、それを朴政権の目玉にしようとしていたと思うが。
 月探査というのはアポロ計画時代のもので半世紀も昔になる。
 民間団体がコンペテイションでやるにはちょうど手頃なテーマになってきたということだろうか。
 国家がやるには相当に時代遅れのテーマに映る。


2014年12月31日14時10分 [ⓒ 中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/735/194735.html?servcode=300&sectcode=330

韓国航空宇宙研究院「月探査事業を持続的に推進」

  趙光来(チョ・グァンレ)韓国航空宇宙研究院長は2015年の宇宙開発への意志を表した。

  趙院長は2015年に向けたあいさつで、
 「国政課題を支障なく推進するため、宇宙発射体の自力開発に総力を挙げ、人工衛星および衛星活用技術の産業化を強化する」
と明らかにした。
  趙院長は
 「発射体分野で安定的な予算確保をもとに、韓国型発射体の開発に全力を尽くす」
とし
 「2015年は韓国型発射体開発の1段階事業が完了し、2段階事業が着手される時期であり、構成品別試験とエンジン組み立て、エンジン燃焼試験などが計画されている」
と伝えた。
  新年の予算に反映されなかった「韓国型月探査船」事業については、
 「2016年には着手できるよう総力を挙げる」とし
 「今年は研究院独自の財源を投資し、月探査組織を研究団に強化し、試験用の月軌道船と深宇宙地上局の設計を遂行する計画」
と伝えた。



レコードチャイナ 配信日時:2015年2月11日 9時38分
http://www.recordchina.co.jp/a102264.html

韓国未来部、宇宙開発事業に400億円を投資
=韓国ネット「人工衛星の製造技術は韓国が世界一!」
「韓国はすべてにおいて日本より…」

 2015年2月8日、韓国・聯合ニュースによると、韓国政府は、今年、韓国型ロケット開発や人工衛星開発、宇宙核心技術開発などの宇宙開発事業に、前年比17.6%増の3740億ウォン(約400億円)を投資することを明らかにした。

 未来創造科学部は同日、2015年の宇宙開発事業施行計画を発表。
 韓国型ロケット開発に2555億ウォン、
 人工衛星開発に926億ウォン、
 宇宙核心技術開発に239億ウォン、
 科学ロケットセンター建設に10億ウォン
を投資すると明らかにした。

 未来部はこのことについて、「宇宙開発分野への投資の拡大を続けているが、競争国に比べるとまだ規模が小さい。
 選択と集中を通し、投資効果を最大化する」と述べた。

これについて、韓国のネットユーザーはさまざまなコメントを寄せている。

「人工衛星の製造技術は韓国が世界一!
 今後、どのように変わっていくか楽しみだ」
「金正恩(キム・ジョンウン)がびっくりして飛び起きたんじゃない?」
「福祉に使われるべきお金が、どんどん宇宙に捨てられている」

「韓国の未来は宇宙にかかっている。
 未来への投資がこんなに少ない金額でいいの?」
「韓国はすべてにおいて日本より一歩遅れている」
「日本に比べたらスズメの涙ほどの金額だ」

「国民に年金も払えない国家に、宇宙開発する金があるのか?」
「このうちのいくらが公務員や大学教授の懐に入るんだろう?」

「研究費に充てられるお金はほとんどないだろう。
 50%以上は広報費に消える」
「先進国になるためには宇宙開発事業での成功が必要不可欠だ。
 絶対に成功させてほしい」
「なぜ宇宙開発をするのか、まずは理由を明らかにして。未来部なのに未来が見えない」



朝鮮日報 記事入力 : 2015/02/20 06:26
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/02/20/2015022000037.html

【コラム】ロシア・ウクライナ紛争で揺れる韓国の衛星

 ロシアとウクライナの領土争いは宇宙にまで拡大しており、その火の粉が韓国に飛んでくる可能性も高まった。
 ロシアはウクライナとの宇宙協力を中断し、場合によっては、
 ウクライナ製の宇宙ロケットを利用している韓国の衛星打ち上げにも支障が出かねなくなっている
のだ。

 発端は今月2日、ロシアのイタルタス通信の報道だった。
 同通信は
 「ロシア連邦宇宙局が、ウクライナと共に推進してきた宇宙協力事業『ドニエプル・ロケット・プロジェクト』を中断した」
と報じた。
 「ドニエプル・ロケット」は、ウクライナで作られた旧ソ連の大陸間弾道ミサイル「RS20」を民需用に転換したもの。
 外信はすぐさま、韓国の多目的実用衛星(アリラン)3A号の打ち上げが白紙になりかねない、と予測した。
 韓国は来月、ロシアのヤースヌイ打ち上げ基地から、アリラン3A号をドニエプル・ロケットに積んで宇宙に打ち上げる計画を立てていた。

 幸いにも、韓国政府は2日午後
 イタルタス通信の報道は誤報であって、ロシア側が『アリラン3A号の打ち上げは計画通り進める』と知らせてきた」
と発表した。
 ロシア連邦宇宙局がウクライナとの宇宙協力を中断するというのは正しいが、その対象はドニエプル・ロケットではなく、別のウクライナ製のロケット「ゼニット」だという。
 ロシア連邦宇宙局の報道官は、ロシア日刊紙のインタビューの中で「ゼニットを、独自開発したアンガラ・ロケットで代替する」と語った。

 だが今回の事件を、単なるハプニングで片付けことはできない。
 アリラン3A号は、昨年9月に組み立てを終え、11月にヤースヌイ基地に移された。
 ところがロシア側は、セキュリティーの強化を理由にウクライナ技術陣の作業を妨げ、打ち上げはじりじりと先延ばしになった。
 ロシアとウクライナの紛争は、既に韓国の宇宙開発に影響を及ぼしているのだ。
 この先も、いつでもドニエプル・ロケットの打ち上げが延期されたり、中断されたりする可能性がある。
 これまでも、アリラン5号衛星が2011年8月にロシアのヤースヌイ基地から打ち上げられる予定だったが、打ち上げ費用の問題で意見が合わず、2年遅れの13年8月にようやく打ち上げられた。

★.打ち上げ費用として数百億ウォン(100億ウォン=約10億8000万円)取られても韓国側が声を上げられないのは、代案がないからだ。
 衛星打ち上げを代行している国は、
 米国・ロシア・欧州・日本・中国・インド
などわずかだ。
 しかも、中国とインドのロケットには韓国の衛星を載せることができない。
 韓国の衛星には米国の技術が使われており、米国が宇宙技術の輸出を禁じている中国とインドのロケットでは、打ち上げができないからだ。
 06年のアリラン2号衛星の打ち上げは、こうした理由のため、中国からロシアのロケットに変更されている。

 結局、根本的な対策は、一日も早く韓国も独自の宇宙ロケットを保有するということだ。
 そうすれば、韓国が開発した衛星を、自分たちの好きな時期に打ち上げることができる。
 13年1月に発射したロケット「羅老号」は、ロシアが次世代ロケットとして開発したアンガラ・ロケットの1段目を購入し、韓国が開発した2段目を取り付けたものだった。
 1段目は韓国のものではないため、もう作ることはできない。
 「半分だけ韓国製」で、しかも1回きりだったというわけだ。
 真の韓国製宇宙ロケットは、20年までに開発する予定になっている「韓国型発射体」だ。
 宇宙ロケットのない悲しさは、今回で最後になることを望む。







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2015年1月26日月曜日

「2015年中国バブル崩壊説」は当たるのか?(3):「世界の中で心配な場所が2つある。 それは欧州と中国だ」

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 当たらないのがノーベル賞経済学者の論説。
 あまりにも精密になりすぎて、大局が掴めなくなってしまっている。
 いわゆる学者バカの典型である。


レコードチャイナ 配信日時:2015年1月26日 12時49分
http://www.recordchina.co.jp/a101306.html

今の中国経済は日本の90年代と似ている?
ノーベル賞受賞者の意見に
 「西洋の経済学は中国では通用しない」
と強気の声が多数―中国ネット

 2015年1月25日、中国メディアの新浪は、ノーベル経済学賞受賞者であるポール・クルーグマン氏が、中国の経済状況は90年代後半の日本とよく似ていると指摘したことを伝えた。

 新浪は、グルーマン氏が
 「世界の中で心配な場所が2つある。
 それは欧州と中国
と語り、
★.「現在の中国経済の状況は、
 高い経済投資と不動産バブルなどで90年代末の日本とよく似ており、
 特に速やかな経済モデルの変革が求められているところが良く似ている
と指摘したことを伝えた。

これに対して中国のネットユーザーからは反論するコメントが多く寄せられた。

「西洋の経済学は中国では通用しない」
「どうしてノーベル賞受賞者が中国について語る時、どれも当たっていないように思うのだろう」
「この人が受賞したのはノーベル心配賞だったんじゃないのか」

「日本とは状況が全然違うよ。
 日本は米国に逆らえなかった。
 これが一番の原因だ」
「この人は中国に共産党がいることを忘れているな。
 それに日本の場合はプラザ合意に署名しちゃったからだよ」
「われわれは日本とは全然違うよ~。
 強大な消費はまだ始まったばかり。
 この人は90年代や2000年代生まれの若者のお金の使い方を見たことがないんだろうよ」

「中国の国情も分からないで心配をしているんだな。
 まあメディアはこういうのが好きだからな」
「心配しなくても大丈夫。
 お金は汚職役人たちがたくさん持っているから。
 役人を取り締まれば政府はすぐにお金が手に入る」



サーチナニュース 【経済ニュース】 2015/02/11(水) 06:34
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2015&d=0211&f=business_0211_006.shtml

世界経済のリスクは欧州と中国にある!?=中国メディア

 中国メディアのBWCHINESEは4日、中国経済の成長が鈍化しつつあることについて、世界経済の危機における新たな震源地になる可能性があると論じる記事を掲載した。

 記事は、中国国家統計局のデータを引用し、14年の国内総生産(GDP)成長率が前年比7.4%増だったことを紹介し、1990年以来の最低水準になったと伝えた。
 続けて、世界銀行が1月13日に発表した15年の世界経済見通しの報告書において、中国経済の減速が世界経済に対するリスクだと指摘したことを紹介した。

 さらに、中国の15年1月の製造業PMI(購買担当者景気指数)が49.8と節目の50を下回り、5カ月連続での下落になったと伝え、中国交通銀行のチーフエコノミストである連平氏の発言として
 「製造業の生産意欲が明らかに減退している」
と伝えた。

 また記事は、ノーベル経済学賞の受賞者であるポール・クルーグマン氏の見解を引用し、現在の中国は1990年代末の日本と酷似しているとし、
 「不動産バブルや過度な投資といった問題を抱える中国は経済モデルの転換を迫られているが、残された時間は多くない」
と紹介。

 さらに、ポール・クルーグマン氏が
 「中国経済は今後、大きなトラブルに直面する可能性が高い」
と主張し、現在の世界経済におけるリスクは欧州と中国だと主張していることを紹介した。
 また、
★.中国経済が投資によって成長を続けてきたことを指摘する一方、
 投資がGDPの50%を占めるような経済モデルが持続できるわけがない
と悲観的な見方を示していることを伝えた。



サーチナ  1月27日(火)6時39分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150127-00000023-scn-bus_all

中国の不動産市場 「崩壊することは絶対にない」
=中国共産党機関紙

 中国共産党機関紙・人民日報は24日、2014年は中国の不動産市場にとって冷え込みが続いた年だったとし、
★.市場から今でも不動産バブルが崩壊するのではないかと懸念の声が聞こえてくる
とする一方、
★.「わが国の不動産市場が崩壊することは絶対にない」

 記事は、14年は中国全土において
 「不動産企業の開発投資や施工面積、土地の購入面積のほか、商品不動産の販売面積などいずれの指標においても前年割れとなった」
と指摘。
 14年第4四半期は政策の調整によってわずかながら市況が上向いたものの、14年通年で見た場合は「市場全体が大幅な調整に見舞われた」
と論じた。

 さらに土地の値上がりや資金調達の容易さ、高レバレッジによる不動産開発といった諸問題が一気に顕在化したとし、今では不動産企業は利益率の低下のほか、競争圧力の増大、増える在庫による圧力に苦しんでいると指摘。

 一方で記事は、専門家の意見として、
 「加熱していた不動産市場が調整するのは当然であり、土地を仕入れれば大金が儲かるという過去が正常でなかっただけ」
と指摘。
 2010年に導入された不動産購入時におけるローン規制などによって不動産市場は調整を余儀なくされたとしながらも、
 「中国には住宅に対する実需が存在する」
と指摘した。

 さらに、中国の李克強首相の発言を引用し、中国は都市化を進めているうえ、人びとの住宅ニーズを保障する政策を推し進め、すべての国民に住宅を保障することを最終的に実現する方針だと指摘し、実需がある限りは不動産バブルが崩壊することはないとの見方を示した。

 続けて記事は、中国の5大銀行のひとつである交通銀行の金融研究センターの夏丹研究員の話として、
 「中国には身を落ち着けるためには、家を所有することが条件とする伝統があり、この伝統に基づく実需が不動産市場を発展させる一大原動力になってきた」
と指摘。
 さらに現在の不動産市場の冷え込みは崩壊の序章に映るかもしれないと前置きしつつ、
 「過度な在庫を抱えている地方では調整は長引くかもしれないが、中国経済が今なお発展し、住宅に対する実需も存在するなかで不動産市場に大きなリスクは生まれない」
と主張した。



サーチナニュース 【経済ニュース】 2015/01/26(月) 17:12
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2015&d=0126&f=business_0126_063.shtml

中国の大手不動産企業にデフォルトの危機=中国メディア

 中国の不動産企業である佳兆業集団が融資への利払いができず債務不履行(デフォルト)に直面していることについて、中国メディアの新快報は23日、
 「佳兆業集団のデフォルト危機が(中国の)広東省・広州市全体に波及している」
と伝えた。

 記事は、佳兆業集団がデフォルトの危機に陥ったことに対し、すでに広州市当局や銀行が資産の差し押さえや預金の凍結を行ったことを伝え、佳兆業集団が建設したマンションのうち、未販売の各住宅については「差し押さえ」と書かれた紙が貼りだされていると紹介。

 さらに、内情を知る関係者の話として
 「竣工済みのマンションを計画どおり販売できるよう佳兆業集団は尽力している」
と伝える一方、差し押さえとなった広州市内の住宅戸数は1000戸前後にのぼると紹介した。
 さらに、デフォルト危機は広州市だけでなく、同省恵州市にも波及しているとし、すでに恵州市内のマンション建設プロジェクトの一部が差し押さえられたと報じた。

 記事は、佳兆業集団は2013年、業績を大きく伸ばした大企業と紹介する一方、同社が融資の利払いができず、さらなるデフォルトの可能性もあることについて「1万人を超す社員と、総資産数千億元に達する企業が苦境に直面している」と伝えた。
 さらに、中国不動産についての調査機関である、中国指数研究院の発表を引用し、佳兆業集団は14年の不動産販売額は302億元(約5678億円)に達し、中国の不動産企業として19位にランキングされたと紹介した。

 さらに、佳兆業集団の販売前の住宅が当局に差し押さえられたことについて、今後の同社の売り上げやキャッシュフロー、新しい資金調達に大きな影響をもたらすと伝え、さらなるデフォルトや資金難に直面する可能性もあると論じた。



サーチナ  1月27日(火)6時33分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150127-00000013-scn-bus_all

中国の「シャドーバンキング」が健在
・・・新たに「グレーな金融システム」=中国メディア

 英紙フィナンシャル・タイムズは22日、中国当局の監視強化にもかかわらず「影の銀行(シャドーバンキング)」は今なお成長を続けていると伝え、さらに新しい形式の“グレーな金融システム”も台頭していると報じた。
 中国メディアの環球網が23日付で伝えた。

 記事は、中国のシャドーバンキングに関する報告書において、米国の格付け会社ムーディーズが
 「中国の国内総生産に対するシャドーバンキングの規模は今なお拡大している」
と指摘したことを紹介。
 同報告書によれば、
★.シャドーバンキングの対GDP比は13年末の66%から14年末には「71%」
に上昇し、
★.金額としては45兆元(約845兆円)規模
に達した。

 続けて、中国はマネーの流れを正規の銀行業に振り向けるよう努力しているものの、非正規の銀行によるサービスと金融商品の規模は今なお巨大であると指摘した。

 さらに、シャドーバンキングとは別に、新しい金融システムとしてネット上の融資プラットフォームが台頭し、成長を続けていると紹介、また証券会社が投資家に資金や株式を貸し出す「信用取引」も急拡大しているとし、中国政府は急拡大する信用取引に歯止めをかけようとしており、またそれを背景に、上海総合指数も急上昇したことがあると伝えた。

 記事は、すでにある程度の実態が把握されているシャドーバンキングとは異なるグレーな金融システムが中国で台頭してきていることに懸念を示したうえで、さらに
 「ネット上の融資プラットフォームなどは具体的な融資残高を把握するデータが不足していること」
を挙げ、
 中国の不透明な金融システムに警鐘を鳴らした。


2015.01.28(水)  Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42780

中国の富豪、支払い遅延で地方政府を提訴
(2015年1月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 中国有数の富豪が、インフラ工事契約に関する支払いが遅れているとの理由で6つの地方政府を訴えている。
★.中国で政府が訴えられるのは稀なことで、
 経済全体に広がる未払いの債務のリスクが浮き彫り
にされた格好だ。

★.中国の地方政府による借り入れはここ数年急増しており、
 新規の借り入れの大半が既存の借り入れの元利返済に充てられている。
 そのため、
 地方政府のデフォルト(債務不履行)が本格的な金融危機を引き起こしかねない
との懸念も浮上している。

■中国で異例の訴訟、「必要なら最高裁まで争う」

 中国太平洋建設集団(CPCG)の創業者、厳介和氏は26日、地方政府をこのように訴えたのは同社が初めてだと語った。
 「必要なら、最高裁まで争うつもりだ」
とも述べ、
 「間違いなく我々が勝つ。記録も証拠も明白だ」
と付け加えた。

 CPCGは、国有企業が伝統的に支配してきた中国インフラ整備業界で最大の民間企業。
 昨年は600億ドルの売上高を計上し、世界の企業番付「フォーブス500」で第166位となった。
 また厳介和氏は、中国の民間調査会社、胡潤研究院が昨年まとめた中国の長者番付で第7位にランクされており、その資産は142億ドルに上ると推計されている。

 訴えられたのは市および県の6政府。
 中国国家統計局の馬建堂局長は先週、地方政府の債務は中国経済にとって最大のリスクの1つになっていると強調した。
 先週発表された中国の昨年の経済成長率は、24年ぶりの低水準にとどまった。
 また中国の審計署(会計検査院に相当)によれば、2010年末に10兆7000億元だった地方政府の債務残高は、昨年6月までに18兆元に増えている。

 地方政府の昨年の債務残高のうち、CPCGが特化している「ビルド・アンド・トランスファー(BT)*1」方式でのインフラ整備プロジェクトによる債務は約8%、額にして1兆5000億元を占めていた。

★.「民間企業が政府を訴えるのは極めて稀なことだ。
 同様な事例は記憶にない」。
 ドイツ銀行の中国担当チーフエコノミスト、張智威氏(香港在勤)はこう語る。
★.「これは、CPCGのほかの取引先に対するシグナルでもある」

 CPCGの厳介和氏は、債権の総額を明らかにすることを拒んだが、同社は比較的小規模な2件の訴訟については詳細を開示している。
 これによると、CPCGは中国南西部の雲南省晋寧県に対し、2年以上前に完了したインフラ整備プロジェクト4件について9500万元(1500万ドル)の債権を保有している。
 またCPCGが2013年8月までに16件のインフラ整備プロジェクトを完了させた北部の河北省寧晋県に対しては、8300万人民元の債権を有しているという。
 雲南省晋寧県の当局者は、この件については現在調査中でありコメントできないと回答。
 河北省寧晋県の政府にもコメントを求めたが、すぐには連絡が取れなかった。

 CPCGはこれまでに、上海と江蘇省の省都・南京を結ぶ高速道路や長江の橋など大型の建設プロジェクトを手がけている。甘粛省の省都・蘭州でも複数のプロジェクトを抱えている。

■積み上がる地方政府債務のリスク

★.「この訴訟には、地方政府に貸しがあるほかの債権者たちも注目するだろう」。
 格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の公的部門格付け担当ディレクター、チョン・リアン氏はこう言う。
 「もしCPCGが勝てば、これに追随する動きが出てくるだろう」

★.今回の訴訟は、地方政府が一定の距離を置いた実態が不透明な資金調達会社を使って資金を借り入れる手法を、中央政府が排除しようとしている最中に始まった。

 中国の地方政府は資金を直接借りることが禁じられているため、こうした特別目的会社を通じて借り入れを行ってきたが、国務院は昨年後半、そのような借り入れをもう認めないとの方針を明らかにした。
 地方政府は、特別目的会社による借り入れのほとんどについて法的責任を負っていないものの、債権者の多くは、この借り入れには政府の暗黙の保証が付与されていると考えている。
 中国の全国人民代表大会(国会に相当)は「表玄関を開けて裏口を閉める」試みにおいて、地方政府の直接借り入れを解禁した。
 また財政部(財務省に相当)は、地方債発行による資金調達を一部の地方政府に試験的に認めるプログラムを開始した。

 一方で、国務院は、自らが抱える債務を返済できない地方政府に救済措置を与えないと述べた。

 やはりCPCGが地方政府を提訴している山東省などの中国各省の小さな市や県の債権者は、上位政府は下位政府の債務を保証しないと考えた場合に、厳介和氏の後に追随する可能性が極めて高いとリアン氏は言う。
 「一部の債権者にとっては、法的措置を取る先行者利益があるかもしれない」

By Tom Mitchell in Beijing and Gabriel Wildau in Shanghai
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サーチナニュース 【経済ニュース】 2015/01/30(金) 18:06
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2015&d=0130&f=business_0130_082.shtml

中国の不動産企業は
・・・「アジアのジャンク債市場の主役」=英紙華字メディア

 英紙「フィナンシャル・タイムズ」の中国語版は23日、コンプライアンスやキャッシュフローに対する懸念を理由に、
★.中国の不動産企業は世界の社債市場で資金を調達できなくなりつつある
とし、調査会社のDealogic社のデータを引用し、
 「中国の不動産企業はアジアのジャンク債市場の主役になった」
と伝えた。

 記事は、
★.2013年に中国の不動産企業がジャンク債市場で調達した資金は195億米ドル(約2兆2960億円)に達し、
★.14年は214億米ドル(約2兆5198億円)
に達したと紹介。

 さらに、13年、14年ともに年初に資金調達が行われていたことを伝える一方、
★.15年はいまだに資金調達ができていない
ことを伝え、その理由として「
 投資家が中国不動産企業の社債購入に慎重になっているため」
と報じた。

 続けて、中国不動産企業である佳兆業集団がドル建て社債の利払いができず、さらなるデフォルト(債務不履行)の危機もあると懸念されていることを挙げ、香港の銀行関係者の声として
 「佳兆業集団の経営危機は投資家の中国不動産業に対する信頼を打ち砕いた」
と伝えた。

 また記事は、
★.中国不動産企業の大半の社債価格は額面金額を下回っている
とし、新しく社債を発行することが難しい状況になっていると紹介、佳兆業集団の経営危機によってほかの不動産企業も資金調達計画が大きく狂ってしまったと伝えた。



Business Journal 2015/1/29 06:02 編集部
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150129-00010005-biz_bj-nb

中国バブル崩壊の予兆 
中国政府、伊藤忠の巨額出資を最大国営企業の不良債権処理に利用か

 伊藤忠商事は1月20日、タイ財閥チャロン・ポカパン(CP)グループと共同で、中国政府が100%出資する複合企業、中国中信集団(CITIC)の傘下企業に「合計1兆2040億円」を出資すると発表した。
 中国国営企業への外国投資としては過去最大級となる。

 出資先は香港証券取引所に上場している中国中信集団傘下の持ち株会社、中国中信(CITICリミテッド)。
 伊藤忠とCPグループが折半出資する共同出資会社を通じて、4月に普通株式の約10%(約5150億円)を取得する。
 その後、10月に普通株式に転換可能な優先株(約6890億円)を引き受ける。
 普通株に転換後の出資比率は約20%(約58億1800万株)となり、共同出資会社の持ち分法適用会社となる。
 伊藤忠などが出資後、中国中信集団の中国中信への出資比率は80%から60%に下がる。
 出資総額は1兆2040億円で、伊藤忠は6020億円を出資する。
 伊藤忠は全額、金融機関からの借り入れで賄うとしている。
 伊藤忠の持分法適用会社となることで、年間700億円程度の利益の押し上げがあると説明している。

 20日、都内で記者会見した岡藤正広社長は、
 「(提携により)2015年度から始まる次期3カ年中期経営計画の最終年度に当たる17年度には非資源商社No.1の地位は確固たるものになり、業界トップの座も視野に入っている」
と述べた。

 中国中信集団は中国最大の実力者、トウ【編註:正式名は漢字】小平氏の開放・改革政策の下、1979年に設立された国有企業。
 創設者の栄毅仁氏は「紅い資本家」と呼ばれ、後に国家副主席を務めた。
 中国政府の国務院(内閣に相当)が管轄する中国最大の複合企業集団で、グループの事業分野は石油化学、金属、重工業、自動車、銀行・証券、不動産、小売り、出版などに及んでいる。

 伊藤忠が出資する中国中信はCITICグループの金融分野の一翼を担う。
 中信銀行、中信証券など金融サービスを中心に、傘下に中信資源、中信建設など20社を持つ。
 有価証券報告書によると、13年12月期の売上高に当たる営業収益は日本円換算で6兆1587億円、1699億円の営業利益を上げている。

■CPグループの存在

 今回の投資スキームを伊藤忠に提案したのは、CPグループのタニン・チャラワノン会長だ。
 CPグループは中国出身のチャラワノン一族が1921年にバンコクで種苗販売店を開いたのが発祥。
 タニン会長は創業者の4男。
 香港の商業専門学校を卒業し、CPグループに入社。
 69年に社長へ就任、89年から会長兼CEOを務める。
 現在の中核事業は食料、食品、小売りと通信。
 グループ全体の従業員は30万人を超え、年間売上高は4兆4000億円に上る。

 タニン氏の最大の転機は79年だった。
 トウ小平氏による開放・改革路線が始まった時、真っ先に中国へ乗り込んだのがタニン氏だった。
 トウ小平氏とタニン氏の会見の様子は後にアニメ化された。
 番号「00001」。中国が外国企業に門戸を開いた際に与えられる営業許可証の第1号が、CPグループの大規模養鶏場だった。

 CPグループと中国当局とのパイプは太い。
 外資系企業がチャイナリスクを避けて中国市場から撤退する中、CPグループはタイに本社を置く外資系企業でありながら中国での投資を拡大し、巨額の利益を手にした。
 これまでの投資額は80億~90億ドル(約9500億~1兆700億円)に達し、飼料・畜産事業を中心に中国事業を拡大してきた。
 タニン氏の中国名は謝国民。
 CPグループは、中国では「正大集団」として知られている。

 タニン氏は東南アジアで活躍する華人企業家の中で、習近平・中国指導部に最も近い1人といわれている。
 今回の中国中信への出資のスキームは、タニン会長が習氏や李克強首相に働きかけて実現させたとされている。

■伊藤忠の巨額出資、不良債権処理に利用か

 なぜ伊藤忠の国営企業への出資に、中国指導部が関わるのか。
 時系列で見ていくと、1兆2040億円出資の意図が見えてくる。
 
 14年7月、伊藤忠とCPグループは資本・業務提携した。
 CPグループは伊藤忠が実施する1020億円の第三者割当増資を引き受け、伊藤忠の株式4.9%を取得。
 実質的に伊藤忠の筆頭株主となる。
 伊藤忠はCPグループの飼料・畜産事業を展開する香港の上場会社の株式25%を870億円で取得した。

 14年9月、中国中信は香港証券取引所に上場した。
 伊藤忠とCPグループ、東京海上日動火災保険、みずほ銀行が、それぞれ1%を出資した。
 15年1月、伊藤忠とCPグループが中国中信に1兆2040億円を出資すると表明した。

 この一連の流れで最大のポイントは、中国中信の香港上場である。
 何を意図して上場したのか。
 ブルームバーグは14年12月5日、
 「中国中信は親会社から370億ドル(約4兆4300億円)相当の資産を今年買い取った際にCPグループを含む27の投資家に株式を売却」
と報じた。
 中国政府が100%出資する中国中信集団は
4兆4300億円の巨額資産を子会社の中国中信に売却したのだ。
 中国中信集団は幅広い業種を傘下に持つが、中国経済の減速の影響を、銀行、証券、不動産、建設のいずれの業種も受けている。
 中国のバブル経済の崩壊に備えて、
 中国中信集団から不良資産を切り離し、上場した中国中信でこれを処理することを意味している

 中国中信が不良資産を処理していけば、自己資本を食い潰し、債務超過に転落する恐れが出てくる。
 それを回避するために、1兆2040億円という巨額増資を実施することにしたわけだ。
 つまり、
 伊藤忠・CP連合への株式売却を中国政府が承認した目的は、
 中国最大の国有複合企業の不良資産処理
だとみられている。

■株式市場は巨額出資に懐疑的

 見返りは用意されている。
 CPグループは養鶏や鶏肉の加工・販売といった食料分野が主力。
 需要拡大が続くアジアで、家畜の飼料となる穀物を伊藤忠が調達し、中国中信の融資でCPグループが農場を整備して鶏肉を加工・販売することが検討されている。
 習近平指導部と緊密な関係を築いているCITICグループに出資することで、
 伊藤忠とCPグループは外資規制が厳しい中国で資源開発や物流網の整備、不動産開発など、これまで参入が難しかった分野に入りやすくなる。

 前述の通り伊藤忠は、提携により商社業界トップの座も視野に入っていると胸を張るが、市場(マーケット)は懐疑的だ。
 1月20日の東京株式市場では、同社株は一時、前日比57円安の1181.5円まで売られた。
 21日の安値は1179円と2日連続安だ。
 中国は経済成長が鈍化している。
 中国中信の株価上昇が続く保証はどこにもない。

 中国では、すでにバブル処理が始まっている。
 中国証券監督管理委員会は1月16日、中信証券など3社に対し、信用取引口座の3カ月間新規開設禁止を命じた。
 過熱する信用取引ブームに当局が警鐘を鳴らしたのだ。
 その乱気流の渦中に、伊藤忠は巨額出資へ踏み切る。

 ある商社首脳が次のように語る。
 「みずほフィナンシャルグループの佐藤康博社長が『商社と銀行の見方は違うが、伊藤忠の岡藤社長とは意見交換している』と語っていた。
 みずほが単独で融資するのかもしれないが、6000億円を借り入れるということは、年間600億円の利益を出さなければペイしない。
 岡藤社長の言う700億円程度の利益の押し上げでは、投資案件としてそれほど有利とはいえない。
 伊藤忠が最後まで融資に慎重だったのはよくわかる。
 非資源分野をテコにトップ商社を目指すとのことだが、
 資源投資のリスクより、中期的に見て中国のリスクのほうが大きい。
 伊藤忠のターニングポイントになることは間違いないが、下に振れたらダメージは大きい。
 うちだったら絶対に手を出さない案件だ」

 こうした懸念を裏付けるかのように、格付け会社ムーディーズ・ジャパンは1月21日、伊藤忠の発行体格付けを現在の「Baa1」から格下げの方向で見直すと発表。
 多額の現金支出でフリーキャッシュフロー(純現金収支)の減少や有利子負債の増加につながる可能性があると判断した。




JB Press 2015.02.18(水)  瀬口 清之
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42932

「赤船」に乗り込む決断を下した伊藤忠商事
"異次元"の大型資本提携に踏み切った経営判断を評価すべき理由

 伊藤忠商事は1月20日、タイのCPグループとともに中国のCITIC(中国中信)に出資し、資本提携をすることを発表した。
 CITICは中国を代表する巨大国有コングロマリットであり、伊藤忠商事とCPグループが折半出資する企業がその株式の20%を取得する。

■伊藤忠商事・CITIC・CPグループ資本提携の概要

 伊藤忠商事の投資額は約6000億円。
 CITICは香港で上場しているため、この投資額は統計上、中国向けではなく香港向けとして計上されると見られているが、実質的には対中直接投資である。

 昨年の日本企業の対中投資件数は653件、
 投資総額は43.3億ドル(中国側統計)、
 1ドル=120円で換算すれば約5200億円である。
 今回の伊藤忠商事の投資額は1件でこれを上回る。
 これを見ればいかに巨額の投資額であるかは明らかだ。

 今回の大型資本提携は外資を含む混合所有制の導入による国有企業の改革推進のモデルケースとしても注目されている。
 混合所有制を積極的に発展させることは、習近平政権が目指す改革の重要課題として三中全会決定(2013年11月)の中で明記されている。
 今回の資本提携が習近平政権の基本方針に沿っていることから見て、習近平政権による強い支持が働いていると考えられる。

 この提携発表の翌週と翌々週、筆者はちょうど北京と上海に出張していたため、日中双方のビジネスマン、研究者等との面談を通じて、今回の資本提携に関する様々な角度からの評価と課題を理解する機会を得た。
 以下ではその内容を紹介する。

■中国経済に精通した人々は今回の資本提携を高く評価

 この資本提携が発表された1月20日とその翌日、伊藤忠商事の株価は2日連続で下落した。
 その理由は資本提携からの投資回収に時間がかかることが主因とされていた。
 その後も株価の大幅な変動は見られていない。
 加えて、ある格付け会社は資金運用効率の低下を予想して同社格付けの格下げ検討を発表した。
 こうした短期的な反応を見る限り、今回の資本提携は一般的には高い評価を得られていないことがわかる。

 しかし、筆者が中国出張中に面談した現地駐在の日本人ビジネスマンおよび中国人経営者らの見方は一般的評価とは大きく異なるものだった。
 筆者の面談相手の共通点は現場第一線での中国ビジネスの経験が長く、多様なルートからの情報収集を通じて中国経済および日本企業の中国ビジネスについて非常に鋭く深い洞察力・判断力を持っていることである。

 彼らの見方を整理すればこうなる。
 今回の資本提携は、日中両国の代表的企業同士がこれまでとは異次元のアライアンス構築に踏み切ることによって日中経済関係の新時代を切り拓く動きであり、日中経済交流の長い歴史においても画期的な出来事である。
 CITICは中国国有企業の中でも最高ランクに位置する中核企業であり、
 経営基盤も安定しており、中国経済が安泰である限り、経営が不安定化するリスクは殆どない。
 それだけに資本提携したいと思ってもそのチャンスは極めて限られている。

 習近平政権の下で中国政府は国有企業改革断行のため混合所有制の導入を推進しており、今回はそこに外資が入る初めてのケースである。
 その提携先に日本企業が選ばれたということは、中国政府が本音ベースで日本企業を高く評価していることが示されたことを意味する。
 今回の提携にはタイのCPグループが含まれていることも注目すべきである。
 これは中国とアセアンにまたがる華僑最強のネットワークの誕生であり、非資源分野での広域提携を面で捉えたプロジェクトとなっている。
 これほどダイナミックな構想は日本の経営者の中でもめったに出てくるものではない。

 それに加えて自社の利益の2年分に匹敵する規模の投資を短時間で決定する決断力をもつ経営者は日本には極めて少ない。
 この提携に踏み切った伊藤忠商事の岡藤(正広)社長の構想力と決断力は日本の経営者の中で群を抜いている。
 もちろん、今回の提携は、伊藤忠商事のこれまでの中国ビジネス展開が質と量の両面において日本の大手商社の中でも突出しており、CITICのような中核国有企業と提携するメリットがとくに大きいという同社の特徴があってこそできた決断である。
 それでもこれほど巨額の投資を迅速に決定できる経営者は極めて少ない。
 これほど意義のある決定を下したにもかかわらず、株式市場や格付け会社が見せた反応は残念である。

 もっとも中国経済悲観論や反中バイアスに染まっている日本や欧米の市場関係者ではこれほどダイナミックな構想の意義をきちんと理解できないのも無理はない。
 市場関係者に今回の資本提携の意義を理解させるには、今後同社が目に見える結果を示すことが必要である。

 以上が北京と上海で面談した信頼できる中国経済通のコメントである。
今回の提携の具体的なメリットの中味

 この間、国有企業の改革に詳しい中国人研究者は、今回の提携におけるCITICの狙いについて次のように分析している。

第1に、伊藤忠商事を介した、主に非金融分野での日本企業との協力関係の強化。
第2に、欧米市場への展開に際して伊藤忠商事のネットワークを活用すること。
第3に、混合所有制の導入による企業改革の推進。
第4に、豪州の鉄鉱石鉱山開発プロジェクトの失敗を繰り返さないようにするためのアドバイザーとしての役割を伊藤忠商事に期待している。

 これに対して、伊藤忠商事側のメリットについて筆者は以下のように見ている。

第1に、アパレル、小売り、流通、農業等中国国内市場の幅広い分野で展開する同社事業におけるCITICの人脈・ネットワークの活用。
第2に、CITICとCPグループが強みを持つアセアン、アフリカ市場での事業展開における両社との協力関係の活用。
第3に、将来アジアインフラ投資銀行がアジア諸国でインフラ建設に融資する場合、CITICルートを通じて、中国企業との提携を有利に展開できる可能性。

 以上のように、伊藤忠商事、CITIC、CPグループとも業務範囲の広い巨大コングロマリット企業であることから、広範な地域と様々な分野での協力が考えられ、提携のメリットを生かせる分野は広く、事業規模拡大の余地も大きい。

■「赤船」に乗り込む伊藤忠商事の決断が示唆するもの

 筆者は前回の拙稿、『「赤船」中国が迫る第2の開国』の中で、世界秩序が多極化に向けて地殻変動を起こしつつあること、その状況下、日本を覚醒させ、世界ビジョンと国家目標の明示が急務であることを認識させる存在が「赤船」中国であることを述べた。
 それを書き終えた数日後にこの資本提携が発表され、早速その「赤船」に乗り込む日本企業が現れたことに驚かされた。

 多くの日本企業が取り組もうとしている経営のグローバル化の核心はアジア地域を中心とする現地化の推進である。
 今回の提携の意義は中国およびアセアンにおけるビジネスの現地化を支える土台の形成である。
 これは日本が国家として持つべき世界ビジョンと国家目標の方向性を示唆しているように見える。

 企業経営において、激変の最中にあるグローバル市場で巨大プロジェクトのメリット・デメリットを判断しリスクを取って決断することができるのは社長しかいない。
 しかし、日本企業ではそうした決断を迅速に下せる社長は少なく、決断が遅れて貴重なビジネスチャンスを逃す事例は枚挙に暇がない。
 もちろん今回の資本提携が大きな事業展開と収益を生み出すかどうかは今後の努力にかかっている。
 とは言え、これにより伊藤忠商事が有利なチャンスを得たことは明らかである。
 その観点から見て、本件は社長の決断力の重要性を示している。

 企業経営においても国家の政策運営においても、下からの積み上げによる意思決定に頼ることが多い日本の組織では、トップリーダーが明確な将来ビジョンと目標を示し、迅速な意思決定を下すことが少ない。
 このため重要な意思決定に時間がかかり、企業はビジネスチャンスを逃し、政府は制度改革など重要政策の実現が遅れることが多い。
 日本を取り巻く環境が激変する状況下、企業においても政府においても、今回の伊藤忠商事の岡藤社長が示したような迅速かつ大胆な決断を下すリーダーシップが求められている。



JB Press 2015年03月05日(Thu)  水野聡子 (Infinitie Wings BP 代表)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4756

タイCPグループ:中国への展開と自信

★.2014年7月に1020億円を投じて日本の伊藤忠株を4.7%取得して、筆頭株主となり大きく話題となったタイの食品コングロマリット、チャロン・ポカパン(CP)グループ。
 この提携についてはCPグループの中国進出意欲が非常に大きく影響している。
 「円安による日本国内回帰」という名目のもと、脱中国がトレンドの日本とは正反対の動きだ。
 この逆トレンドを少しご紹介したい。

 CPグループ創業者の立身出世話はタイ人ならどんな人でも一通り話ができるほど知られている。
 1920年代に中国から移民してきてバンコクの中華街で野菜の種や苗を売っていた。
 そこからスタートし、今や世界でも有数の食品コングロマリットになった。
 傘下内にはセブンイレブンを持ち、リテールチャンネルも自前だ。
 ちなみにタイのセブンイレブンの店舗数は2014年9月現在でほぼ8000と日本とアメリカに次ぎ世界第3位を誇る。

 中国離れの傾向がある中、敢えてCPグループが中国へ向かうには様々な理由がある。
★.まだまだ人口の多さを見込んで大いなる市場として捉えていること、
★.「移民先で一旗揚げていつかは祖国へ凱旋したい」という気持ちを根底に持ち続けていたこと、
★.華僑ゆえに中国人の文化を理解していること
などだ。
 中国は「生産拠点および消費市場」として十分戦えると強い意欲を見せている。

 コングロマリットだけあり社内組織はとても緻密に細分化されている。
 同業種を敢えて複数社に分化しそれぞれが競合相手となる。

 担当レベルでも同じで、例えば工場の生産エンジニアなら、プロジェクトにおいてどの業者からどのような機材を導入し、どれだけロスなく生産したのか。
 さらに、採用した業者の事後メンテナンスへの対応や、次期プロジェクトへの熱意までも詳細に報告される。
 それらが数値化され、収益と合わせて評価される。

 グループ内は、常に競争が熾烈であり社内でも気が抜けないが、収益を上げるビジネスを確立すればそれに見合うだけの十分な報酬が与えられる。
 こうしたタイでの背景をもって中国市場へ挑む準備は万端だ。

 CPグループは中国ではすでに食肉加工工場を運営しているが、今後はタイで培ってきたコンビニエンスストア運営ノウハウを投入し、そこで販売するチルド弁当と冷凍弁当の大型製造工場を青島に建設している。
 この工場をパイロット工場として今後中国で10拠点以上の生産拠点設営が予定されている。

 様々な面で独自の視点とポテンシャルを持つタイのCPグループ。
 日本の企業が中国離れを検討する中、CPグループがどのように展開していくのか注目したい。






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