2015年1月6日火曜日

2015年の中国(2):ぶつかり合う中国と周辺国、「ASEAN経済共同体」は?

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 WEDGE Infinity 日本をもっと、考える  2015年01月06日(Tue)  弓野正宏 (早稲田大学現代中国研究所招聘研究員)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4603?page=1

中印で水資源の争奪戦が勃発?
チベットのダム稼働で高まるインドの警戒感


●チベット初大型水力発電所、蔵木ダム1号発電機稼動記事(中央写真)『中国能源報』(2014年12月2日) http://paper.people.com.cn/zgnyb/html/2014-12/01/node_2222.htm

 中国チベット自治区にヤルツァンポ(雅魯藏布)川という渓谷を縫って流れる美しい河川がある。
 この河川にチベット地区で初の大型水力発電所が作られ、11月に発電機の一組が稼動し、発電を開始した。
 しかし、この大型ダムに対して下流のインドで批判的報道がなされ、警戒感が高まっている。
 中国との国境係争を抱え、兵士の越境事件が起きているインドにおいて洪水の可能性や生態系の破壊だけでなく、水資源の支配権を握られるのではないかという戦略面での不安が増しているのだ。

 そこで『中国能源報』のサイト「能源網」の「藏木水力発電の“生態争議”に直面して」(11月28日)と同紙「チベットが大型水力発電時代に突入」(12月1日)という記事からこの発電所の稼働を巡る中印間の矛盾、争点を紹介したい。

 事は中国西南部に位置するチベット自治区のヤルツァンポ川初の水力発電所、藏木水力発電所が11月23日に発電を始めたことに端を発する。
 インドのメディアは翌24日、この発電所がインドへの脅威になり、洪水や生態環境への影響をもたらすと懸念を示した。
 この報道を受けて中国外交部はさっそく声明を発表し、中国政府の立場を説明した。

■ヤルツァンポ川の蔵木水力発電所プロジェクトとは?

 ヤルツァンポ川はチベット自治区を流れる世界最高の標高(平均4000メートル)を流れる大河であり、
 チベット西南部のヒマラヤ山北麓のジェマオソ氷河を水源とし、
 チベットを南東に流れながら中印国境近くで南北に大きく蛇行し、
 インドのアッサム地域を通りバングラデシュの真ん中を縦断し、
 インド洋ベンガル湾に流れ込む。
 全長は3848キロ(中国国境内2057キロ)だが、年間水量は1395億立方メートルと中国内を流れる河川では5番目(長江、黄河、黒竜江、珠江に次ぐ)の水量で流域面積は24万平方キロに及び面積でも中国5番目だ。



 全域での潜在的発電量は1億1000万キロワットで国全体の6分の1に相当し、主流では8000万キロワットと長江に次いで2位である。
 チベットの年間水資源量は4482億立方メートルに上り、潜在発電量は2億186万キロワットの発電が可能であり、全国の29%(中国全土の推定発電量は6億7600万キロワット)を占め、西の電気を東に送る重要な拠点になると期待されている。
 ヤルツァンポ川での支流には灌漑施設や小型発電所がいくつも作られているが、潜在的な開発余地はまだまだ大きい。

 藏木水力発電所のダムの高さは116メートル、貯水量は8660万立方メートル。年間発電量は25億キロワット(黒部第4ダムは年間10億キロワット、黒部川全体で30億キロワット)見込まれ、発電量世界一の三峡ダムの高さ185メール、393億立方メートルの総容量、2240万キロワットと比べかなり小さく、日本一の黒部ダムと比べても小型だ。

 昨年10月末までのチベット自治区の発電量は148万キロワットで6つの発電機が稼働すれば目下の発電量の34.46%相当になるという。
 チベット自治区の人口は300万人に過ぎないから、発電された電気はほとんどが別の省に送られる予定だ。
 2013年の統計データではチベットの一人当たりの電気使用量は全国平均の半分以下だったから、発電所完成で冬の電力不足解消に寄与すると期待される。

 党中央におけるチベット政策を討議する場にチベット工作座談会がある。
 この5回会議(2010年1月)でチャムドに「西の電気を東に送る(西電東送)」拠点を設立することを決定した。
 発電所が位置するチャムドはチベットの7つの地区(地区級市レベル)の中で最も水エネルギー資源が豊富であり、怒江、瀾滄江、金沙江の3つの河川が交わる地区である。
 地理的には四川省、雲南省、青海省との境界でもあり、「西電東送」プロジェクト推進の拠点構築は地政学的にも理に適っているという。

■生態系破壊の懸念に「責任ある態度で下流に配慮」


●プラマプトラ川の生態系についての報告書 https://s3.amazonaws.com/cd.live/uploads/content/file_ch/6797/brahmaputra-v13.pdf

 中国外交部の華春報道官は11月24日、国境を超える河川利用について中国は一貫して「責任ある態度」を維持しており、下流地域の影響に充分配慮し、計画中の発電所が下流地域の洪水防止や生態系への影響を与えることはないと述べた。
 またこれまでも中印両国では友好と人道主義の精神からインド側に河川の危機管理の協力は有効でチャンネルが確保されているという。
 中印両国は2013年に「国境を超える河流協力を強化することに関するメモランダム」に署名して以来、専門家による協議メカニズムを通じて意思疎通を図ってきた。
 習主席による2014年9月の訪印の際には共同声明でインド側が中国に対して洪水期の情報や緊急措置協力の提供に謝意を示した。

 発電所を運営する華能集団は公式サイトで環境に配慮し、生態系保全のため3億2000万元を投資して魚の通路となる魚道や養殖所、太陽光発電システム、汚水処理場、ごみ回収所を設置したと明らかにした。
 華能藏木水電分公司の李小聯総経理は「環境保護がチベットのプロジェクトのボトムライン」と発言。
 同発電所はチベット地域やそれに止まらず、環境保全に配慮した全国の水力発電工程の模範になるよう目指すと述べる。

 しかし、「責任ある態度」を維持しているとはいっても管理運営するのは企業である。
 経営を軌道に乗せ黒字化できなければ発電所の持続可能な運営は不可能だ。
 チベットの水力発電所が直面する問題は、辺鄙な地理的状況による交通条件の悪さや工事の難度の高さから発電所建設費用や送電コストが高く、四川省や雲南省での発電コストの倍以上でキロワットあたり2万元と競争力がないことだという。
 国の補助金とともに、外への送電を軌道に乗せなければ立ちいかないようだ。

 生態系破壊への懸念を持つのはインドだけではない。
 カナダのコラムニスト、マイケル・バクリー氏によるドキュメント「メルトダウン・イン・チベット」というドキュメンタリーフィルムでダム建設が生態系に与える影響に対し警鐘が鳴らされており、日本でもアルピニストの野口健氏等によって紹介されたこともある。

■中国は「インドが脅威を誇張」と逆切れ

 インドのメディアはヤルツァンポ川(下流のインドでプラマプトラ川と呼称)での水力発電所建設がインドの国家利益を損なうと批判している。
 発電所が2010年9月末に着工してからインドの懸念が高まる一方
だが、この間『DAM999』という映画さえ作られた。
 ダム決壊で町がのみ込まれ多くの犠牲者が出るというパニック映画だが、興味深いのは映画の冒頭で藏木ダムへのあてつけのように「中国で1975年に起きたダム大惨事の犠牲者25万人に捧げる」(河南省の板橋ダムが決壊し、25万人が犠牲になったと言われる)とテロップが流れる。
 ダム決壊を伝える報道シーンでも中国での惨事に言及している。

 インドやバングラデシュでは、インドの国境からわずか30キロしか離れていないダムによって水量が減るのではないかと懸念が高まっていたが、これに対して中国側は、ダムは発電のためであり、灌漑や工業に使わないから水量が減る事はないと説明する。
 それでもインドの懸念は払拭できていない。

 インドの懸念払拭がなかなか困難なためか中国側はいら立ち、逆切れ気味だ。
 中国で河川政策を担う水利部傘下の水電設計計画院の李原園副院長は、チベットでの水力発電所建設が批判されるが大げさな誇張と主張する。
 「インドのメディアは疑心暗鬼で草木さえも敵に見えるようだ」
と批判する。
 インド・メディアは中国の発電所建設がインドに洪水や土石流をもたらし、生態系にも影響を与え、中印衝突時には、中国は川のせき止めインドを牽制するかもしれないと懸念を露わにする。
 インド・メディアが脅威を大げさに煽ることで利益を得ていると指摘する中国のインド専門家もいる。
 民族主義的感情を煽って多くの票を得ようとしているというのだ。

■水資源を巡る国際係争

 水資源の問題は、アジアでの係争の原因の一つとなってきたにもかかわらず、どの国も自身の足かせになりかねない「国際河川の非航行利用法条約」への締結を渋っている。
 この点でドナウ川流域国での協力関係が築かれている欧州と異なる。
★.中国を流れる国際河川はヤルツァンポ川に加え、怒江、瀾滄江等大きなもので「214」あり、
★.流域国は50カ国を超え、
★.世界の47%の土地、40%の人口に関わるため紛争の導火線になりうる
という。
★.中国は周辺諸国と河川共同管理協定を結んでいないから、今後係争となる可能性がある
という。

 中国とインド、インドとパキスタンは水資源利用を巡り、これまではつばぜりあいを繰り広げてはいるが、一定の協力も維持してきた。
 しかし、相互の不信は根強い。
★.将来的に水資源の争奪戦が石油や天然ガス等に取って代わり、 
国家戦略的レベルまで高まり、各国間係争の中心的争点になる
と予測する専門家もいる。

 中国の発電所建設をインドが指をくわえて見ているわけではない。
 インドはここ数年、相次いで「北の水を南に運ぶプロジェクト」や「内陸部の河川網整備プロジェクト」を策定している。
 2012年初め、インド紙はインド国家火力発電(NTPC)社がヤルツァンポ川下流での大型水力発電所建設の実施可能性調査書を完成させたと伝えた。
 この発電所に今後10年間で1兆ルピー(約200億ドル)投資する計画という。
 ある資源を先に利用しなければ先を超されると中国水力発電工程学会の張基尭理事長は危機感を募らせる。

■環境への配慮なくして「持続可能な発展」はない

 藏木発電所の建設を巡る水資源の問題は、単に水資源やエネルギーの問題、そしてインドや下流諸国との戦略関係に止まらない課題を突き付ける。
 発展の在り方自身が問われている
ともいえる。
 本来、国の発展に重要な自然環境への配慮が中国では軽視されている。
 PM2.5のような大気汚染、上下水道施設の遅れ、おざなりのゴミ分別といった初歩的問題さえも急成長の前に配慮されないのは自分で自分の首を絞めるようなものだ。
 後戻りのできない生態系の壊滅的破壊をもたらす大型インフラ建設
は禍根を残さぬよう自然への配慮をした上で三峡ダムなどの既存の施設の評価をきちんと行い、環境への負荷を考慮した路線に転換すべきだろう。



ニューズウイーク 2015年1月6日(火)15時20分 プラシャント・パラメスワラン
[2014年12月23日号掲載]
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2015/01/post-3507_1.php

「中国密漁船を破壊せよ」 インドネシアの選択
Indonesia May Sink Chinese Vessels

違法操業に「荒療治」で対抗すれば、中国との蜜月に水を差す恐れも


●反撃開始? 中国漁船などの違法操業にインドネシアは手を焼いてきた John Ruwitch-Reuters

 インドネシアの領海内で違法操業している中国の船を発見した場合、沈没させることも考えている──。
 今月上旬、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領の外交政策アドバイザーが訪米中に明らかにした。

 「最近ベトナムの漁船を沈めた。
 次は中国の漁船かもしれない」
と、ジャカルタの戦略国際研究センターのリザル・スクマ所長は、ワシントンのインドネシア大使館で聴衆を前に語った。

 インドネシアでは今月初め、同国の領海内で違法に操業していたベトナム漁船3隻を軍が拿捕。
 乗組員を拘束した後、無人の船を爆破して沈没させた。
 違法操業のせいでインドネシアは毎年240億ドル以上の損失を被っており、その抑止に乗り出したわけだ。
 ベトナム船の爆破後に別の海域で拿捕した中国漁船22隻についても、中国側の反発を覚悟で沈没させるのかどうかが注目を集めている。
 
 中国船の拿捕を受けて、スシ・プジアストゥティ海洋水産相は、外務省からインドネシアの中国大使館に抗議し対応を協議するようルトノ・マルスディ外相に要請したと語った。
 しかしその一方で、大統領が許可すれば拿捕した船を破壊することも検討しているという。

 中国外務省の報道官は、インドネシア当局と協力して詳しい状況を確認中で、インドネシア側に
 「中国人乗組員の安全および法的権利の確保と適切な対応」
を求めていると語った。

 インドネシアが中国船を沈めれば、当然中国との関係悪化につながりかねない。
 中国はインドネシアにとって最大の貿易相手国であり、インドネシアを訪れる外国人観光客は中国人が最も多い。
 中国からの投資は拡大しており、昨年秋に習近平(シー・チンピン)国家主席が就任後初めて同国を訪問した際は、両国の関係を包括的戦略パートナーシップに格上げすることで合意した。

 両国の蜜月ムードは高まる一方だ。
 インドネシアは中国主導のアジアインフラ投資銀行への参加を正式表明し、ジャカルタに本部を置くことを提案。
 中国からの観光客倍増も目指している。
 ジョコ政権は重要な海洋開発構想でも中国と密接に協力していく構えだ。

■「手加減するな」との声も

 ただ違法操業に対しては、各国からの要請にもかかわらず、インドネシア当局は今のところ厳罰で臨む方針を変えていない。
 違法操業する外国船に対して監視・捜査当局が沈没を含む厳罰で臨むことは09年の漁業法で定めている、と一貫して主張している。
 ジョコ自身は諸外国の抗議に対し、「純粋な刑事事件」であって「周辺国との関係には影響しない」と説明するよう外相に要請済みだと弁解した。

 インドネシア国内でも、有効な抑止策にするためには、どの国の船であろうと沈没させるべきだという声が上がっている。
 インドネシア防衛大学のサリム・サイド教授は、政府は
 「違法操業する船に対して手加減すべきではない。
 インドネシアの領海に侵入する余地を二度と与えてはならない」
と発言した。

 相手は中国船だけではない。
 先月上旬に西カリマンタン州付近の海域で拿捕したタイの漁船5隻についても、リザルは沈没させる可能性を示唆した。
 スシも近日中に再び外国の漁船を沈没させると発言したが、詳細についてはコメントを避けた。

 インドネシアが拿捕した外国船は先週の時点で150隻を超えているとみられている。
 ジョコによれば、領海内で違法操業する船は、ベトナム、フィリピン、マレーシア、中国の漁船を中心に毎日およそ5400隻
 蜜月の終わりを覚悟してでも強硬策を模索するという、難しいかじ取りを強いられている。



レコードチャイナ 配信日時:2015年1月13日 13時17分
http://www.recordchina.co.jp/a100506.html

スリランカのシリセナ新大統領、
「中国一辺倒外交」の脱却目指す
=日印と安全保障面含めて関係を強化へ―中国メディア

 2015年1月11日、スリランカの新大統領に就任したシリセナ氏は、中国依存から脱却する外交を目指すとみられ、注目を集めている。参考消息が伝えた。

 シリセナ氏は9日、現職のラジャパクサ氏を破って大統領に就任した。ラジャパクサ政権は経済面で中国から大きな支援を受けていたが、シリセナ政権では隣国のインドへの接近が強まるとみられている。

 2009年、日本に代わって中国がスリランカへの最大援助国となったが、日本は今後も巨額のODAを提供する見込みで、シリセナ大統領は日本やインドとの安全保障協力を強化していくとされる。

 シリセナ氏は前政権の「中国一辺倒外交」に疑問を呈していた。
 中国はコロンボで海を埋め立てて建設する港湾都市計画を進めているが、シリセナ氏はこのプロジェクトにも反対の立場を表明している。

 中国はスリランカを含むインド洋沿岸の各都市の港湾を整備する「真珠の首飾り戦略」を進めており、この戦略に反対するインドはスリランカでの鉄道建設を行うなどして、中国と援助競争を展開している。
 日本とスリランカが海上安全保障で協力する目的の一つとして、影響力を拡大する中国へのけん制があるとされる。



2015年01月14日09時22分 [ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/249/195249.html?servcode=300&sectcode=300

日中、ASEAN加盟国で激しい「求愛競争

  東南アジア諸国連合(ASEAN)地域での経済覇権をめぐる中国と日本の競争が激しく繰り広げられている。
 中国がアジアインフラ投資銀行(AIIB)シルクロード基金などを通じてASEAN地域への投資拡大を推進する中で、日本はラオス、カンボジアとの相互投資協定の締結を加速化させている。
 中国と日本のこうした動きは、年内にASEAN経済共同体がスタートすればASEAN地域が欧州連合(EU)のように単一経済圏に浮上することに備えたものだという分析だ。

  ◆日本、カンボジアなどと投資拡大議論

  12日、フィナンシャルタイムズ(FT)によれば日本の中根一幸・外務省政務官は今週カンボジアとラオスを順に訪問して両国と日本の間の相互投資協定締結など貿易・投資拡大案を集中議論する予定だ。
 中根政務官は日本政府が約120億円を投資してカンボジアのメコン川流域に建設する大学校舎の起工式にも参加する予定だ。

  カンボジア政府は報道官の論評を通じて
 「日本はASEAN諸国の長年の友人であり主な投資家」
として
 「今後、日本の民間企業投資もより活性化することを期待する」
と話した。
 日本はこれまでASEAN地域に対する海外直接投資(FDI)を着実に伸ばしてきた。
 グローバル金融危機直後の2009年に69億ドルだった日本のASEAN主要国に対するFDIは、2013年239億ドルに増えた。
 最近に入りASEAN地域に今後5年間で170億ドルの開発援助を支援し、ミャンマーのインフラ構築事業に2億2000万ドルの借款を提供するという計画を発表した。
 FTは
 「ASEAN経済共同体が今年中にスタートすれば、
★.ASEAN地域は事実上総人口6億3000万人規模の単一市場になる」
として「日本は無視できない重要な市場」と評価した。
 専門家たちは
 日本政府の最近の動きはアジア地域の盟主の地位をめぐって争う中国
を念頭に置いたものとみている。

◆中国、香港のASEAN参加推進

  中国はここ数カ月ASEAN地域に対する新たな大規模な投資計画を出して日本を緊張させた。
 昨年11月にミャンマーで開かれた「第17次ASEANプラス中国首脳会議」の席で中国は今後、ASEAN諸国のインフラ事業に200億ドルの借款を提供することにし、1カ月後の12月にタイのバンコクで開かれた「第5次メコン川経済圏首脳会議」ではタイ、ラオス、ミャンマーなどメコン川流域5カ国に30億ドルを投資するという意思を明らかにした。

  中国政府はまたASEAN諸国と昨年から進めている領域内包括的経済パートナー協定(RECP)交渉を年内に終えるという計画を年初発表した。
 中国政府は昨年7月から香港をASEANに参加させる案も論議している。
 「アジア金融のハブ」香港を前面に出して中国とASEAN諸国間の交易と投資をいち早く拡大していくという構想だ。
 中国政府はこのような措置を通じて現在4440億ドル(2013年基準)規模であるASEAN諸国との交易規模を2020年まで1兆ドルほどに引き上げるという目標を立てた。

  ◆ASEAN経済共同体

  シンガポール、インドネシア、タイなどASEAN加盟の10カ国が今年のスタートを目標に推進している経済共同体。商品・サービス・投資・人材などの移動を自由にすることによってEUのように単一経済圏を形成することを目標にしている。
 ASEAN経済共同体がスタートすれば国内総生産(GDP)2兆4000億ドル(2013年基準、世界7位)、人口約6億3000万人(世界3位)の経済圏になる。

  ※本記事の著作権は「韓国経済新聞社」にあります。



サーチナニュース 2015/01/15(木) 06:38
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2015&d=0115&f=business_0115_010.shtml

日本企業が中国企業に優る可能性のある競争軸:特許

 「2014年には中国に進出する日本企業が減少し、東南アジアに進出する企業が増加した」
というニュースを聞いて久しい。
 しかし東南アジアで、進出する日本企業が中国よりも前年対比で伸びているのはインドネシア1カ国である(2014年1-9月期を年換算した場合)。
 実際、東南アジアに行くと、一様に同じ問題に直面する。
 例えば下記の5点はどこの市場に行っても付きまとう。

・腐敗防止とコンプライアンス
・市場規模(東南アジアは中国と比べると市場規模が小さい)
・異文化マネジメント
・日本の成功パターンと強みの応用
・コスト競争力

 一般的に中国企業は、他企業の模倣をするスピードが日本企業に優る。
 また、市場規模の違いから、今後もコスト競争力で中国企業が優勢だ。
 それらにより、東南アジアでは最近、中国企業の進出が目立つ(携帯電話、電子機器等)。日本企業は東南アジアのどこに行っても中国人、中国企業と戦う必要がある。
 そこでヒントになるのが特許です。

 12月11日付タイムズ・オブ・インディア(Times of India)によると、最近になりインド高等裁判所が中国の携帯電話メーカー小米に対し、中国で生産した商品をインド市場で販売することを禁止する判決を言い渡した。
 特許侵害を理由に訴えていたエリクソンの主張を認めた判決だ。

 小米と言えば、Hwawei、Lenovoと並ぶ中国における携帯電話のビッグ3の1つでだ。
 小米の戦略は、「他企業を模倣し、安く売る」だ。
 海外でも同様の戦略で、インドを第2の市場とみなしている。

 インドにおける2014年第2四半期のスマートフォーンの出荷台数は、前年比84%増の1842万台だった。
 その市場に着目し、小米は、インド市場で2014年7月より、FlipkartというAmazonに並ぶインドのサイトでの販売を行い、急拡大した。
 私自身も、小売店ではなく、ネットでの販売による海外市場参入方法もあるということで、非常に注目していた。
 ところが、この度のデリーの裁判所の判決である。

★.結局のところ、短期的には中国企業の躍進は目立つかも知れないが、
 総合力でいうと、必ずしも中国企業は万能ではない
かもしれない。
 それが今回のデリーの裁判所の判決である。

 価格で勝負すると、最後は価格で負けてしまう。
 そうならないように最初から自社の強みをきっちりと確認したうえで、日本の企業は中長期的に優位に立てる戦略、価値創造に重点を置いた戦略が必要なステージに来ている。
 マーケティングやブランディング、特許戦略は将にその1つに当たる。

 特に特許は参入する前の参入障壁に当たり、競争戦略上非常に有効な手段である。
 中国やインド、インドネシア等大国になればなるほど特許出願件数が多いので、まさに会社の力が問われることになる。

 中国企業と戦うヒントは、インドにおける事例から学ぶべき点は多い。

(執筆者:廣田(李) 廣達 提供:中国ビジネスヘッドライン)


サーチナニュース 2015-02-02 22:15
http://news.searchina.net/id/1559911

「キロ級潜水艦」、3番艦がロシアからベトナムに到着
・・・2016年までに計6隻

 ベトナムがロシアと契約を交わしたキロ級潜水艦6隻のうち、3番艦が1月31日までにベトナムに到着したことが分かった。
  3番艦はロシアのサンクトペテルブルグの造船所で製造され、オランダの輸送船がベトナムまでの輸送を請け負った。
 潜水艦が輸送船から進水する様子も撮影された。
  ベトナムがロシアとの間で、キロ級潜水艦6隻の購入で契約を交わしたのは2010年だった。
 キロ級潜水艦はソ連が自国沿岸での対潜警戒任務を行う目的で開発に着手したが、早い時期から輸出も考慮していたとされうる。
 最初の艦が就役したのは1982年だった。
 キロ級潜水艦にはロシアの巡航ミサイル「クラブ(カリブル)-S」が搭載可能とされる。
 「クラブ」は対艦型、対地型、対潜型などがある。
  ベトナムがこれまで受領したキロ級潜水艦は、
1番艦が「ハノイ」、
2番艦が「ホー・チ・ミン」
と命名された。  
 当初は、2013年末までにすべてがベトナムに引き渡されるとされていたが、すでに遅れが生じており、引き渡し完了は2016年になるとみられている。
  ベトナム・カムラン湾の海軍基地では、新たに到着した艦を含め、キロ級潜水艦3隻が停泊していることも確認された。
  中国はキロ級潜水艦12隻を購入し、1994年から2005年にかけて就役されている。


2015.02.13(金)  Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42905

中国とパキスタン、奇妙だが長続きするコンビ
(2015年2月12日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 中国とパキスタンは奇妙なコンビと呼べるだろう。
 両国関係は国際外交において、最も緊密だが、最も理解されていない関係の1つだ。

 表面上は、両国に共通点はあまりない。
 中国の国家は強く、経済は数十年間成長し続けてきた。
 パキスタンの国家は軍を別として弱く、経済パフォーマンスは悲惨だ。
 中国は共産主義国で、宗教が厳しく統制されている。
 パキスタンはイスラム国で、宗教の情熱は往々にして手に余る。

■北京から見た世界

 それにもかかわらず、中パ両国は数十年間に及ぶ関係を維持してきた。
 この関係は、パキスタンの軍事政権と文民政権の変遷や、移ろいやすいパキスタンと米国の関係を乗り切ってきた。

 今週、中国の王毅外相はパキスタン政府が「友情の揺るぎない絆」と呼ぶものをいっそう固めるために、パキスタンを訪問している。
 もし中国の習近平国家主席がパキスタンの共和政記念日の祝賀行事のためのイスラマバード訪問の招待を受け入れたら、来月はもっと重要な局面になるかもしれない。

 我々は概して、中国政府の目を通して物事を見ない。
 変わりゆく現実を理解するためには、その努力をしなければならない。

 北京から見ると、世界は敵対的な場所にも見える。
 自由民主主義に対する揺るぎない信念を抱く米国は、中国での政体変更を積極的に追求してはいないかもしれないが、間違いなく共産党の崩壊を歓迎するだろう。

 米国政府はインド、オーストラリア、日本を含む国々と連携し、地域における中国の軍事的野望を抑えようとしている。
 フィリピンやベトナムなど、最近まで中国の「微笑み外交」に安心していた近隣諸国は、警戒するようになった。
 中国の気前のいい支援にほぼ完全に依存している北朝鮮でさえ、反抗的になった。

■中国と米国の架け橋となった真の友人パキスタン

 パキスタンは中国の真の友人に見える。
 1950年代初めに中華人民共和国を最初に国家として承認した国の1つであるパキスタンは、中国と米国の間の架け橋だった。

 後に米国務長官になったヘンリー・キッシンジャーが1971年に米中関係正常化の準備をするために中国を極秘訪問した時には、パキスタンからこっそり中国入りした。
 また、中国政府にとっては、パキスタンはインドを不安定にしておく手段だった。

 その見返りに、中国政府は、よそからの供給が途絶えた時にパキスタン軍の装備を用意した。
 また、中国は情報も与え、パキスタンの核爆弾用のウランを濃縮した。

 ウサマ・ビンラディンを殺害する2011年の作戦行動の際に米国のステルスヘリコプターが墜落した時、パキスタンの関係者はヘリコプターの残骸を最初に中国の関係者に見せた。
 中国はパキスタンのために、インド洋のグワダルに深海港を建設した。

■中国の大きな影響力

 中パ関係に関する著作を持つアンドリュー・スモール氏は、中国政府は大きな影響力を得たと言う。
 2007年には、武装集団が中国人数人を拉致した後、パキスタン当局は中国からの圧力を受けて、ラール・マスジド(赤いモスク)を襲撃した。
 中国の圧力は、北ワジリスタン地区の武装集団に対するパキスタンの掃討作戦の背後にある1つの要因だった。
 米国は長年、同じことを求めてきたが、成功しなかった。

 たとえそれが中国政府の不干渉政策の限界を示すという理由だけであっても、中パの枢軸は観察する価値がある。

 グローバルな渦に飲み込まれるにつれ、中国は思わぬ結果に見舞われる恐れがある。

 中国はいま、イスラム教徒の少数民族、ウイグル族による襲撃に対処しなければならない。
 襲撃事件の一部は、パキスタンの無法部族地帯で計画されたわけでないにせよ、思想的に刺激された可能性がある。

 米国と同じように、中国はパキスタンが必ずしも表向き装っているほどには厳しくテロリストを取り締まらないかもしれないと心配している。

■米中がパキスタンで協力する可能性

 こうした事情にもかかわらず、米国がころころ姿勢を変える一方で、中国は方針を堅持してきた。
 このことは、米国と中国がパキスタンでより緊密に協力できるのではないかという興味深い考えを呼び覚ます。

 両国の戦略的利益を分かつものはたくさんあるが、驚くほどの多くのものが双方を結びつける。

 米中両国は、テロリストを輸出する悪の巣窟ではなく、安定し、発展し得るパキスタンを望んでいる。
 どちらもパキスタン軍が核兵器をしっかり守るようにしたいと考えている。
 また、両国は米軍のアフガニスタン撤退後にパキスタンがアフガンのタリバンへの支援を抑えることを望んでいる。

 一部の人は、中国政府がこの考えに前向きになっている兆候を見いだしている。
 中国の外交政策専門家である王緝思氏は、中国の「西部周縁」にめったにないチャンスがあると言う。

 東アジアでは、米国のピボットは封じ込めと見なされており、米中両国は王氏がゼロサムゲームと呼ぶものにはまり込んでいる。
 だが、パキスタンとアフガニスタンでは、両国政府には「協調する大きな余地」があるという。

 パキスタンが破綻することは、どちらの利益にもかなわない。
 もし両国がその目的のために協力することができたら、何より奇妙な出来事だろう。

By David Pilling
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ニューズウイーク 2015年3月5日(木)16時28分 楊海英(本誌コラムニスト)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2015/03/post-3571.php

ミャンマーにクリミア型侵略? 
中国系住民と共産党の「絆」


●東南アジアのクリミア 中国系武装勢力とミャンマー軍の衝突で家を追われたコーカンの住民(ラウカイ) Soe Zeya Tun-Reuters

 ミャンマー(ビルマ)北東部シャン州コーカン地区が先月から、戦火に包まれるようになった。
 政府軍が中心地ラウカイに突入して反政府勢力を制圧。
 非常事態宣言が発令されると現地の中国系住民は大挙して越境し、中国雲南省領内に避難した。
 コーカンの指導者たちが人民解放軍雲南軍区の軍営内に避難している姿も目撃されたという。

 中国の新浪ネットや微博(ウェイボー)では
 「コーカンは東南アジアのクリミア」
 「強大な中華民族の積極的な干渉を」
と書き込まれた。退
 役軍人によるサイト「中国軍事論壇」では
 「コーカンの親中派を訓練し、武器弾薬も提供すべきだ」
との論調も見られた。

 人民日報系の「環球時報」紙は「クリミアに例えるのは滑稽だ」と社説で当局の関与を否定したが、外務省報道官はいつもの甲高い声で
 「政府は事態の推移を注視している」
と発言。
★.政府の御用新聞らしからぬ弱気な論調は報道官の姿勢と奇妙にも食い違っており、
 かえって紛争の激化に中国の謀略が働いているのではと勘繰らざるを得ない。

 ネット世論を政権維持に利用する共産党政権の下では、基本的に政府の意向を反映した記事しか掲載できない。
 実際にはクリミアに例えたネット投稿は今なお黙認されており、習近平(シー・チンピン)国家主席も「友達プーチン」のまねをする可能性は否定できない。

■ドラッグに群がる中国人

 約2000平方キロと大阪府ほどの広さのコーカンには
★.約16万人の住民が暮らすが、そのうちの14万人は中国系。
 もともと土司と称する首長に統治されていたが、土司は清朝政府に貢ぎ物をして、任命権を獲得して権威づくりに利用してきた。
 清朝崩壊後に現れた中華民国は一時、自国領だと主張したが土司側とビルマ政府の反対に遭った。

 第二次大戦時、旧日本軍と盟友関係を締結し日本名も有していたネ・ウィンは、終戦間際にビルマ族中心の軍隊を結成。
 戦後は中国人民解放軍と共同作戦を展開し、国共内戦から逃れてきた中華民国の敗残兵を殲滅した。
 ネ・ウィンの協力に毛沢東は大いに感謝し、コーカンをビルマ領として正式に認めた。

 毛は世界革命を発動しようとして66年に文化大革命を発動。
 「古くからの友人ネ・ウィン」を切り捨て、ビルマ共産党支持に舵を切った。
 一方、コーカンの中国系住民たちは親台湾の態度を取り、反共基地に変貌。
 毛は紅衛兵を侵入させて政権転覆を図った。
 私の故郷、中国内モンゴル自治区に下放されていた中国内地の元紅衛兵たちもはるばると南下してビルマに陸続と入っていった。

 76年に毛が死去したのに伴い、「世界革命」も単なる幻想に終わると、元紅衛兵たちはそのままコーカンに定着。武器を手にしたケシ栽培民に姿を変えた。

 中国人に「リトル・マカオ」との愛称で呼ばれているコーカンは実質的に中国内地の都市と何ら変わらない。
 漢字の看板が立ち並び、中国語が響き渡る。
 携帯は中国移動(チャイナ・モバイル)の電波に頼っているし、学校の教科書も隣の雲南省で印刷製本されたもの。
 店に入ればカジノだけでなくドラッグも満喫でき、土日になると中国人が殺到して「爆買い」する。
 もっとも、この地で産出される違法ドラッグは雲南を経由して日本にも流入してきている。

 「コーカンの中国系武装勢力の装備が急激に改良され、強くなってきたのは事実。
 しかし、彼らだけで政府に抵抗できない」
と、イギリス統治時代から政府軍と戦ってきた勇猛果敢なカチン族の幹部らは分析する。
 既に雲南軍区に属する人民解放軍の兵士が潜入したとの情報もある。
 「コーカンは中華民族の領土。
 毛のようにわれわれを見殺しにしないで」
と、
★.現地の指導者は華僑のネットワークを利用して中国への編入を求めている。

 中国の干渉を許す口実も確かにある。
 ミャンマーのテイン・セイン大統領による脱中国依存政策だ。
 中国による南シナ海での強硬姿勢が世界の不安定化の一因となっている現在、毛時代に下放青年だった習がいかなる姿勢で臨むかが注目される。

[2015年3月10日号掲載]







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