2015年1月19日月曜日

中国共産党の権力抗争(2):「次に誰が甘い汁を吸うのか」、国有企業大改革への汚職調査強化、そして金融界へと広がる様相

_
 イギリスの歴史学者の説によれば
 「権力は腐敗する。
 絶対的な権力は絶対的に腐敗する」。
 共産党独裁という絶対的な権力には、絶対的な腐敗という副作用が必ず付いて回る。
 いくら、
 汚職撲滅運動をやっても共産党の組織それ自体が汚職を誘発する本体であるかぎり、なくならない。
  そんなことは中国共産党は百も承知している。
 つまり、
 「汚職撲滅運動」とは、次に共産党の誰が甘い汁を吸うか
である。
 これまで吸っていた輩を、
 「もう十分吸っただろう。今度はオレによこせ」
ということに過ぎない。
 古いものに代わって、新しい権力者が甘い汁に群がってきている、ということである。
 名目的には「汚職撲滅」という錦旗をおッ立ててはいるが、内容は自己権力の拡大に過ぎない。


ロイター 2015年 01月 19日 12:45 JST
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPKBN0KS07720150119

焦点:中国政府、国有企業の大改革控え汚職調査強化

[北京 19日 ロイター] -
 中国政府は過去20年で最も野心的な国有企業改革の準備を進めており、その前段階として大手国有企業の幹部に対する汚職調査を強化している。

 国有企業の関係者がロイターに語ったところによると、汚職調査機関は戦略的な位置付けを持つ国有企業53社を標的にしている。
 こうした企業の幹部は各省の次官級の扱いを受けている。

 習近平国家主席は、汚職問題は共産党の権威を揺るがすほど深刻だとし、「トラもハエも追いかける」と明言。
 16日には国家安全省の幹部が調査対象となり、汚職取り締まりが諜報機関にまで及んでいることが明らかになった。

 14日の新華社によると、汚職調査を担当する中央規律検査委員会(CCDI)は年内に中央政府傘下の国有企業すべてを調査する方針を発表した。CCDIは昨年11月、中国南方航空、中国連合通信、東風汽車、中国石油化工など大手国有企業8社に調査チームを派遣したことを明らかにした。

 CCDIは今月16日、中国連合通信の電子商取引・情報技術(IT)部門の元トップを訴追するとの見通しを示した。
 また今月初めには中国南方航空の最高財務責任者(CFO)など幹部4人が捜査を受けた。

 国有企業を狙った汚職調査と歩調を合わせるように、政府は経営効率の悪い国有企業の抜本的な改革に向けた新たな指針の策定を進めている。
 中央政府傘下の国有企業112社を直接監督する国務院国有資産監督管理委員会(SASAC)は3月にこうした改革計画を発表する見通しだ。

 CCDIのウェブサイトの今月の掲示によると、SASACの張毅主任は昨年の委員会内部の会合で、SASACは共産党の「目」となり汚職拡散防止の先頭に立たなければならないと述べた。

 人民日報によると習主席は13日の汚職調査当局との会合で、国有企業に対する監視、調査、監査を強化し、共産党による統制を強めなければならないと指摘。
 「国有の資産や資源は苦労して手に入れたものであり、人民の共有物だ」
と述べた。

 国営企業筋によると、戦略的な国有企業を狙った汚職取り締まりは一時的なものではなく、こうした改革に向けた取り組みの一環である可能性が高い。

 ロイターのまとめによると、
★.汚職調査当局が過去2年間に調査チームを派遣した国有企業は36社で調査を受けた企業幹部は21人

 SASACがウェブサイトで今月公表したところでは、同委員会は12月に全体的な会合を開き、企業の内部関係者の役割や国有企業改革時の国有資産の喪失回避などに関する主要文書について討議した。
 改革計画には、国有企業の経営陣や取締役会に外部の人材を指名して経営を政治から切り離す方向に向かわせることや、国有企業が民間資本を受け入れる混合所有制の導入促進などが盛り込まれる見通し。

(Matthew Miller記者)



2015.02.05(木)  Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42844

中国の反腐敗運動、金融界のエリートも標的に
(2015年2月4日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 ここ数日で銀行幹部2人が逮捕された後、中国の反腐敗運動が金融界に広がっている。

★.金融界のエリートはこれまで、政府、軍、国営エネルギー企業内の何百人もの人が摘発されてきた大規模な反腐敗運動を概ね免れてきた。
 だが、最近の銀行幹部の逮捕は、金融業界に対する幅広い取り締まりの前兆というよりは、特定の政界実力者と関係した利権人脈を標的にしているように見える。

■周永康氏らとつながる利権人脈が狙い?

 北京銀行は2日夜、取締役の陸海軍氏が「重大な規律違反の疑い」
――中国で公務員などの汚職を指す一般的な婉曲表現――
で取り調べを受けていると発表した。
 陸海軍氏に対する調査は、胡錦濤前国家主席の側近と関係した捜査で中国民生銀行の毛暁峰頭取が逮捕された一件に続くものだ。

 政府を別にすると、これまでは共産党、軍関係者、エネルギー業界の企業幹部が反腐敗運動で最も頻繁に狙われる標的だった。

 1949年の中華人民共和国の建国以来、正式に汚職に問われた最高位の高官は、元公安トップの周永康氏。
 国営石油会社の中国石油天然気集団(CNPC)で出世街道を歩み、エネルギー産業を重要な権力基盤の1つとしていた人物だ。

 北京能源投資の代表として北京銀行の取締役を務めていた陸海軍氏の調査は、周永康氏と関係している可能性もある。
 陸海軍氏は、北京銀行の大株主である北京能源投資の元会長で、それ以前にも多くのエネルギー企業の会長を務めた。
 同氏にコメントを求めようとしたが、連絡が取れなかった。

 金融システムに目が向けられるようになったのは、胡錦濤前国家主席の元側近の令計画氏と諜報機関幹部の馬建氏に対する調査とも関係しているように見える。

 資産規模で中国第9位の証券会社、方正証券は先月、会長の雷傑氏と連絡がつかなくなったことを明らかにした。
 この数カ月、方正証券の親会社でハイテク・金融業界のコングロマリット(複合企業)である方正集団と、不動産デベロッパーの北京政泉の間で激しい争いが繰り広げられてきた。

 北京政泉は、方正は令計画氏と関係があると述べる一方、尊敬されている金融誌「財新」は、北京政泉が馬建氏とつながっているとする情報源の発言を引用している。
 北京政泉は「微博(ウェイボ)」上の公式アカウントの一連の投稿で、方正集団の幹部らがインサイダー取引や相場操縦、違法な国家資産売却を含む金融犯罪を犯していると非難した。

■債券から株式市場へ移る監視の目

 方正集団は、こうした疑惑を否定している。
 雷傑氏が姿を消したのは、方正集団の会長と3人の経営幹部が当局の調査への協力を命じられ、交代させられた数日後のことだ。
 特定の政治家を狙った逮捕は別として、金融市場での広範な腐敗対策の兆しが2013年に見え始めた。
 当時は、証券規制当局が利益のピンはねとインサイダー取引で債券ファンドの運用担当者を標的にした。

 昨年、規制当局は株式市場でのインサイダー取引に焦点を移し、「老鼠倉(ラット・トレーディング)」として知られる慣行を標的にした。
 老鼠倉は、ファンドマネジャーが個人の口座で株を買い、自分が運用しているファンドの買いが株価を押し上げた後に持ち株を売り抜ける行為だ。

 共産党の機関紙の人民日報は昨年、党の反腐敗機関である中央規律検査委員会が金融機関に特化した部署を新設したと報じた。

By Gabriel Wildau in Shanghai
© The Financial Times Limited 2015. All Rights Reserved. Please do not cut and
paste FT articles and redistribute by email or post to the web.



朝鮮日報 記事入力 : 2015/02/08 07:05
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/02/07/2015020700765.html

【コラム】中国の汚職と権力による横暴

 中国で毎日のように失脚する汚職幹部のニュースを見ると、開いた口がふさがらないことが多い。
 その汚職の規模が半端ではないからだ。

★.周永康・元政治局常務委員は900億元(約1兆7000億円)、
★.令計画・元党中央統一戦線部長は837億元(約1兆5800億円)、
★.徐才厚・元中央軍事委員会副主席は現金1トン、
★.谷俊山・元中国人民解放軍総後勤部副部長は200億元(約3800億円)
を蓄財したという。
★.徐才厚氏の現金はあまりに大量で数えられず、重さを量るしかなかった。

 最初はこうした金額が中国でありがちな誇張かと思った。
 しかし、下っ端の官僚でも数百億ウォン(数十億円)を集めるのが中国の現実だ。
★.昨年11月に河北省秦皇島市の水道担当公務員が逮捕されたケースでは、
 自宅から現金1億2000万元(約22億6000万円)、
 金塊37キログラム、
 不動産68棟の権利書類
が発見された。
 高級官僚はトラ、下っ端官僚はハエにしばしば例えられるが、この公務員は「トラ級のハエ」と呼ばれた。

 中国は専制王朝が崩壊後、ほどなくして共産党による独裁時代を迎えた。
 党が王朝に取って代わった。
 民主主義を経験しなかったため、権力に対する民主的なけん制の基盤が弱かった。

 そうした状況では、少々権力があれば、いわゆる権力による横暴がはびこる。
 周永康氏は石油業界最大手で総資産2兆4000億元(約45兆3000億円)の中国石油(ペトロチャイナ)を自在に操った。
 徐才厚氏は230万人の人民解放軍を相手に「階級」をえさに商売をした。
 けん制されない権力による蓄財は最も容易なことだった。
 薄煕来・元重慶市党委書記の妻、谷開来氏が同業者の英国人実業家を毒殺したことも力による横暴だった。

 大多数の中国人はそうした横暴に憤る。
 しかし、組織的な抵抗をしようとは夢にも思わない
 共産党の監視と統制を恐れるためだ。
 横暴を告発する言論の自由もない。
 むしろ上下、主従関係に順応するほうがましだと考える傾向がある。
 権力者に頭を下げることを「秩序」と呼ぶ中国人にも出会った。

 中国人の心に深く根を下ろした主従の概念は国際関係にも当てはめることができそうだ。
 共産党機関紙の人民日報は昨年11月、北京で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を「万邦来朝」と表現した。
 唐の時代のように全ての周辺国が朝貢に訪れた
という意味だ。

 先ごろ、韓中政府関係者による定期交流会合で、中国側関係者が韓国側関係者に「朝貢外交時代はアジアは平和だった」という趣旨の発言を行ったという。
 習近平国家主席は今月初め、原油価格暴落で財政難に陥っている中南米の産油国の当局者を北京に集め、巨額を融資することで、「ホームグラウンド外交」を宣言した。

 中国は既に国際舞台で権力側に立ったと考えている
ようだ。
 トウ小平氏の
 「韜光養晦(とうこうようかい=才能や野心を隠し、力を蓄える処世術)」
は既に過去の言葉になった。
 中国が米国に代わる覇権国になる日、中国の横暴にさいなまれるかと思うと恐ろしい。

北京= アン・ヨンヒョン特派員



現代ビジネス 2015/2/9 06:02 近藤 大介
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/41999

賈廷安上将失脚の衝撃! 
江沢民派の「本丸」に手を突っ込んだ習近平の仁義なき権力闘争


●江沢民元主席(左)と習近平総書記(右) 〔PHOTO〕gettyimages

■「泣く子も黙る」中紀委に身柄を拘束された賈廷安上将

 2月4日、ヨルダンに収監中だった爆破テロ犯のサジダ・リシャウィ死刑囚の死刑が執行された。
 「イスラム国」の捕虜となっていたヨルダン軍パイロットのムアーズ・カサースベ中尉が火あぶりにされたことを受けての「報復」だ。

 後藤健二さんの処刑と絡んでいたため、日本中がこのニュースに注目したが、実は中国の人民解放軍も同様に、このニュースを注視していた。
 というのも、リシャウィ死刑囚が2005年11月9日、ヨルダンの首都アンマンのラディソンホテルで爆発テロを起こし、60名もの命を奪った時、うち3人は、中国人民解放軍の宿泊客だったからだ。
 人民解放軍総後勤部副局長の潘偉上校(大佐)、総政治部の張康平上校、中央軍事委員会弁公庁の孫靖波上校である。
 中国の国内メディアは一切報道していないが、香港の大公報が報じた。
 北京に確認したら、どうやら事実のようだ。

 3人もの軍幹部が、一体アンマンまで行って何をやっていたのか? 
 これは想像するしかないが、日本が集団的自衛権の議論をおこなうずっと前から、中国の人民解放軍が中東に「進出」していたのは事実だ。

 だが、人民解放軍はいま、もっと別なニュースに震撼している。

 「1月23日に賈廷安(かていあん)上将(軍のトップ34人)が、習近平総書記の指示で中紀委に身柄を拘束された」
---こんな噂が、北京で広まったからだ。

 中紀委とは、「泣く子も黙る」中国共産党中央規律検査委員会の略称だ。
 汚職幹部摘発の総本山である中紀委は、昨年だけで、696人もの幹部を「落馬」(失脚)させた。
 王岐山・党中央政治局教務委員(共産党序列6位)が書記を務め、司令塔となっている。

 北京の政官界ウォッチャーたちは、毎日午後6時になると、中紀委のホームページを密かにチェックするのが、この頃の日課になっている。
 午後6時に、「本日の落馬者」が、中紀委のホームページ上に、ポンと載ってきたからだ。
 そこまで速報を求めない一般の北京っ子たちは、夜7時の中国中央電視台のメインニュース『新聞聯播』で、「本日の落馬者」を知る。
 そして、「習近平主席は今日もよくやった」と快哉を叫び、夕餉のツマミのように話題にするのだ。

 だが、世間に多大な影響を与える可能性がある「超大物」に関しては、中紀委は発表を控える。
 そのため北京っ子たちは、日暮れ時に「胡同」(路地裏)で、周囲を憚りながらヒソヒソ話したり、もしくは「微信」(ウェイシン=中国版LINE)の「朋友圏」(ポンヨウチュア=仲間内の交信)でコッソリ伝え合ったりする(ただし昨年夏からは、微信にも当局の「ガサ入れ」が入るようになった)。

■習近平に対する江沢民の並々ならぬ敵愾心

 そんな中で俎上に上がってきたのが、賈廷安上将の失脚というわけだ。
 もはや、そんじょそこらの大物が失脚しても驚かなくなった北京っ子たちも、「エッ、まさか!?」と、思わず尻込みしてしまうほどの衝撃度だった。

 それというのも賈廷安上将は、江沢民元主席(88歳)の分身のような人物だからだ。
 1952年9月に河南省で生まれた賈廷安は、1982年に電子工業部に入省。そこで同省第一副部長だった江沢民の秘書を務めた。
 江沢民はメガネをかけたこの堅物の男を殊の外気に入り、以後現在まで、ずーっと身辺から離さなかったのである。

 1985年に江沢民が上海市長になった時には、賈廷安は上海市長秘書となった。
 1989年6月の天安門事件によって、上海市党委書記だった江沢民が、3段飛びで北京の党中央総書記に抜擢された時も、賈廷安は党中央総書記弁公室主任(江沢民総書記の秘書室長)として、江沢民と共に中南海入りしている。

 同年11月に江沢民が鄧小平から党中央軍事委員会主席(軍トップ)を禅譲された際には、賈廷安は党中央軍事委員会主席秘書も兼任している。
 江沢民が引退し、胡錦濤時代になっても、2003年12月に、江沢民が賈廷安を中央軍事委員会弁公庁主任にゴリ押しした。

 2005年7月、賈廷安は軍歴もないまま人民解放軍中将を与えられ
 2008年には、人民解放軍総政治部副主任に抜擢された。
 2011年7月には、230万人民解放軍の「トップ34人」である上将にまで登り詰めた。
 2012年11月に開かれた第18回中国共産党大会では、党中央委員に選ばれている。

 奇しくも今年1月23日に、「中国マイクロ波の父」と言われた林為於・中国科学院院士が96歳で大往生を遂げた時、習近平と賈廷安は共に、弔意を表している。
 だがその一方で、習近平はこの江沢民の最側近を引っ捕らえてしまったのである。

 習近平政権はこれまで、薄煕来・元重慶市党委書記、周永康・前党中央政治局常務委員、徐才厚・元中央軍事委副主席といった江沢民側近たちを、次々に引っ捕らえている。
 そしてついに、江沢民派の「本丸」に手を突っ込んだことになる。

 伏線はあった。
 1月3日、午後4時10分、「江沢民一家三代が新年に海南島の東山峰に登った」というニュースが、中国のネット上に掲載された。
 この時、北京にいた私の「微信」にも、中国のおせっかいな友人が記事を転送してくれ、内容を確認した。

 私はその中の「東山」という文字が引っかかった。
 中国人がこの二文字を見れば、連想するのは「東山再起」という四字熟語に決まっている。
 4世紀の東晋に謝安という高官がいて、一旦東山に隠居していたが、敵の大軍が攻めてきたため、再起して敵軍を追い払ったという故事だ。
 日本語で一番近い言葉は、「再登板」だろうか。

 だから、江沢民が東山に登れば、たとえ88歳ではあっても、まさに「再登板宣言」と見られるのである。
 しかも記事によれば、同行した羅保銘・海南省党委書記(省トップ)に向かって、次のように述べたという。

 「海南島のこの名山に来ていない人は残念だ。
 このような風光明媚な景勝地は、大々的に宣伝すべきだ。
 私は北京に戻ったら、君たちのために大宣伝してやろう」

 そして歩きながら、次のように大声で叫んだという。
 「江沢民来たれり。この歩行はウソではないぞ!」
 まさに、習近平に対する並々ならぬ敵愾心が見て取れるのである。

■「習近平主席が初めて『四つの全面』を説いた」

 新年から、これほど痛快な中国トップと元トップの権力闘争が垣間見られるとは思わなかった。
 だが、メディアを統轄する劉雲山常務委員(共産党序列5位)は報告を聞いて激怒し、直ちにこのニュースの削除を命じた。
 一時間もすると、ネット上のこのニュースは、すべては削除された。

 実はこの4日前の昨年12月31日に、中国国営新華社通信の李従軍社長がクビになり、劉雲山の腹心の蔡名照・党中央宣伝部副部長を新社長として送り込んでいる。
 これまで新華社通信は、江沢民の「勇姿」を、事あるたびに報じてきた。
 習近平-劉雲山は、我慢ならなかったのである。

 ちなみに、「中国のハワイ」として不動産バブルに沸く海南省では、仁義なき権力闘争が繰り広げられている。
 習近平-王岐山は、昨年2月18日に、周永康の秘書出身の冀文林・副省長を引っ捕らえて失脚させ、7月8日には、やはり周永康の四川省時代の部下だった譚力・元副省長を調査対象とした。

 そして12月30日には、周永康の腹心だった蒋定之・海南省長を解任して故郷の江蘇省に飛ばし、習近平主席の腹心である劉賜貴・国家海洋局長を海南省副党委書記として送り込んだ。
 そうした中で、江沢民が胡錦濤前主席側近の省トップ、羅保銘を引き連れて、習近平に対して「宣戦布告」したのである。

 これに対して習近平は、江沢民の分身とも言える賈廷安上将を引っ捕らえることで、同様に江沢民に対して「宣戦布告」したというわけだ。
 そのココロは、「次はお前の番だぞ!」ということだ。
 まさにマフィアも顔負けの仁義なき権力闘争なのである。

 習近平主席は2月2日、幹部たちの一層の引き締めに出た。
 「省部級主要指導者幹部が第18期四中全会の精神を全面的に推進し法治国家を学習貫徹するための専門検討班始動式」という長い名前の組織を、中国共産党の中央党校に立ち上げ、次のように演説したのだ。

 「現実生活の中で、一部の幹部は法治意識が淡泊である。
 それどころか法を無視したり、勝手にねじ曲げて解釈する者さえいる。
 そのことが党と国家の心象と威信を損害している。
 政治、経済、文化、社会、生態文明の領域で正常な秩序に悪影響を与えている。

 法の下に、人々は平等である。党規や国法を、ゴム粘土やカカシにしてはならない。
 党の指導は、社会主義法治の最も根本的な保証である。

 全面的な小康社会(そこそこ豊かな社会)を築くためには、
 全面的な改革の深化、
 全面的な法治国家づくり、
 全面的な厳格な党の管理
が必要だ。
 四つの全面』の戦略を把握するのだ。

 権力というのは両刃の剣だ。
 法治の軌道に乗せれば国民に福をもたらすし、法に従わなければ必然的に国家と国民に禍をもたらす」

 北京市海淀区の頤和園の近くに建つ中央党校は、将来の幹部候補生のための研修所である。
 省部級の主要指導者幹部の研修は、1999年1月に、金融研究班を作って以来、毎年の年初に、テーマを決めて約1週間にわたり、集中的に学習してきた。

 だが、最高幹部の「教え」を集中的に学習するようになったのは、今年が初めてである。
 それくらい習近平主席は、幹部の引き締めに躍起になっているのである。
 中国メディアはこぞって、
 「習近平主席が初めて『四つの全面』を説いた」
と、まるで大仰なスクープのように報じている(習近平政権が報じさせているのだが)。

■海外進出に活路を見出そうと必死になる中国国有企業

 これまで江沢民元主席は、国有企業がもたらす潤沢な利権をバックに、権力を維持してきた。
 その利権構造に正面から大ナタを振るってぶった切り、かつ切ったものを手中に収めつつあるのが、いまの習近平主席の「汚職追放運動」の本質である。

 だが問題は、いまや中国経済の屋台骨である国有企業が揺れていることだ。
 2月3日付『上海証券報』は、
 「2014年の業績予想を出している国有企業145社のうち、30社以上が赤字に陥った」
という記事を掲載した。

 たとえば、1月31日に中国アルミニウムは、「昨年、163億元(約3,100億円)もの赤字を計上した」と公表。
 週明けの2月2日には、株価を7.05%も下げた。
 石炭、有色金属、鉄鋼、水運、機械製造、造船などの業界は、生産過剰に陥っていて、これらの業界を背負っている国有企業は、軒並み赤字決算となる見込みだ。

 中国人民銀行は2月4日、預金準備率を0.5%引き下げた。
 昨年11月の利下げに続く追加の緩和措置だ。
 預金準備率の引き下げは2年9ヵ月ぶりの措置で、中国経済の先行きを警戒しているのである。

 こうした状況を受けて、
 国有企業は現在、「走出去」(海外進出)に活路を見出そうと必死
になっている。
 習近平主席は最近、「中国経済の新常態」という言葉をよく口にする。
 これは中国経済のパラダイムの大転換を意味する。
 かつて「世界の工場」だった中国は、その後「世界の市場」に生まれ変わった。
 いままた、中国企業の世界進出の発信基地にしようという構想なのである。

 そのため、これを推進するため、外交にも力が入る。
 習近平主席は2月2日、人民大会堂で、二つの大国の外相と、それぞれ個別に会談した。
 ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と、インドのスシュマ・スワラジ外相である。

 習近平主席はまず、ラブロフ外相に対しては、昨年プーチン大統領と5度も会談したことを吹聴した。
 そして今年は、第二次世界大戦の東方の主戦場となった中国と、西方の主戦場となったロシアが、反ファシズム勝利70周年を共に祝うことに主眼を置きたいと強調した。加えて、今年の新興5ヵ国のBRICS首脳会談も成功させたいと述べた。
 ラブロフ外相は、「自分が何でも一番であるというアメリカの哲学は間違っている」と力説し、習近平主席も同意した。

 続いて、インドのスワラジ外相との会談で、習近平主席は、昨年9月にモディ首相の故郷であるクジラート州を訪ねたことに触れた。
 そして中国は「海上シルクロード」をインドと共に開拓していきたいこと、インドの鉄道網整備に協力したいことなどを強調したのだった。

 これに対してスワラジ外相は、北京へ来る前に雲南省昆明に立ち寄ったことを告げ、両国が中心となって「アジアの世紀」を作っていこうと述べた。
 中国は、バングラデシュ-中国-インド-ミャンマーという経済回廊を目指していて、昆明は重要な拠点である。

 思えばこのインドの女性外相は、1月17日に、インドを訪問した岸田文雄外相と「第8回日印外相間戦略対話」を実施し、「日本はわが国にとって、インド洋・太平洋地域における特別なパートナーだ」と持ち上げたばかりだ。
 だがその2週間余り後には北京へ来て、同様の発言をしているのである。
★.この「対日中二枚舌外交」はシン前首相もそうだったし、
 現モディ首相も同様なので、インド伝統の外交スタイル
と言えるだろう。

 2月5日には、北京大学とグリーンピースの合同調査で、PM2.5の影響で、今後中国で25万7000人が早死にすると発表したというニュースが流れた。
 政治も経済も環境も先行きが混沌とする中、中国は19日の春節(旧正月)を迎える---。



レコードチャイナ 配信日時:2015年2月12日 17時55分
http://www.recordchina.co.jp/a102372.html

中国の李鵬元首相の娘、スイスの銀行に3億円の預金
=「氷山の一角だろう」
「習氏の反腐敗キャンペーンの今後が楽しみだ」―米国ネット

 2015年2月11日、米AP通信によると、「国際調査ジャーナリスト・コンソーシアム」(ICIJ)が発表した報告書で、中国電力国際発展の李小琳会長夫妻がスイスの銀行に2006年から2007年に約248万ドル(約2億9000万円)の預金を持っていたことが明らかになった。

 AP通信は10日、ICIJが発表した報告書で、中国電力国際発展の李小琳会長夫妻が2006年から2007年に、スイスの銀行口座に約248万ドル(約2億9000万円)の預金を持っていたことが分かったと報じた。
 李会長は李鵬元首相の娘で、「電力業界の女王」として有名だという。
 中国当局は反腐敗キャンペーンを進めており、海外に資産を隠し持つといった行為を規制する動きが強まっていると伝えている。

この報道に、米国のネットユーザーがコメントを寄せている。

「今回明らかになった“隠し金”は、氷山の一角だろう」
「米国の政治家とその一族だって同じだ」
「中国、ベトナム、ロシアなど共産主義国家の上層部の人間はみんな腐敗している」
「ここで報じられているのは、取るに足りない金額だ」
「米国の政治家たちの預金はどうなっているんだ?」

「習氏の反腐敗キャンペーンがどう進んでいくのか、とても楽しみだ」
「暴君というものは、生まれつき腐敗しているんだ」
「絶対的な権力は絶対的な腐敗につながる。
 これまでも、これからも」
「習近平は偽善者だ。
 自分と親族以外に対して腐敗キャンペーンを行っている」







_