当たらないのがノーベル賞経済学者の論説。
あまりにも精密になりすぎて、大局が掴めなくなってしまっている。
いわゆる学者バカの典型である。
『
レコードチャイナ 配信日時:2015年1月26日 12時49分
http://www.recordchina.co.jp/a101306.html
今の中国経済は日本の90年代と似ている?
ノーベル賞受賞者の意見に
「西洋の経済学は中国では通用しない」
と強気の声が多数―中国ネット
2015年1月25日、中国メディアの新浪は、ノーベル経済学賞受賞者であるポール・クルーグマン氏が、中国の経済状況は90年代後半の日本とよく似ていると指摘したことを伝えた。
新浪は、グルーマン氏が
「世界の中で心配な場所が2つある。
それは欧州と中国だ」
と語り、
★.「現在の中国経済の状況は、
高い経済投資と不動産バブルなどで90年代末の日本とよく似ており、
特に速やかな経済モデルの変革が求められているところが良く似ている」
と指摘したことを伝えた。
これに対して中国のネットユーザーからは反論するコメントが多く寄せられた。
「西洋の経済学は中国では通用しない」
「どうしてノーベル賞受賞者が中国について語る時、どれも当たっていないように思うのだろう」
「この人が受賞したのはノーベル心配賞だったんじゃないのか」
「日本とは状況が全然違うよ。
日本は米国に逆らえなかった。
これが一番の原因だ」
「この人は中国に共産党がいることを忘れているな。
それに日本の場合はプラザ合意に署名しちゃったからだよ」
「われわれは日本とは全然違うよ~。
強大な消費はまだ始まったばかり。
この人は90年代や2000年代生まれの若者のお金の使い方を見たことがないんだろうよ」
「中国の国情も分からないで心配をしているんだな。
まあメディアはこういうのが好きだからな」
「心配しなくても大丈夫。
お金は汚職役人たちがたくさん持っているから。
役人を取り締まれば政府はすぐにお金が手に入る」
』
『
サーチナニュース 【経済ニュース】 2015/02/11(水) 06:34
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2015&d=0211&f=business_0211_006.shtml
世界経済のリスクは欧州と中国にある!?=中国メディア
中国メディアのBWCHINESEは4日、中国経済の成長が鈍化しつつあることについて、世界経済の危機における新たな震源地になる可能性があると論じる記事を掲載した。
記事は、中国国家統計局のデータを引用し、14年の国内総生産(GDP)成長率が前年比7.4%増だったことを紹介し、1990年以来の最低水準になったと伝えた。
続けて、世界銀行が1月13日に発表した15年の世界経済見通しの報告書において、中国経済の減速が世界経済に対するリスクだと指摘したことを紹介した。
さらに、中国の15年1月の製造業PMI(購買担当者景気指数)が49.8と節目の50を下回り、5カ月連続での下落になったと伝え、中国交通銀行のチーフエコノミストである連平氏の発言として
「製造業の生産意欲が明らかに減退している」
と伝えた。
また記事は、ノーベル経済学賞の受賞者であるポール・クルーグマン氏の見解を引用し、現在の中国は1990年代末の日本と酷似しているとし、
「不動産バブルや過度な投資といった問題を抱える中国は経済モデルの転換を迫られているが、残された時間は多くない」
と紹介。
さらに、ポール・クルーグマン氏が
「中国経済は今後、大きなトラブルに直面する可能性が高い」
と主張し、現在の世界経済におけるリスクは欧州と中国だと主張していることを紹介した。
また、
★.中国経済が投資によって成長を続けてきたことを指摘する一方、
投資がGDPの50%を占めるような経済モデルが持続できるわけがない
と悲観的な見方を示していることを伝えた。
』
『
サーチナ 1月27日(火)6時39分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150127-00000023-scn-bus_all
中国の不動産市場 「崩壊することは絶対にない」
=中国共産党機関紙
中国共産党機関紙・人民日報は24日、2014年は中国の不動産市場にとって冷え込みが続いた年だったとし、
★.市場から今でも不動産バブルが崩壊するのではないかと懸念の声が聞こえてくる
とする一方、
★.「わが国の不動産市場が崩壊することは絶対にない」
記事は、14年は中国全土において
「不動産企業の開発投資や施工面積、土地の購入面積のほか、商品不動産の販売面積などいずれの指標においても前年割れとなった」
と指摘。
14年第4四半期は政策の調整によってわずかながら市況が上向いたものの、14年通年で見た場合は「市場全体が大幅な調整に見舞われた」
と論じた。
さらに土地の値上がりや資金調達の容易さ、高レバレッジによる不動産開発といった諸問題が一気に顕在化したとし、今では不動産企業は利益率の低下のほか、競争圧力の増大、増える在庫による圧力に苦しんでいると指摘。
一方で記事は、専門家の意見として、
「加熱していた不動産市場が調整するのは当然であり、土地を仕入れれば大金が儲かるという過去が正常でなかっただけ」
と指摘。
2010年に導入された不動産購入時におけるローン規制などによって不動産市場は調整を余儀なくされたとしながらも、
「中国には住宅に対する実需が存在する」
と指摘した。
さらに、中国の李克強首相の発言を引用し、中国は都市化を進めているうえ、人びとの住宅ニーズを保障する政策を推し進め、すべての国民に住宅を保障することを最終的に実現する方針だと指摘し、実需がある限りは不動産バブルが崩壊することはないとの見方を示した。
続けて記事は、中国の5大銀行のひとつである交通銀行の金融研究センターの夏丹研究員の話として、
「中国には身を落ち着けるためには、家を所有することが条件とする伝統があり、この伝統に基づく実需が不動産市場を発展させる一大原動力になってきた」
と指摘。
さらに現在の不動産市場の冷え込みは崩壊の序章に映るかもしれないと前置きしつつ、
「過度な在庫を抱えている地方では調整は長引くかもしれないが、中国経済が今なお発展し、住宅に対する実需も存在するなかで不動産市場に大きなリスクは生まれない」
と主張した。
』
『
サーチナニュース 【経済ニュース】 2015/01/26(月) 17:12
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2015&d=0126&f=business_0126_063.shtml
中国の大手不動産企業にデフォルトの危機=中国メディア
中国の不動産企業である佳兆業集団が融資への利払いができず債務不履行(デフォルト)に直面していることについて、中国メディアの新快報は23日、
「佳兆業集団のデフォルト危機が(中国の)広東省・広州市全体に波及している」
と伝えた。
記事は、佳兆業集団がデフォルトの危機に陥ったことに対し、すでに広州市当局や銀行が資産の差し押さえや預金の凍結を行ったことを伝え、佳兆業集団が建設したマンションのうち、未販売の各住宅については「差し押さえ」と書かれた紙が貼りだされていると紹介。
さらに、内情を知る関係者の話として
「竣工済みのマンションを計画どおり販売できるよう佳兆業集団は尽力している」
と伝える一方、差し押さえとなった広州市内の住宅戸数は1000戸前後にのぼると紹介した。
さらに、デフォルト危機は広州市だけでなく、同省恵州市にも波及しているとし、すでに恵州市内のマンション建設プロジェクトの一部が差し押さえられたと報じた。
記事は、佳兆業集団は2013年、業績を大きく伸ばした大企業と紹介する一方、同社が融資の利払いができず、さらなるデフォルトの可能性もあることについて「1万人を超す社員と、総資産数千億元に達する企業が苦境に直面している」と伝えた。
さらに、中国不動産についての調査機関である、中国指数研究院の発表を引用し、佳兆業集団は14年の不動産販売額は302億元(約5678億円)に達し、中国の不動産企業として19位にランキングされたと紹介した。
さらに、佳兆業集団の販売前の住宅が当局に差し押さえられたことについて、今後の同社の売り上げやキャッシュフロー、新しい資金調達に大きな影響をもたらすと伝え、さらなるデフォルトや資金難に直面する可能性もあると論じた。
』
『
サーチナ 1月27日(火)6時33分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150127-00000013-scn-bus_all
中国の「シャドーバンキング」が健在
・・・新たに「グレーな金融システム」=中国メディア
英紙フィナンシャル・タイムズは22日、中国当局の監視強化にもかかわらず「影の銀行(シャドーバンキング)」は今なお成長を続けていると伝え、さらに新しい形式の“グレーな金融システム”も台頭していると報じた。
中国メディアの環球網が23日付で伝えた。
記事は、中国のシャドーバンキングに関する報告書において、米国の格付け会社ムーディーズが
「中国の国内総生産に対するシャドーバンキングの規模は今なお拡大している」
と指摘したことを紹介。
同報告書によれば、
★.シャドーバンキングの対GDP比は13年末の66%から14年末には「71%」
に上昇し、
★.金額としては45兆元(約845兆円)規模
に達した。
続けて、中国はマネーの流れを正規の銀行業に振り向けるよう努力しているものの、非正規の銀行によるサービスと金融商品の規模は今なお巨大であると指摘した。
さらに、シャドーバンキングとは別に、新しい金融システムとしてネット上の融資プラットフォームが台頭し、成長を続けていると紹介、また証券会社が投資家に資金や株式を貸し出す「信用取引」も急拡大しているとし、中国政府は急拡大する信用取引に歯止めをかけようとしており、またそれを背景に、上海総合指数も急上昇したことがあると伝えた。
記事は、すでにある程度の実態が把握されているシャドーバンキングとは異なるグレーな金融システムが中国で台頭してきていることに懸念を示したうえで、さらに
「ネット上の融資プラットフォームなどは具体的な融資残高を把握するデータが不足していること」
を挙げ、
中国の不透明な金融システムに警鐘を鳴らした。
』
『
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42780
中国の富豪、支払い遅延で地方政府を提訴
(2015年1月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
中国有数の富豪が、インフラ工事契約に関する支払いが遅れているとの理由で6つの地方政府を訴えている。
★.中国で政府が訴えられるのは稀なことで、
経済全体に広がる未払いの債務のリスクが浮き彫り
にされた格好だ。
★.中国の地方政府による借り入れはここ数年急増しており、
新規の借り入れの大半が既存の借り入れの元利返済に充てられている。
そのため、
地方政府のデフォルト(債務不履行)が本格的な金融危機を引き起こしかねない
との懸念も浮上している。
■中国で異例の訴訟、「必要なら最高裁まで争う」
中国太平洋建設集団(CPCG)の創業者、厳介和氏は26日、地方政府をこのように訴えたのは同社が初めてだと語った。
「必要なら、最高裁まで争うつもりだ」
とも述べ、
「間違いなく我々が勝つ。記録も証拠も明白だ」
と付け加えた。
CPCGは、国有企業が伝統的に支配してきた中国インフラ整備業界で最大の民間企業。
昨年は600億ドルの売上高を計上し、世界の企業番付「フォーブス500」で第166位となった。
また厳介和氏は、中国の民間調査会社、胡潤研究院が昨年まとめた中国の長者番付で第7位にランクされており、その資産は142億ドルに上ると推計されている。
訴えられたのは市および県の6政府。
中国国家統計局の馬建堂局長は先週、地方政府の債務は中国経済にとって最大のリスクの1つになっていると強調した。
先週発表された中国の昨年の経済成長率は、24年ぶりの低水準にとどまった。
また中国の審計署(会計検査院に相当)によれば、2010年末に10兆7000億元だった地方政府の債務残高は、昨年6月までに18兆元に増えている。
地方政府の昨年の債務残高のうち、CPCGが特化している「ビルド・アンド・トランスファー(BT)*1」方式でのインフラ整備プロジェクトによる債務は約8%、額にして1兆5000億元を占めていた。
★.「民間企業が政府を訴えるのは極めて稀なことだ。
同様な事例は記憶にない」。
ドイツ銀行の中国担当チーフエコノミスト、張智威氏(香港在勤)はこう語る。
★.「これは、CPCGのほかの取引先に対するシグナルでもある」
CPCGの厳介和氏は、債権の総額を明らかにすることを拒んだが、同社は比較的小規模な2件の訴訟については詳細を開示している。
これによると、CPCGは中国南西部の雲南省晋寧県に対し、2年以上前に完了したインフラ整備プロジェクト4件について9500万元(1500万ドル)の債権を保有している。
またCPCGが2013年8月までに16件のインフラ整備プロジェクトを完了させた北部の河北省寧晋県に対しては、8300万人民元の債権を有しているという。
雲南省晋寧県の当局者は、この件については現在調査中でありコメントできないと回答。
河北省寧晋県の政府にもコメントを求めたが、すぐには連絡が取れなかった。
CPCGはこれまでに、上海と江蘇省の省都・南京を結ぶ高速道路や長江の橋など大型の建設プロジェクトを手がけている。甘粛省の省都・蘭州でも複数のプロジェクトを抱えている。
■積み上がる地方政府債務のリスク
★.「この訴訟には、地方政府に貸しがあるほかの債権者たちも注目するだろう」。
格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の公的部門格付け担当ディレクター、チョン・リアン氏はこう言う。
「もしCPCGが勝てば、これに追随する動きが出てくるだろう」
★.今回の訴訟は、地方政府が一定の距離を置いた実態が不透明な資金調達会社を使って資金を借り入れる手法を、中央政府が排除しようとしている最中に始まった。
中国の地方政府は資金を直接借りることが禁じられているため、こうした特別目的会社を通じて借り入れを行ってきたが、国務院は昨年後半、そのような借り入れをもう認めないとの方針を明らかにした。
地方政府は、特別目的会社による借り入れのほとんどについて法的責任を負っていないものの、債権者の多くは、この借り入れには政府の暗黙の保証が付与されていると考えている。
中国の全国人民代表大会(国会に相当)は「表玄関を開けて裏口を閉める」試みにおいて、地方政府の直接借り入れを解禁した。
また財政部(財務省に相当)は、地方債発行による資金調達を一部の地方政府に試験的に認めるプログラムを開始した。
一方で、国務院は、自らが抱える債務を返済できない地方政府に救済措置を与えないと述べた。
やはりCPCGが地方政府を提訴している山東省などの中国各省の小さな市や県の債権者は、上位政府は下位政府の債務を保証しないと考えた場合に、厳介和氏の後に追随する可能性が極めて高いとリアン氏は言う。
「一部の債権者にとっては、法的措置を取る先行者利益があるかもしれない」
By Tom Mitchell in Beijing and Gabriel Wildau in Shanghai
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』
『
サーチナニュース 【経済ニュース】 2015/01/30(金) 18:06
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2015&d=0130&f=business_0130_082.shtml
中国の不動産企業は
・・・「アジアのジャンク債市場の主役」=英紙華字メディア
英紙「フィナンシャル・タイムズ」の中国語版は23日、コンプライアンスやキャッシュフローに対する懸念を理由に、
★.中国の不動産企業は世界の社債市場で資金を調達できなくなりつつある
とし、調査会社のDealogic社のデータを引用し、
「中国の不動産企業はアジアのジャンク債市場の主役になった」
と伝えた。
記事は、
★.2013年に中国の不動産企業がジャンク債市場で調達した資金は195億米ドル(約2兆2960億円)に達し、
★.14年は214億米ドル(約2兆5198億円)
に達したと紹介。
さらに、13年、14年ともに年初に資金調達が行われていたことを伝える一方、
★.15年はいまだに資金調達ができていない
ことを伝え、その理由として「
投資家が中国不動産企業の社債購入に慎重になっているため」
と報じた。
続けて、中国不動産企業である佳兆業集団がドル建て社債の利払いができず、さらなるデフォルト(債務不履行)の危機もあると懸念されていることを挙げ、香港の銀行関係者の声として
「佳兆業集団の経営危機は投資家の中国不動産業に対する信頼を打ち砕いた」
と伝えた。
また記事は、
★.中国不動産企業の大半の社債価格は額面金額を下回っている
とし、新しく社債を発行することが難しい状況になっていると紹介、佳兆業集団の経営危機によってほかの不動産企業も資金調達計画が大きく狂ってしまったと伝えた。
』
『
Business Journal 2015/1/29 06:02 編集部
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150129-00010005-biz_bj-nb
中国バブル崩壊の予兆
中国政府、伊藤忠の巨額出資を最大国営企業の不良債権処理に利用か
伊藤忠商事は1月20日、タイ財閥チャロン・ポカパン(CP)グループと共同で、中国政府が100%出資する複合企業、中国中信集団(CITIC)の傘下企業に「合計1兆2040億円」を出資すると発表した。
中国国営企業への外国投資としては過去最大級となる。
出資先は香港証券取引所に上場している中国中信集団傘下の持ち株会社、中国中信(CITICリミテッド)。
伊藤忠とCPグループが折半出資する共同出資会社を通じて、4月に普通株式の約10%(約5150億円)を取得する。
その後、10月に普通株式に転換可能な優先株(約6890億円)を引き受ける。
普通株に転換後の出資比率は約20%(約58億1800万株)となり、共同出資会社の持ち分法適用会社となる。
伊藤忠などが出資後、中国中信集団の中国中信への出資比率は80%から60%に下がる。
出資総額は1兆2040億円で、伊藤忠は6020億円を出資する。
伊藤忠は全額、金融機関からの借り入れで賄うとしている。
伊藤忠の持分法適用会社となることで、年間700億円程度の利益の押し上げがあると説明している。
20日、都内で記者会見した岡藤正広社長は、
「(提携により)2015年度から始まる次期3カ年中期経営計画の最終年度に当たる17年度には非資源商社No.1の地位は確固たるものになり、業界トップの座も視野に入っている」
と述べた。
中国中信集団は中国最大の実力者、トウ【編註:正式名は漢字】小平氏の開放・改革政策の下、1979年に設立された国有企業。
創設者の栄毅仁氏は「紅い資本家」と呼ばれ、後に国家副主席を務めた。
中国政府の国務院(内閣に相当)が管轄する中国最大の複合企業集団で、グループの事業分野は石油化学、金属、重工業、自動車、銀行・証券、不動産、小売り、出版などに及んでいる。
伊藤忠が出資する中国中信はCITICグループの金融分野の一翼を担う。
中信銀行、中信証券など金融サービスを中心に、傘下に中信資源、中信建設など20社を持つ。
有価証券報告書によると、13年12月期の売上高に当たる営業収益は日本円換算で6兆1587億円、1699億円の営業利益を上げている。
■CPグループの存在
今回の投資スキームを伊藤忠に提案したのは、CPグループのタニン・チャラワノン会長だ。
CPグループは中国出身のチャラワノン一族が1921年にバンコクで種苗販売店を開いたのが発祥。
タニン会長は創業者の4男。
香港の商業専門学校を卒業し、CPグループに入社。
69年に社長へ就任、89年から会長兼CEOを務める。
現在の中核事業は食料、食品、小売りと通信。
グループ全体の従業員は30万人を超え、年間売上高は4兆4000億円に上る。
タニン氏の最大の転機は79年だった。
トウ小平氏による開放・改革路線が始まった時、真っ先に中国へ乗り込んだのがタニン氏だった。
トウ小平氏とタニン氏の会見の様子は後にアニメ化された。
番号「00001」。中国が外国企業に門戸を開いた際に与えられる営業許可証の第1号が、CPグループの大規模養鶏場だった。
CPグループと中国当局とのパイプは太い。
外資系企業がチャイナリスクを避けて中国市場から撤退する中、CPグループはタイに本社を置く外資系企業でありながら中国での投資を拡大し、巨額の利益を手にした。
これまでの投資額は80億~90億ドル(約9500億~1兆700億円)に達し、飼料・畜産事業を中心に中国事業を拡大してきた。
タニン氏の中国名は謝国民。
CPグループは、中国では「正大集団」として知られている。
タニン氏は東南アジアで活躍する華人企業家の中で、習近平・中国指導部に最も近い1人といわれている。
今回の中国中信への出資のスキームは、タニン会長が習氏や李克強首相に働きかけて実現させたとされている。
■伊藤忠の巨額出資、不良債権処理に利用か
なぜ伊藤忠の国営企業への出資に、中国指導部が関わるのか。
時系列で見ていくと、1兆2040億円出資の意図が見えてくる。
14年7月、伊藤忠とCPグループは資本・業務提携した。
CPグループは伊藤忠が実施する1020億円の第三者割当増資を引き受け、伊藤忠の株式4.9%を取得。
実質的に伊藤忠の筆頭株主となる。
伊藤忠はCPグループの飼料・畜産事業を展開する香港の上場会社の株式25%を870億円で取得した。
14年9月、中国中信は香港証券取引所に上場した。
伊藤忠とCPグループ、東京海上日動火災保険、みずほ銀行が、それぞれ1%を出資した。
15年1月、伊藤忠とCPグループが中国中信に1兆2040億円を出資すると表明した。
この一連の流れで最大のポイントは、中国中信の香港上場である。
何を意図して上場したのか。
ブルームバーグは14年12月5日、
「中国中信は親会社から370億ドル(約4兆4300億円)相当の資産を今年買い取った際にCPグループを含む27の投資家に株式を売却」
と報じた。
中国政府が100%出資する中国中信集団は、
4兆4300億円の巨額資産を子会社の中国中信に売却したのだ。
中国中信集団は幅広い業種を傘下に持つが、中国経済の減速の影響を、銀行、証券、不動産、建設のいずれの業種も受けている。
中国のバブル経済の崩壊に備えて、
中国中信集団から不良資産を切り離し、上場した中国中信でこれを処理することを意味している。
中国中信が不良資産を処理していけば、自己資本を食い潰し、債務超過に転落する恐れが出てくる。
それを回避するために、1兆2040億円という巨額増資を実施することにしたわけだ。
つまり、
伊藤忠・CP連合への株式売却を中国政府が承認した目的は、
中国最大の国有複合企業の不良資産処理
だとみられている。
■株式市場は巨額出資に懐疑的
見返りは用意されている。
CPグループは養鶏や鶏肉の加工・販売といった食料分野が主力。
需要拡大が続くアジアで、家畜の飼料となる穀物を伊藤忠が調達し、中国中信の融資でCPグループが農場を整備して鶏肉を加工・販売することが検討されている。
習近平指導部と緊密な関係を築いているCITICグループに出資することで、
伊藤忠とCPグループは外資規制が厳しい中国で資源開発や物流網の整備、不動産開発など、これまで参入が難しかった分野に入りやすくなる。
前述の通り伊藤忠は、提携により商社業界トップの座も視野に入っていると胸を張るが、市場(マーケット)は懐疑的だ。
1月20日の東京株式市場では、同社株は一時、前日比57円安の1181.5円まで売られた。
21日の安値は1179円と2日連続安だ。
中国は経済成長が鈍化している。
中国中信の株価上昇が続く保証はどこにもない。
中国では、すでにバブル処理が始まっている。
中国証券監督管理委員会は1月16日、中信証券など3社に対し、信用取引口座の3カ月間新規開設禁止を命じた。
過熱する信用取引ブームに当局が警鐘を鳴らしたのだ。
その乱気流の渦中に、伊藤忠は巨額出資へ踏み切る。
ある商社首脳が次のように語る。
「みずほフィナンシャルグループの佐藤康博社長が『商社と銀行の見方は違うが、伊藤忠の岡藤社長とは意見交換している』と語っていた。
みずほが単独で融資するのかもしれないが、6000億円を借り入れるということは、年間600億円の利益を出さなければペイしない。
岡藤社長の言う700億円程度の利益の押し上げでは、投資案件としてそれほど有利とはいえない。
伊藤忠が最後まで融資に慎重だったのはよくわかる。
非資源分野をテコにトップ商社を目指すとのことだが、
資源投資のリスクより、中期的に見て中国のリスクのほうが大きい。
伊藤忠のターニングポイントになることは間違いないが、下に振れたらダメージは大きい。
うちだったら絶対に手を出さない案件だ」
こうした懸念を裏付けるかのように、格付け会社ムーディーズ・ジャパンは1月21日、伊藤忠の発行体格付けを現在の「Baa1」から格下げの方向で見直すと発表。
多額の現金支出でフリーキャッシュフロー(純現金収支)の減少や有利子負債の増加につながる可能性があると判断した。
』
『
JB Press 2015.02.18(水) 瀬口 清之
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42932
「赤船」に乗り込む決断を下した伊藤忠商事
"異次元"の大型資本提携に踏み切った経営判断を評価すべき理由
伊藤忠商事は1月20日、タイのCPグループとともに中国のCITIC(中国中信)に出資し、資本提携をすることを発表した。
CITICは中国を代表する巨大国有コングロマリットであり、伊藤忠商事とCPグループが折半出資する企業がその株式の20%を取得する。
■伊藤忠商事・CITIC・CPグループ資本提携の概要
伊藤忠商事の投資額は約6000億円。
CITICは香港で上場しているため、この投資額は統計上、中国向けではなく香港向けとして計上されると見られているが、実質的には対中直接投資である。
昨年の日本企業の対中投資件数は653件、
投資総額は43.3億ドル(中国側統計)、
1ドル=120円で換算すれば約5200億円である。
今回の伊藤忠商事の投資額は1件でこれを上回る。
これを見ればいかに巨額の投資額であるかは明らかだ。
今回の大型資本提携は外資を含む混合所有制の導入による国有企業の改革推進のモデルケースとしても注目されている。
混合所有制を積極的に発展させることは、習近平政権が目指す改革の重要課題として三中全会決定(2013年11月)の中で明記されている。
今回の資本提携が習近平政権の基本方針に沿っていることから見て、習近平政権による強い支持が働いていると考えられる。
この提携発表の翌週と翌々週、筆者はちょうど北京と上海に出張していたため、日中双方のビジネスマン、研究者等との面談を通じて、今回の資本提携に関する様々な角度からの評価と課題を理解する機会を得た。
以下ではその内容を紹介する。
■中国経済に精通した人々は今回の資本提携を高く評価
この資本提携が発表された1月20日とその翌日、伊藤忠商事の株価は2日連続で下落した。
その理由は資本提携からの投資回収に時間がかかることが主因とされていた。
その後も株価の大幅な変動は見られていない。
加えて、ある格付け会社は資金運用効率の低下を予想して同社格付けの格下げ検討を発表した。
こうした短期的な反応を見る限り、今回の資本提携は一般的には高い評価を得られていないことがわかる。
しかし、筆者が中国出張中に面談した現地駐在の日本人ビジネスマンおよび中国人経営者らの見方は一般的評価とは大きく異なるものだった。
筆者の面談相手の共通点は現場第一線での中国ビジネスの経験が長く、多様なルートからの情報収集を通じて中国経済および日本企業の中国ビジネスについて非常に鋭く深い洞察力・判断力を持っていることである。
彼らの見方を整理すればこうなる。
今回の資本提携は、日中両国の代表的企業同士がこれまでとは異次元のアライアンス構築に踏み切ることによって日中経済関係の新時代を切り拓く動きであり、日中経済交流の長い歴史においても画期的な出来事である。
CITICは中国国有企業の中でも最高ランクに位置する中核企業であり、
経営基盤も安定しており、中国経済が安泰である限り、経営が不安定化するリスクは殆どない。
それだけに資本提携したいと思ってもそのチャンスは極めて限られている。
習近平政権の下で中国政府は国有企業改革断行のため混合所有制の導入を推進しており、今回はそこに外資が入る初めてのケースである。
その提携先に日本企業が選ばれたということは、中国政府が本音ベースで日本企業を高く評価していることが示されたことを意味する。
今回の提携にはタイのCPグループが含まれていることも注目すべきである。
これは中国とアセアンにまたがる華僑最強のネットワークの誕生であり、非資源分野での広域提携を面で捉えたプロジェクトとなっている。
これほどダイナミックな構想は日本の経営者の中でもめったに出てくるものではない。
それに加えて自社の利益の2年分に匹敵する規模の投資を短時間で決定する決断力をもつ経営者は日本には極めて少ない。
この提携に踏み切った伊藤忠商事の岡藤(正広)社長の構想力と決断力は日本の経営者の中で群を抜いている。
もちろん、今回の提携は、伊藤忠商事のこれまでの中国ビジネス展開が質と量の両面において日本の大手商社の中でも突出しており、CITICのような中核国有企業と提携するメリットがとくに大きいという同社の特徴があってこそできた決断である。
それでもこれほど巨額の投資を迅速に決定できる経営者は極めて少ない。
これほど意義のある決定を下したにもかかわらず、株式市場や格付け会社が見せた反応は残念である。
もっとも中国経済悲観論や反中バイアスに染まっている日本や欧米の市場関係者ではこれほどダイナミックな構想の意義をきちんと理解できないのも無理はない。
市場関係者に今回の資本提携の意義を理解させるには、今後同社が目に見える結果を示すことが必要である。
以上が北京と上海で面談した信頼できる中国経済通のコメントである。
今回の提携の具体的なメリットの中味
この間、国有企業の改革に詳しい中国人研究者は、今回の提携におけるCITICの狙いについて次のように分析している。
第1に、伊藤忠商事を介した、主に非金融分野での日本企業との協力関係の強化。
第2に、欧米市場への展開に際して伊藤忠商事のネットワークを活用すること。
第3に、混合所有制の導入による企業改革の推進。
第4に、豪州の鉄鉱石鉱山開発プロジェクトの失敗を繰り返さないようにするためのアドバイザーとしての役割を伊藤忠商事に期待している。
これに対して、伊藤忠商事側のメリットについて筆者は以下のように見ている。
第1に、アパレル、小売り、流通、農業等中国国内市場の幅広い分野で展開する同社事業におけるCITICの人脈・ネットワークの活用。
第2に、CITICとCPグループが強みを持つアセアン、アフリカ市場での事業展開における両社との協力関係の活用。
第3に、将来アジアインフラ投資銀行がアジア諸国でインフラ建設に融資する場合、CITICルートを通じて、中国企業との提携を有利に展開できる可能性。
以上のように、伊藤忠商事、CITIC、CPグループとも業務範囲の広い巨大コングロマリット企業であることから、広範な地域と様々な分野での協力が考えられ、提携のメリットを生かせる分野は広く、事業規模拡大の余地も大きい。
■「赤船」に乗り込む伊藤忠商事の決断が示唆するもの
筆者は前回の拙稿、『「赤船」中国が迫る第2の開国』の中で、世界秩序が多極化に向けて地殻変動を起こしつつあること、その状況下、日本を覚醒させ、世界ビジョンと国家目標の明示が急務であることを認識させる存在が「赤船」中国であることを述べた。
それを書き終えた数日後にこの資本提携が発表され、早速その「赤船」に乗り込む日本企業が現れたことに驚かされた。
多くの日本企業が取り組もうとしている経営のグローバル化の核心はアジア地域を中心とする現地化の推進である。
今回の提携の意義は中国およびアセアンにおけるビジネスの現地化を支える土台の形成である。
これは日本が国家として持つべき世界ビジョンと国家目標の方向性を示唆しているように見える。
企業経営において、激変の最中にあるグローバル市場で巨大プロジェクトのメリット・デメリットを判断しリスクを取って決断することができるのは社長しかいない。
しかし、日本企業ではそうした決断を迅速に下せる社長は少なく、決断が遅れて貴重なビジネスチャンスを逃す事例は枚挙に暇がない。
もちろん今回の資本提携が大きな事業展開と収益を生み出すかどうかは今後の努力にかかっている。
とは言え、これにより伊藤忠商事が有利なチャンスを得たことは明らかである。
その観点から見て、本件は社長の決断力の重要性を示している。
企業経営においても国家の政策運営においても、下からの積み上げによる意思決定に頼ることが多い日本の組織では、トップリーダーが明確な将来ビジョンと目標を示し、迅速な意思決定を下すことが少ない。
このため重要な意思決定に時間がかかり、企業はビジネスチャンスを逃し、政府は制度改革など重要政策の実現が遅れることが多い。
日本を取り巻く環境が激変する状況下、企業においても政府においても、今回の伊藤忠商事の岡藤社長が示したような迅速かつ大胆な決断を下すリーダーシップが求められている。
』
『
JB Press 2015年03月05日(Thu) 水野聡子 (Infinitie Wings BP 代表)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4756
タイCPグループ:中国への展開と自信
★.2014年7月に1020億円を投じて日本の伊藤忠株を4.7%取得して、筆頭株主となり大きく話題となったタイの食品コングロマリット、チャロン・ポカパン(CP)グループ。
この提携についてはCPグループの中国進出意欲が非常に大きく影響している。
「円安による日本国内回帰」という名目のもと、脱中国がトレンドの日本とは正反対の動きだ。
この逆トレンドを少しご紹介したい。
CPグループ創業者の立身出世話はタイ人ならどんな人でも一通り話ができるほど知られている。
1920年代に中国から移民してきてバンコクの中華街で野菜の種や苗を売っていた。
そこからスタートし、今や世界でも有数の食品コングロマリットになった。
傘下内にはセブンイレブンを持ち、リテールチャンネルも自前だ。
ちなみにタイのセブンイレブンの店舗数は2014年9月現在でほぼ8000と日本とアメリカに次ぎ世界第3位を誇る。
中国離れの傾向がある中、敢えてCPグループが中国へ向かうには様々な理由がある。
★.まだまだ人口の多さを見込んで大いなる市場として捉えていること、
★.「移民先で一旗揚げていつかは祖国へ凱旋したい」という気持ちを根底に持ち続けていたこと、
★.華僑ゆえに中国人の文化を理解していること
などだ。
中国は「生産拠点および消費市場」として十分戦えると強い意欲を見せている。
コングロマリットだけあり社内組織はとても緻密に細分化されている。
同業種を敢えて複数社に分化しそれぞれが競合相手となる。
担当レベルでも同じで、例えば工場の生産エンジニアなら、プロジェクトにおいてどの業者からどのような機材を導入し、どれだけロスなく生産したのか。
さらに、採用した業者の事後メンテナンスへの対応や、次期プロジェクトへの熱意までも詳細に報告される。
それらが数値化され、収益と合わせて評価される。
グループ内は、常に競争が熾烈であり社内でも気が抜けないが、収益を上げるビジネスを確立すればそれに見合うだけの十分な報酬が与えられる。
こうしたタイでの背景をもって中国市場へ挑む準備は万端だ。
CPグループは中国ではすでに食肉加工工場を運営しているが、今後はタイで培ってきたコンビニエンスストア運営ノウハウを投入し、そこで販売するチルド弁当と冷凍弁当の大型製造工場を青島に建設している。
この工場をパイロット工場として今後中国で10拠点以上の生産拠点設営が予定されている。
様々な面で独自の視点とポテンシャルを持つタイのCPグループ。
日本の企業が中国離れを検討する中、CPグループがどのように展開していくのか注目したい。
』
JB Press 2015.02.18(水) 瀬口 清之
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42932
「赤船」に乗り込む決断を下した伊藤忠商事
"異次元"の大型資本提携に踏み切った経営判断を評価すべき理由
伊藤忠商事は1月20日、タイのCPグループとともに中国のCITIC(中国中信)に出資し、資本提携をすることを発表した。
CITICは中国を代表する巨大国有コングロマリットであり、伊藤忠商事とCPグループが折半出資する企業がその株式の20%を取得する。
■伊藤忠商事・CITIC・CPグループ資本提携の概要
伊藤忠商事の投資額は約6000億円。
CITICは香港で上場しているため、この投資額は統計上、中国向けではなく香港向けとして計上されると見られているが、実質的には対中直接投資である。
昨年の日本企業の対中投資件数は653件、
投資総額は43.3億ドル(中国側統計)、
1ドル=120円で換算すれば約5200億円である。
今回の伊藤忠商事の投資額は1件でこれを上回る。
これを見ればいかに巨額の投資額であるかは明らかだ。
今回の大型資本提携は外資を含む混合所有制の導入による国有企業の改革推進のモデルケースとしても注目されている。
混合所有制を積極的に発展させることは、習近平政権が目指す改革の重要課題として三中全会決定(2013年11月)の中で明記されている。
今回の資本提携が習近平政権の基本方針に沿っていることから見て、習近平政権による強い支持が働いていると考えられる。
この提携発表の翌週と翌々週、筆者はちょうど北京と上海に出張していたため、日中双方のビジネスマン、研究者等との面談を通じて、今回の資本提携に関する様々な角度からの評価と課題を理解する機会を得た。
以下ではその内容を紹介する。
■中国経済に精通した人々は今回の資本提携を高く評価
この資本提携が発表された1月20日とその翌日、伊藤忠商事の株価は2日連続で下落した。
その理由は資本提携からの投資回収に時間がかかることが主因とされていた。
その後も株価の大幅な変動は見られていない。
加えて、ある格付け会社は資金運用効率の低下を予想して同社格付けの格下げ検討を発表した。
こうした短期的な反応を見る限り、今回の資本提携は一般的には高い評価を得られていないことがわかる。
しかし、筆者が中国出張中に面談した現地駐在の日本人ビジネスマンおよび中国人経営者らの見方は一般的評価とは大きく異なるものだった。
筆者の面談相手の共通点は現場第一線での中国ビジネスの経験が長く、多様なルートからの情報収集を通じて中国経済および日本企業の中国ビジネスについて非常に鋭く深い洞察力・判断力を持っていることである。
彼らの見方を整理すればこうなる。
今回の資本提携は、日中両国の代表的企業同士がこれまでとは異次元のアライアンス構築に踏み切ることによって日中経済関係の新時代を切り拓く動きであり、日中経済交流の長い歴史においても画期的な出来事である。
CITICは中国国有企業の中でも最高ランクに位置する中核企業であり、
経営基盤も安定しており、中国経済が安泰である限り、経営が不安定化するリスクは殆どない。
それだけに資本提携したいと思ってもそのチャンスは極めて限られている。
習近平政権の下で中国政府は国有企業改革断行のため混合所有制の導入を推進しており、今回はそこに外資が入る初めてのケースである。
その提携先に日本企業が選ばれたということは、中国政府が本音ベースで日本企業を高く評価していることが示されたことを意味する。
今回の提携にはタイのCPグループが含まれていることも注目すべきである。
これは中国とアセアンにまたがる華僑最強のネットワークの誕生であり、非資源分野での広域提携を面で捉えたプロジェクトとなっている。
これほどダイナミックな構想は日本の経営者の中でもめったに出てくるものではない。
それに加えて自社の利益の2年分に匹敵する規模の投資を短時間で決定する決断力をもつ経営者は日本には極めて少ない。
この提携に踏み切った伊藤忠商事の岡藤(正広)社長の構想力と決断力は日本の経営者の中で群を抜いている。
もちろん、今回の提携は、伊藤忠商事のこれまでの中国ビジネス展開が質と量の両面において日本の大手商社の中でも突出しており、CITICのような中核国有企業と提携するメリットがとくに大きいという同社の特徴があってこそできた決断である。
それでもこれほど巨額の投資を迅速に決定できる経営者は極めて少ない。
これほど意義のある決定を下したにもかかわらず、株式市場や格付け会社が見せた反応は残念である。
もっとも中国経済悲観論や反中バイアスに染まっている日本や欧米の市場関係者ではこれほどダイナミックな構想の意義をきちんと理解できないのも無理はない。
市場関係者に今回の資本提携の意義を理解させるには、今後同社が目に見える結果を示すことが必要である。
以上が北京と上海で面談した信頼できる中国経済通のコメントである。
今回の提携の具体的なメリットの中味
この間、国有企業の改革に詳しい中国人研究者は、今回の提携におけるCITICの狙いについて次のように分析している。
第1に、伊藤忠商事を介した、主に非金融分野での日本企業との協力関係の強化。
第2に、欧米市場への展開に際して伊藤忠商事のネットワークを活用すること。
第3に、混合所有制の導入による企業改革の推進。
第4に、豪州の鉄鉱石鉱山開発プロジェクトの失敗を繰り返さないようにするためのアドバイザーとしての役割を伊藤忠商事に期待している。
これに対して、伊藤忠商事側のメリットについて筆者は以下のように見ている。
第1に、アパレル、小売り、流通、農業等中国国内市場の幅広い分野で展開する同社事業におけるCITICの人脈・ネットワークの活用。
第2に、CITICとCPグループが強みを持つアセアン、アフリカ市場での事業展開における両社との協力関係の活用。
第3に、将来アジアインフラ投資銀行がアジア諸国でインフラ建設に融資する場合、CITICルートを通じて、中国企業との提携を有利に展開できる可能性。
以上のように、伊藤忠商事、CITIC、CPグループとも業務範囲の広い巨大コングロマリット企業であることから、広範な地域と様々な分野での協力が考えられ、提携のメリットを生かせる分野は広く、事業規模拡大の余地も大きい。
■「赤船」に乗り込む伊藤忠商事の決断が示唆するもの
筆者は前回の拙稿、『「赤船」中国が迫る第2の開国』の中で、世界秩序が多極化に向けて地殻変動を起こしつつあること、その状況下、日本を覚醒させ、世界ビジョンと国家目標の明示が急務であることを認識させる存在が「赤船」中国であることを述べた。
それを書き終えた数日後にこの資本提携が発表され、早速その「赤船」に乗り込む日本企業が現れたことに驚かされた。
多くの日本企業が取り組もうとしている経営のグローバル化の核心はアジア地域を中心とする現地化の推進である。
今回の提携の意義は中国およびアセアンにおけるビジネスの現地化を支える土台の形成である。
これは日本が国家として持つべき世界ビジョンと国家目標の方向性を示唆しているように見える。
企業経営において、激変の最中にあるグローバル市場で巨大プロジェクトのメリット・デメリットを判断しリスクを取って決断することができるのは社長しかいない。
しかし、日本企業ではそうした決断を迅速に下せる社長は少なく、決断が遅れて貴重なビジネスチャンスを逃す事例は枚挙に暇がない。
もちろん今回の資本提携が大きな事業展開と収益を生み出すかどうかは今後の努力にかかっている。
とは言え、これにより伊藤忠商事が有利なチャンスを得たことは明らかである。
その観点から見て、本件は社長の決断力の重要性を示している。
企業経営においても国家の政策運営においても、下からの積み上げによる意思決定に頼ることが多い日本の組織では、トップリーダーが明確な将来ビジョンと目標を示し、迅速な意思決定を下すことが少ない。
このため重要な意思決定に時間がかかり、企業はビジネスチャンスを逃し、政府は制度改革など重要政策の実現が遅れることが多い。
日本を取り巻く環境が激変する状況下、企業においても政府においても、今回の伊藤忠商事の岡藤社長が示したような迅速かつ大胆な決断を下すリーダーシップが求められている。
』
JB Press 2015年03月05日(Thu) 水野聡子 (Infinitie Wings BP 代表)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4756
タイCPグループ:中国への展開と自信
★.2014年7月に1020億円を投じて日本の伊藤忠株を4.7%取得して、筆頭株主となり大きく話題となったタイの食品コングロマリット、チャロン・ポカパン(CP)グループ。
この提携についてはCPグループの中国進出意欲が非常に大きく影響している。
「円安による日本国内回帰」という名目のもと、脱中国がトレンドの日本とは正反対の動きだ。
この逆トレンドを少しご紹介したい。
CPグループ創業者の立身出世話はタイ人ならどんな人でも一通り話ができるほど知られている。
1920年代に中国から移民してきてバンコクの中華街で野菜の種や苗を売っていた。
そこからスタートし、今や世界でも有数の食品コングロマリットになった。
傘下内にはセブンイレブンを持ち、リテールチャンネルも自前だ。
ちなみにタイのセブンイレブンの店舗数は2014年9月現在でほぼ8000と日本とアメリカに次ぎ世界第3位を誇る。
中国離れの傾向がある中、敢えてCPグループが中国へ向かうには様々な理由がある。
★.まだまだ人口の多さを見込んで大いなる市場として捉えていること、
★.「移民先で一旗揚げていつかは祖国へ凱旋したい」という気持ちを根底に持ち続けていたこと、
★.華僑ゆえに中国人の文化を理解していること
などだ。
中国は「生産拠点および消費市場」として十分戦えると強い意欲を見せている。
コングロマリットだけあり社内組織はとても緻密に細分化されている。
同業種を敢えて複数社に分化しそれぞれが競合相手となる。
担当レベルでも同じで、例えば工場の生産エンジニアなら、プロジェクトにおいてどの業者からどのような機材を導入し、どれだけロスなく生産したのか。
さらに、採用した業者の事後メンテナンスへの対応や、次期プロジェクトへの熱意までも詳細に報告される。
それらが数値化され、収益と合わせて評価される。
グループ内は、常に競争が熾烈であり社内でも気が抜けないが、収益を上げるビジネスを確立すればそれに見合うだけの十分な報酬が与えられる。
こうしたタイでの背景をもって中国市場へ挑む準備は万端だ。
CPグループは中国ではすでに食肉加工工場を運営しているが、今後はタイで培ってきたコンビニエンスストア運営ノウハウを投入し、そこで販売するチルド弁当と冷凍弁当の大型製造工場を青島に建設している。
この工場をパイロット工場として今後中国で10拠点以上の生産拠点設営が予定されている。
様々な面で独自の視点とポテンシャルを持つタイのCPグループ。
日本の企業が中国離れを検討する中、CPグループがどのように展開していくのか注目したい。
』
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