2015年1月15日木曜日

ドロ沼の韓国(2):「韓国経済とは財閥経済なり」、袋小路にハマッた韓国経済の行方、朴正煕が「作った」財閥

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 WEDGE Infinity 日本をもっと、考える  2015年01月15日(Thu) 澤田克己 (毎日新聞ソウル支局長)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4630

韓国の財閥3世に向けられる
世間の冷たい視線

 大韓航空の趙顕娥(チョ・ヒョナ)前副社長(40)がナッツの出し方に激怒して離陸直前の自社機を引き返させた「ナッツ・リターン」事件で、韓国の財閥に対する関心が改めて高まっている。

 日本でも数年前までは「オーナー主導だから意思決定が速い」などと良い面が評価されていたが、今回の事件では財閥オーナーの専横ぶりへの批判が多い。
 そうした変化の背景に日本での嫌韓感情の高まりがあるのは否定できないが、一方で、これを機に韓国の財閥というのは何かを考えてみるのも悪いことではないだろう。

■財閥依存の韓国経済

 韓国経済は、財閥に依存しているといわれる。
 韓国経済における財閥の存在感というのは、実際にはどの程度なのだろうか

 気をつけねばならないのは、「10大財閥の売上高合計が国内総生産(GDP)の7割以上」などという比較は不適切ということだ。
 GDPは、企業の売上高を積み上げたものではなく、国内で生み出された付加価値の合計だ。
 違うものさしを並べても、比較にはならない。

 ただ、財閥の存在感が非常に大きいのは事実である。
 財閥情報専門のネットメディア「財閥(チェボル)ドットコム」の調査結果を見ると、それは一目瞭然だ。
 財閥ドットコムは、サムスンや現代自動車を含む10大財閥の売上高と当期純利益が、国税庁に法人税申告をした企業約52万社の中で占める比率を集計した。
 ちなみに、大韓航空を擁する韓進グループは、調査時点の資産規模で財閥序列9位に入っている。

 財閥ドットコムによると、
★.10大財閥の2013年の売上高合計が全体に占める比率は24.8%、当期純利益だと41.9%
に達した。
 中でも、サムスンの主力企業であるサムスン電子の存在感は圧倒的だ。
★.サムスン電子の2013年の当期純利益は、1社だけで全体の15.5%
を占めた。
 韓国経済の中では財閥が圧倒的な存在感を持ち、その中でもサムスンが他を圧倒しているという構図だ。

■3世への世襲が進行

 サムスンでは昨年5月、李健煕(イ・ゴニ)サムスン電子会長(73)が心筋梗塞で倒れて以降、李会長の長男である李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長(46)が事実上の経営トップとなる体制への移行が進んでいる。
 李健煕会長の父が1938年に韓国南東部・大邱でサムスン(三星)商会を設立しているから、李在鎔氏は3世経営者ということになる。

 他の財閥でも2010年ごろから、創業者の孫世代がグループ会社の社長や副会長といった要職に就き始めた。
 韓国の財閥は、日本の敗戦によって植民地支配から解放された1945年前後の創業が多い
 。創業から70年ほど経って、3代目経営者の時代になってきているということだ。
 ナッツ・リターン事件の主人公である大韓航空の前副社長も、創業者の孫である。

 解放前後の混乱や朝鮮戦争(1950~53年)という動乱期、戦後復興の中で、必需品である砂糖や小麦粉、セメントなどを扱う企業が成長した。
 その典型がサムスン商会であり、そうした企業が後に財閥の母体となっていった。

■朴正煕が「作った」財閥

 朴槿恵(パク・クネ)大統領は2012年12月の大統領選で勝利した1週間後、日本の経団連に相当する「全国経済人連合会(全経連)」を訪問した。
 朴氏はこの時、韓国の大企業が成長できた裏には
 「多くの国民の支援と犠牲があり、国からの支援も多かった。
 だから、韓国の大企業は国民企業の性格が強い」
と強調した。
 朴氏の言葉の背景には、韓国特有の事情がある。
 韓国の財閥は、朴氏の父である故朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が作り、育てたようなものだからだ。

 1961年に軍事クーデターで政権を握った朴正煕氏は、1979年に殺害されるまで、民主化運動を弾圧する独裁政治を行う一方で、世界最貧国レベルだった韓国に高度経済成長をもたらした。
 韓国国防大の許南●(ホ・ナムソン、●は「さんずいに省」)名誉教授は、
 「朴正煕大統領は権力掌握後、安保と経済を最優先課題とした。
 一言で言えば『富国強兵』だ」
と話す。

 しかし、当時の韓国は貧しかったから、内需主導の成長など望むべくもない。
 必然的に輸出志向の成長戦略を取るしかないのだが、輸出産業を興すための資金も、技術もなかった。
 その状況を覆すべく朴正煕大統領が決断したのが、日本との国交正常化だ。
 植民地支配に対する謝罪や賠償を勝ち取れないまま対日国交正常化に踏み切るという決断は、「屈辱外交」という強い反発を韓国内で生んだが、朴正煕大統領は戒厳令を敷いてまで押しきった。
 そして、日本から5億ドルの経済協力資金と技術の供与を受けることで経済成長の基盤を作った。

 ただ、資金面の手当てがついたといっても、余裕があるわけではない。
 だから、限られた資源を効率的に活用するため、特別な低利融資などといった形で「選ばれた企業」を後押しした。
 こうした形態が政経癒着に結びつくのは当然だが、それでも「漢江の奇跡」と呼ばれる驚異的な高度成長につながっていった。

■ベトナム戦争とオイルショックで急成長

 韓国財閥の歴史で忘れてならないのが、ベトナム戦争特需だ。
 韓国は1964年、米国からの要請を受けてベトナムへの派兵を始めた。
 米国は見返りとして、派兵経費すべてを負担し、多額の軍事援助を行うだけでなく、後方地域での輸送や建設業務に韓国企業が進出することを支援した。
 派兵された韓国軍は計32万人だが、後方業務に従事した民間人は計50万人といわれる。

 許名誉教授は
 「ベトナム戦争で韓国が得た経済的利益は、総計50億ドル程度になり、日本からの経済協力資金よりずっと多かった。
 韓進や現代は、ベトナムでの事業で資本と技術を蓄積して急成長した」
と話す。
 韓国軍は1973年、パリで和平協定が締結されたことを受けてベトナムから撤収する。

 そして、同年10月に第4次中東戦争が勃発し、第1次オイルショックが起きる。
 オイルショックは、重化学工業への転換を急いでいた韓国経済にとっては打撃だったが、同時に、ベトナム戦争終結で東南アジア市場を失った韓国の建設企業にとっては中東進出の好機となった。
 韓国企業による中東での建設受注は、73年に2410万ドルで、ピークとなった81年には126億7060万ドルに達した。
 多くの財閥がこの時、先を争うように建設業に参入して大きな利益を上げた。

■通貨危機で政権の庇護失う

 財閥ドットコムの鄭先燮(チョン・ソンソプ)代表は、
 「権力との関係を維持できている限り、財閥が破産することはなかった」
と指摘する。
 韓国の財閥は、政権との密接な関係を背景に成長してきたからだ。
 逆に、権力ににらまれた財閥は、姿を消していった。

 それが変わったのが、1997年の通貨危機だ。
 韓国は大胆な構造改革を余儀なくされ、新自由主義的な経済政策への大転換が行われた。
 結果として、
 超競争社会が現出し、その中で勝ち残ったサムスン電子やLG電子、現代自動車は世界的企業へと成長した。

 だが、それでも創業者一族が「オーナー」として君臨する企業構造は、そのまま残っている。
 創業者一族の所有株式は今や、それほど多くないので「オーナー」という言葉は正確ではないのだが、それでも大株主であることは変わらない。
 系列企業間の株式持ち合い構造もあって、「オーナー」は今でも絶対的な影響力を維持しているのである。

■3世への冷たい視線

 ただ、「オーナー」の絶対的立場が、今後も盤石かどうかは疑問視する声がある。
 鄭代表は、ナッツ・リターン事件で前副社長が逮捕・起訴されたことも「かつてなら考えられなかったことだ」と話す。
 昔なら罰金程度で終わっていたはずだが、財閥3世に対する世論の視線が冷たくなっていることが厳しい処分につながったというのだ。
 鄭代表は、
 「通貨危機以前と以後で、世襲を取り巻く社会環境が大きく変わった」
ことを理由に挙げる。
 通貨危機後の構造改革では、金融実名制が強化された。
 世襲のために必要な親子間での資産移動は、仮名口座や借名口座を使う不透明な資産贈与が当然のように行われていた時代には見えづらかったけれど、透明性が高まった現在は隠せない。

 鄭代表は
 「ただ『世襲だ』と言うより、『世襲のために何兆ウォンも資産移動をした』と具体的に言われた方が人々の反発は強くなる」
と指摘する。
 また、2世への世襲が行われた80年代後半から90年代初めと現在の社会状況の違いもありそうだ。

 80年代後半から90年代初めというのは、まだ高度成長の余韻が残っていて、「豊かになる」ことを国民が実感できた時代だった。
 それに比べると、通貨危機以降の韓国では、それまでになかった勢いで格差拡大が進み、持てる者と持たざる者の葛藤が深まっている。
 そうした状況下で、財閥3世の世襲に向ける視線が厳しくなるのは当然だろう。

■世間知らずの3世が直面する試練

 韓国紙・ハンギョレ新聞によると、財閥3世が入社してから役員に登用されるまでにかかる期間は平均3.1年。
 系列会社間の取引で巨額の利益を3世所有の会社に上げさせる脱法的な手法で、資産移動が行われているケースもあるという。
 さらに、苦労した創業者の背中を見ながら育った2世に比べ、生まれた時から温室で育てられてきた3世には「世間を知らない」という批判も強い。
 ナッツ・リターン事件はまさに「財閥3世の世間知らず」を世に知らしめたといえる。

 鄭代表は
 「李健煕会長は、半導体やスマートフォンでサムスン電子を世界的な企業に育てた。
 他の2世に対しても、功績を認める人が多い。
 でも、何も実績のない3世は違う。経営に失敗したり、社会的な問題を起こせば、ナッツ・リターン事件のように厳しい批判にさらされるだろう。
 3世は難しい立場にあるのだが、子供の頃から王子様、お姫さまのように育てられてきた人間に、危機を乗り切るための創造性を発揮しろと言っても簡単ではない。
 私は、財閥の行く末は暗いと思っている」
と話した。


<著者新刊本のご紹介>
『韓国「反日」の真相』(文春新書・1月20日発売)



 文春新書から20日に『韓国「反日」の真相』という新著を出します。
 書名に「反日」と入っていますが、実際にはもう少し広い「韓国の社会意識」について読み解こうとしたものです。

 近年、韓国の対日外交などに対して違和感や不快感を抱く日本人が増えています。
 ヘイトスピーチのような差別主義的な言動は論外だと考える人でも、こうした不快感を感じる人は多いのではないでしょうか。
 正直に言えば、学生時代から四半世紀に渡って韓国社会と接してきた私ですら、そうした感覚から自由ではありません。

 私は昨年3月の毎日新聞のコラム「記者の目」に、「韓国で取材していて、『うんざりだ』と思うことが多くなった」と書きました。
 旧友から「悲鳴のようなコラムだった」と評されましたが、その時の偽らざる心境をつづったものです。

 日本人が抱く不快感の背景にあるのは、
 韓国社会の意識構造を「理解できない」と感じることがある
のではないかと思います。
 でも、だからといって単純に「反日司法」とか「反日団体」というレッテル張りで済ませることは、楽ではあるが、非生産的です。
 少なくとも、冷静な観察者であるべきメディアがそうしたレッテル張りに走ることは、怠慢でしかないでしょう。

 そう考えた私は昨年2月、毎日新聞で「『正しさ』とは何かーー韓国社会の法意識」という記事を連載しました。
 韓国社会のキーワードである「正しさ」や「道徳性」という言葉を手がかりに、日本とは違う韓国社会の意識を探ろうとしたのです。
 文春新書から刊行する新刊は、この連載を加筆したものが大きな柱の一つになっています。

 出版社が作った「アマゾン」の内容紹介では「全く新しい韓国論の登場」とされていますが、私にとっては、2006年に出版した『「脱日」する韓国』(ユビキタ・スタジオ)という本や、ふだん書いている記事の延長線上にあるものです。
 韓国に対して厳しい内容も多くなっていますが、いわゆる嫌韓本ではありません。
 かといって、親韓本とは絶対に言えないでしょう。

 日韓関係に限らず、取材をしていると常に「現実というのは単純じゃないんだな」という思いにとらわれます。
 日本人にとって理解できない「韓国の社会意識」にしても同じことで、単純なわけがありません。
 しかも、ある部分については「理解できない」と考えている日本人の方が、国際的には少数派だということもありえます。
 韓国を巡る「単純ではない現実」に関心を持っていただける方には、ご一読いただければ幸いです。



JB Press 2015.01.15(木)  玉置 直司
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42662

いつまで続く韓国財閥の世襲経営突破力への期待がある一方で、
相次ぐ不祥事で不信感も

 「強力なリーダシップを持ったオーナーの突破力こそ、今の韓国に最も必要だ」
 「経営の世襲が韓国の産業界の最大の問題だ」――。
 まったく相反する2つの意見が韓国社会で大きな争点になってきた。

 財閥の世代交代が迫る中、2015年の韓国でもこの問題が引き続き大きな関心事になることは間違いない。

■塀の中の財閥オーナー、「韓国経済のために仮釈放を」

 「企業人に対する仮釈放についてどんな見解をお持ちか。
 また企業人や政治家に対する特別赦免を厳格に制限するというこれまでの立場に変化はあるのか」
 2015年1月12日、大統領府(青瓦台)で開かれた朴槿恵(パク・クネ)大統領の年頭記者会見。
 韓国の一部財閥関係者が最も聞きたかった質問が出た。

 というのも、韓国では、経済犯罪に対する「厳罰主義」の傾向が強まり、ここ数年、財閥総帥が相次いで、実刑有罪判決を受けているからだ。
 特に、韓国3位の財閥であるSKグループは、崔泰源(チェ・テウォン=1960年生)会長と実弟の副会長(1963年生)がそろって横領などで実刑判決を受け服役中だ。
 2人とも2年近く、拘置所、刑務所で過ごしている。

 「経済活性化のために企業人に対する仮釈放を検討すべきだ」

 2014年末、政権で経済政策の責任者を務める崔炅煥(チェ・ギョンファン=1955年生)経済副首相兼企画財政相は、かねての持論を繰り返し主張した。
 これに、与党の代表も同調。
 さらに有力経済紙も、連日、「仮釈放」の必要性を求める記事を大々的に掲載した。

 仮釈放や特別赦免の支持者の主張は明快だ。

 「韓国の財閥はオーナー会長が全権を握っている。
 オーナー不在では大型投資の決断などに支障が出て、経済全体にも悪影響だ」

 「毎日経済新聞」は2015年1月2日付の紙面で「リーダー空白のSK、中国での1兆ウォン投資機会逃す」などと報じた。
 投資額1兆2000億ウォン(1円=9ウォン)規模の中国での石油化学合弁計画のほか、通信分野での買収案件が漂流しており、インドネシアでのエネルギープロジェクトでは、意思決定が遅れて脱落する結果になったという。
 「オーナーがいれば・・・」ということだ。
 だから、「何としても仮釈放か特別赦免を・・・」と主張するのだ。

 これはSKグループだけの問題ではない。
 大手財閥、CJグループの李在鉉(イ・ジェヒョン=1960年生)会長は背任、横領で1審、2審とも有罪判決が出て、現在、大法院(最高裁に相当)で審理中だ。
 同時に、会長が体調悪化で入院し、「拘束執行停止中」でもある。
 ほかにも、全国経済人連合会の会長も務めた暁星(ヒョソン)グループの趙錫来(チョ・ソンネ=1935年生)会長が脱税、背任容疑で起訴されている。

 刑務所で過ごしている中堅財閥のオーナーはまだ何人もいるのだ。

 以前なら、財閥トップの犯罪と言えば、「懲役3年、執行猶予5年」がお決まりの判決だった。
 しばらくすれば、「経済に寄与している」などとして「特別赦免」で罪そのものが消えてしまった。
 ところが、「原理原則」を重視する朴槿恵大統領は、
 「経済犯罪に対して容赦しない」
 「企業人に対する特別赦免はしない」
との方針を繰り返してきた。

■朴槿恵大統領が立場を変えない理由

 1月12日の会見でも、
 「これまでの立場に変わりはない。
 ただ、企業人の仮釈放問題については、企業人だからといって特別扱いを受けることはよくないが、逆差別を受けることもよくない。
 仮釈放問題は、国民の法に対する感情と公平性などを総合的に勘案して法務部が判断することだ」
と述べた。

 「大統領のひと言」に期待していた財閥などから見れば、実にそっけない発言だった。
 大統領がこうした発言をするのは、ある意味では当然だろう。
 1つには、世論が、「企業人の犯罪」に対して寛容ではないことがある。
 世論調査を見ても、企業人に対する「仮釈放」や「特別赦免」について、前向きな答えは多くない。

■「ナッツ事件」の大韓航空前副社長を起訴、韓国検察

 その背景に、「大韓航空事件」だけではなく、財閥のオーナー経営を巡る不祥事がここ数年、何度も起きている事がある。
 SKグループの会長兄弟やCJグループ会長が有罪を受けたのは、会社のカネを巡るオーナーの犯罪行為だった。
 大韓航空の「ナッツリターン事件」は、あらゆる面で経験が不足しているにもかかわらず、オーナー会長が長女を要職に起用したことが問題を呼び起こした。
 その他にも、インサイダー取引、飲酒運転、麻薬所持・・・。
 オーナー家の3代目、4代目の犯罪は頻繁に新聞紙上をにぎわせる。
 ある中堅財閥では、オーナー会長と子供たちが経営権などを巡って激しく争っている。財産と経営権を巡る争いは、あちこちで見られる。

 景気低迷と「経済の両極化」の進行で、たたでさえ、「財閥」に対する視線は厳しい。

 にもかかわらず、一部かもしれないが、財閥のオーナー家の不祥事が後を絶たない。
 「能力も道徳性も欠けているにもかかわらず、オーナー家だというだけで、大企業を継承することは許されない」
という世論の批判は強い。

■オーナー経営は本当に経済活性化に役立つのか?

 さらに、もっと重要な問題がある。
 「果たして、オーナー経営が、本当に経済活性化に役に立つのか、
 というより本質的な疑問も出ている」(韓国紙デスク)
のだ。
 年明けの大手紙に「鄭夢九と李健熙の挑戦意識」というコラムが掲載された。
 一読して思わず、のけぞってしまった。

 現代自動車グループの鄭夢九(チョン・モング=1938年生)会長とサムスングループの李健熙(イ・ゴンヒ=1942年生)会長が大胆な決断と現場重視の経営で企業を発展させたという内容までは、十分理解ができる。
 ところが、その次に、ある財閥総帥の話が出てくる。
 2008年に新成長分野として造船会社を6兆ウォンで買収すること決めた。
 ところが直後にリーマン・ショックが起き、3150億ウォンもの違約金を払って買収を放棄した。
 「買収を強行していたら比較にならないほどの損失を出してグループ経営を揺るがせただろう。
 こんな決断を任期3年の専門経営者ならできただろうか」
と続くのだ。

 この財閥が、6兆ウォンも出して造船会社を買収する際には、さまざまな反対、懸念意見があった。にもかかわらず、「オーナーの決断」でこれを押し切った。その結果、巨額の違約金を支払って買収契約を破棄する事態に追い込まれた。
 これを「オーナーの決断」と賞賛することができるのか。

 オーナーが無理な投資、買収をして、グループの経営を揺るがせた例はここ数年でも多い。
 「右肩上がりの時代」であれば、ドカンとした決断は、財閥の成長の原動力だった。
 だが、今は経営環境もまったく異なっている。
 「少なくとも、犯罪を甘く見てまでオーナーの決断を求める雰囲気ではない」
ことも確かなのだ。

■オーナーの世代交代が本格化

 2015年は、韓国財閥にとっていろいろなことが起きるだろう。
 投資負担や事業環境の悪化で、経営が苦しくなる中堅財閥はさらに出てくるはずだ。
 一方で、多くの財閥で、「オーナーの世代交代」が本格化する。
 サムスングループは病気で倒れたままの李健熙会長からの経営継承に拍車がかかる。
 現代自動車も、鄭夢九会長から長男への継承が本格化する。
 大韓航空を傘下に持つ韓進グループも会長が66歳になる。
 最近、日本法人で創業者の長男が役員から解任されたロッテグループ。
 創業者は、1922年生まれ。
 93歳になり、後継問題は待ったなしだ。

 安定的な経営を続け、なおかつ、無難に経営権継承作業を進める。
 こんなことができるのは、ホンの一握りの財閥だろう。
 最近起きている韓国の財閥を巡るさまざまな動きは、
 「財閥大激震」の始まりに過ぎない
のだ。



レコードチャイナ 配信日時:2015年1月15日 15時54分
http://www.recordchina.co.jp/a100572.html

負債増の韓国大企業=サムスン・ヒュンダイなど主要30社、
2013年の総負債額は68兆円に―中国メディア

 2015年1月13日、新華社通信は、「韓国の大企業、負債額が増加」と題した記事を掲載した。
 以下はその概要。

 韓国大企業の動向に注目している「財閥網」が12日に発表したデータによると、
 2013年末時点の韓国主要大企業30社の負債総額は624兆3000億ウォン(約68兆円)
で、2年前より4.3%増加した。

 このうち、韓国でTOP10が449兆6000億ウォン(約49兆円)を占め、
 サムスンは2011年~2013年の間に8兆6000億ウォン(約9400億円)の負債が増え、87兆5000億ウォン(約9兆5000億円)となった。
 自動車メーカーのヒュンダイやSKグループも負債が増加している。


 つまり
サムスンの負債は日本の国家予算(96兆円)のなんと丁度「1/10」にあたる
ことになる。
 こんな数字、信じられるだろうか。
 サムスンとは韓国にあって
 『サムスンは国家なり』
だったのである。
 ちなみに韓国の国家予算は「35兆円」ほど。
 ということは、サムスンは国家予算の「1/4」にあたる負債を抱えていることになる。


サーチナニュース 【経済ニュース】 2015/02/17(火) 06:02
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2015&d=0217&f=business_0217_004.shtml

韓国経済に「崩壊」の兆しか
・・・財閥偏重の「歪んだ経済構造」=中国メディア
 
 中国メディアの戦略網は11日、韓国の経済構造は
 サムスンと現代(ヒュンダイ)という巨大財閥の浮き沈みに左右される「歪んだ構造」
と指摘する記事を掲載した。

 記事は、韓国が数十年にわたって経済の「集約化」を進めてきたとし、その結果として
 サムスンと現代を中心とする10大財閥が韓国の国内総生産(GDP)の約70%を占める構造
になったと紹介。
 さらに、サムスンだけでGDPの約20%を占めると指摘し、
 韓国経済はサムスンと現代の業績次第
と言っても過言ではないと論じた。

 続けて、近年のサムスンにとって稼ぎ頭だった携帯電話事業について、中国のスマートフォン市場でシェアを落としたことで業績も9年ぶりに減収となり、営業利益は32.9%も減少したと指摘。
 さらに、サムスンのスマホ事業は今後も中国だけでなく、世界市場で中国メーカーによる追い上げを受けることになるだろうと主張した。

 また記事は、現代についても「韓国経済の命運を握る財閥の1つ」とし、うち現代自動車について「4000億元(約7兆7326億円)にのぼる投資計画を行う方針を打ち出し、トヨタと雌雄を決する方針」と紹介した。
 さらに現代自動車グループの鄭夢九会長がこのほど2018年の販売目標を900万台とし、新型エコカーや自動走行車の開発に力を入れると述べたことを紹介。

 さらに、現代自動車の中国市場における販売の伸びが低下しつつあることを指摘し、2桁の伸びはもはや実現できないと主張したうえで、
 「現代自動車は巨額の投資を韓国国内で行うというが、果たしてどこの市場を開拓したいと思っているのだろうか」
と疑問を呈した。
 また、現代自動車の米国でのシェアが減少傾向であること、韓国国内での自動車販売も頭打ちで、今後、EUとの自由貿易協定が発効となれば韓国の自動車市場に欧州車が雪崩れ込んでくる可能性があることなどを挙げ、現代自動車の巨額の投資計画に懸念を示した。

 続けて記事は、サムスンや現代の業績が決して好調ではないことを背景に、14年の韓国経済の成長率も3.3%増にとどまり、第4四半期の伸びはわずか0.4%だったと指摘。
 破綻リスクを示すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)も1月19日の米ニューヨーク市場で67.96ベーシスポイント(bp)にまで急上昇し、1カ月前の水準より20bpも上昇したと指摘、
 「上昇するCDSは韓国経済のリスクが高まり続けていることを示すものだ」
と論じた。


レコードチャイナ 配信日時:2015年3月1日(日) 0時57分
http://www.recordchina.co.jp/a103331.html

韓国の財閥は中国共産党に学ぶべき―韓国メディア

 2015年2月27日、環球時報は、韓国紙・朝鮮日報ウェブサイトのコラム「韓国の財閥は中国共産党に学ぶべき」を紹介した。

 韓国の財閥と中国共産党は多くの面で類似している。
 特に、
 明確な権利、
 長期的戦略の樹立、
 迅速な方針の決定・執行
の面ではとても似ていると言える。
 しかし近年、韓国財閥の一部の3、4世代には社内外で摩擦を起こしている。
 なぜなら、彼らは中国共産党と異なってきているからだ。

 習近平(シー・ジンピン)国家主席は大学卒業後から国家副主席に就任するまで、地方の現場で29年間業務を遂行し、各レベルの地方行政地区のリーダーに一通り就いた。
 習主席だけでなく、中国のリーダー全員が現場で能力を培い、共産党の決定が現場で実行される過程を熟知している。

 しかし、韓国財閥の3、4世代は現場の理解が乏しい。
 大企業30社の3、4世代の44人に調査を行ったところ、彼らは入社後、平均して3年半後に上層部に昇格している。
 あまりにも早い段階で部下を指揮する立場になり、指示が現場でどのようなメカニズムの下、実行されているか理解することができない。
 また、現場の職員とのコミュニケーション能力や部下が置かれている立場を感じ取る能力も欠けている。

 韓国は製造大国に成長した。
 多くの失敗があったが、財閥企業は強みを発揮できた。こ
 の強みを強化し、欠点を補うためには、中国共産党に学ぶべきだ。






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