2015年1月1日木曜日

新しい価値観を生み出せない苦悩:習近平、大学でマルクス主義の推進を、カラー革命を不思議なほど怖がる中国

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 習近平は自己の正当性のよりどころに「マルクス主義」を掲げている
らしい。
 ということは、党内抗争が激化している、という信号ともとれる。
 いかにして権威付けをするかが、この抗争に勝ち抜く条件となる
ということだろう。
 ただ、マルクス主義では誰が見ても少々古過ぎる。
 だが、見渡してもそれに代わるものがない。
 「ウーン、しかたがない!」
 やむえずカビは生えてしまったが、まだ鎧としては使えると判断して古い蔵から引き出してきたのだろう。
 でも、多くの中国人が世界を旅行し、見聞をひろげようとするようになった現状では、資本主義に対抗するマルクス主義がどれほどの効力を持つかは不明である。
 逆に、もう「この主席はダメ」という印象を持たせる結果にもなりかねない。
 新しい指導者にふさわしくない
と評価されると、あとは権力で抑えこんでいくしかなくなる。
 ギリギリのところだろうか。
 自分で自分を追い詰めていく
ことになるかもしれない。


レコードチャイナ 配信日時:2015年1月1日 10時30分
http://www.recordchina.co.jp/a99942.html

習国家主席、大学でマルクス主義の推進を指示
「中国にあるのは大学ではなく、洗脳施設」「
娘をハーバード大学に留学させていたのに」―米国ネット


●30日、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は国内の大学でマルクス主義の学習を推し進めるよう指示した。米ロイターが中国国営メディアの報道として伝えた。

 2014年12月30日、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は国内の大学でマルクス主義の学習を推し進めるよう指示した。
 米ロイターが中国国営メディアの報道として伝えた。

 ロイターが29日、中国国営メディアの報道として伝えたところによると、
 習国家主席は大学でマルクス主義の学習を推し進める
よう指示した。
 メディアやインターネット、反体制派への取り締まりを強化している。
 習国家主席は、大学がマルクス主義の普及について学習し、研究する責務を負っていると述べたという。
 この報道に、米国のネットユーザーがコメントを寄せている。

「中国政府は破壊されるべきだ」
「オバマ大統領はいつ後に続くんだろう?」
「皮肉なことに、習近平は娘をハーバード大学に留学させていた。
 中国の一般市民にとっては中国の大学はふさわしいのだろうが、自分の娘にはふさわしくないということだ。
 スタンフォード大学などには、中国の裕福な政治家の子女たちが留学している」
「何故、習近平は自分の娘をハーバード大学に留学させたんだ?」

「ほとんどの共産党員たちはマルクス主義が何なのか覚えていないと思う」
「スターリンと同じくらいに偏執的だな」
「おめでとう、中国。
 次の北朝鮮になる道を着実に進んでいるね」
「アメリカの共和党支持者は中国が好きだから、アメリカでも同じような思想統制をしたいと思っている」
「中国に大学なんてない。
 あるのは洗脳施設だ」


 そのロイターの記事はこちら。


ロイター 2014年 12月 30日 10:54 JST
http://jp.reuters.com/article/jpchina/idJPKBN0K802T20141230

中国の習主席、大学での思想統制強化を指示


●12月29日、中国の習近平国家主席(写真)は高等教育に関する共産党関連会議で、マルクス主義の学習を大学で推し進めるよう指示した。23日撮影(2014年 ロイター/Jason Lee)

[北京 29日 ロイター] -
 中国の習近平国家主席は高等教育に関する共産党関連会議で、マルクス主義の学習を大学で推し進めるよう指示した。
 国営メディアが29日に伝えた。
 中国ではメディアやインターネット、反体制活動家に対する取り締まりが強化されており、大学でも思想統制を強化する。

 国営の新華社によると、習主席は
 「(大学は)マルクス主義を学習・研究し、宣伝する責務を負っている」
と指摘。
 の上で大学における党の指導を強化し、
 「思想・政治活動を強化・改善」
するよう関連部門に指示したほか、
 大学は「社会主義の核心的価値観」を育むべき
との認識を示した。


 資本主義とマルクス主義の違いの大きな点は
 資本主義が「自由」に力点を置くのに対して
 マルクス主義は「平等」に力点を置く、ことにある。
 生産手段を民営で行えば経営者と労働者に別れていく。
 自由ではあるが平等ではなくなる。
 マルクス主義は生産手段を国営として、労働者が経営者でもあるという形を目指す。
 よって、経営者の労働者搾取という弊害が除かれ、
 「所得平等」という理想型
が生まれる、はずである。
 だがしかし、現実の中国の収入格差は資本主義の牙城にあるアメリカよりも大きい。
 とても「平等社会」とは言えなくなっている。
 それを許したのが共産党なら、
 それ相応の制裁が共産党に下されねばならないだろう、
と誰もが普通に思うことだろう。

 下の記事は、上位20%と下位20%の所得層の比較である。
 つまり、
 「11億人の貧乏人」が、「2億6千万人のお金持ち」に搾取されている
ようなものである。
 更に言えば、海外旅行に出かけられる中国パスポートを持つものは「6千8百万人である。
 つまり、
 お金持ちのうちさらに海外に出かけられるのはその3割にも満たない。
 よって、「パスポート保持者」と同数の「下位層」の格差は天文学的にまで広がる。
 これで「人民平等社会」を歌い文句にできるとは、余程の面の皮の厚さ、としか言いようがない。


サーチナニュース 2015-02-03 22:31
http://news.searchina.net/id/1560109?page=1

中国教育相「大学で共産党を批判させるな」
・・・批判の応酬、「反発する者は根こそぎにせよ」との主張も

 中国で、政府・教育部部長(教育相)の発言を巡り、批判の応酬が始まった。
  教育相が
 「大学では共産党指導者への攻撃を許すな」
と発言すると、インターネットに反発の書き込みが殺到。
 すると、教育相の発言を擁護する研究者が、教育相を批判する教員などについて
 「釘を抜くことも必要」
と、大学からの追放を主張する文章を発表した。

  袁教育相は1月29日に出席した「精神座談会」で、大学教育について
 「西側価値観による教材を教室に入れるな」、
 「共産党指導者に対する各種の攻撃や誹謗を絶対に許すな」、
 「大学の教室における社会主義を悪く言う言論を許すな」
と発言。
 すると、インターネットで袁教育相を批判する書き込みが「噴出状態」になった。
「子どもを国外に行かせるために、一生努力しよう。
 少なくとも思想の包容力のある国に行かせよう。
 私は自分がダメになりたくないから、子どももダメにしたくないよ」、
「下の者が上の言うことを聞かないというんだな。
 なら、上を取り代えろ」
などだ。

  実名で批判をした大学教師も多い。
 北京大学で法学を専攻する沈〓教授は
 「西側価値と中国的価値をどう区別するのか
 共産党指導者を誹謗し、社会主義の悪口を言うのと、共産党がこれまでたどったまがった道を反省し、現実にある暗黒を暴露するのとはどう違うのか」、
 「あなたのような指導者の下で、教育部はどのようにして、憲法にもとづいて国を治め、法治国の方針を実行するのか?」
と疑問を示した。(〓は「山」の下に「歸」)。  
 沈教授はさらに
 「以上の問題について、明確で分かりやすい答案があるならば、時を選んできちんと話してほしい。
 明確な回答ができない限り、発言は慎むように」
と主張した。

  袁教育相は2011年に「教育改革を進める」との趣旨の発言をした際に、
 「われわれは国外のものを学習する。
 よいものであれ、ダメなものであれ、資本主義であれ社会主義であれ、われわれの建設に有利であれば、すべて学んでよい」
などと、国外の思想の導入を認めるかのような考えを示したことで、
 「共産党指導者への攻撃を許すな」
と述べたことに対する批判がさらに大きくなったと考えられる。

  大学関係者からの批判が相次いだことに対し、中国科学院世界社会主義研究センターの朱継東常務理事は3日までに、中国共産党系の光明日報などに、袁教育相の発言を支持し、批判者を非難する文章を複数掲載した。
  朱常務理事は、大学において共産党を批判する声が高まっていることを、改革開放以来の
 「全地球化、市場化、インターネット化によってもたらされた未曾有の挑戦」
と主張。
 同現象は、国外の敵対勢力によりもたらされたものとの見方を示した。
  朱常務理事は、大学における「イデオロギー工作」が必要と強調。
 袁教育相を非難した者は
 「イデオロギーの分野で、剣を振るって(袁教育相を)包囲攻撃した者だ」
と断じ、
 「大学におけるイデオロギー工作では、釘を引き抜かねばならない。
 共産党と社会主義を攻撃する言論を発表し続ける教師は、絶対に取り除かねばならない」
と主張。
 朱常務理事は、共産党を批判する教師らを大学から排除することこそが「勧善懲悪」であり、
 「それでこそ、大学におけるイデオロギー工作が新たなな春を迎えることができる」
と主張した。



2015.02.12(木)  Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42899

「カラー革命」を不思議なほど怖がる中国
(2015年2月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

中国教育相、大学から「欧米の価値観」を排除

 中国の袁貴仁・教育相が先日、毛沢東主義の全盛期を思わせる通達を全国の大学に出した。
 「西側の価値観を広める教科書を教室内に持ち込ませてはならない」
 「党の指導部や社会主義を攻撃または誹謗する見解を、一切容認してはならない」
という厳しい調子のものだった。

 北京を先週訪れた際にこのことを知った筆者は、西側の影響を取り締まるのはいささか遅すぎるのではないかと思った。
 中国の首都にはランボルギーニからフーターズまで、思いつく限りの西側ブランドがすでに進出済みだ。
 大学の近くにあるカフェでは、中国人の学生たちが西側の学生たちと同じようにおしゃべりをしたりネットサーフィンを楽しんだりしている。

■いっそう高くなる「グレート・ファイアウォール」

 とはいえ、一見お馴染みの光景が実はまやかしだったということもある。
 筆者はホテルの部屋からインターネットに接続して、
★.グーグルやツイッターなど多くのサイトへのアクセスをブロックする中国の「グレート・ファイアウォール*1」
にいきなりぶち当たり、世間知らずにも驚いてしまった。

 西側の影響を取り締まる動きが大学やブロガー、テレビの放送スケジュールなどにも及ぶ中、中国のグレート・ファイアウォールはこの数カ月間でますます高くなっている。
 リベラルな政治に直接関わっている人々は、もっと直接的に苦しんでいる。
 いくつかの人権団体によれば、ここ1年間で身柄を拘束された活動家は数百人に上る。
 外国の非政府組織(NGO)も以前より厳しい監視や圧力にさらされている。

*1=万里の長城(Great Wall)に引っかけ、中国のインターネット検閲システムを指す言葉

■中国の支配者層から見た「カラー革命」

 こうした取り締まりからは、驚いてしまうほど強い不安感を中国の支配者層が抱いていることがうかがえる。
 中国政府は、国外で生じたさまざまな出来事を見て、中国共産党の権力掌握を脅かすいわゆる「カラー革命」が生じるのではないかとの不安を募らせているのだ。
 そしてこの不安は、中国国内の安定に関する不安とリンクしている。
 折しも中国では経済成長が鈍化しつつあるうえに、習近平国家主席の反腐敗運動によって支配階層のエリートの間に不満が生じつつあるからだ。

 アラブ世界での一連の革命を目にした中国共産党は、非民主的な政府に対する大衆の反乱と、それがもたらし得る混沌を強く懸念した。
 そして、こうした革命の推進において西側の制度や科学技術が果たしている役割に着目した。

 2011年のエジプト騒乱が「フェイスブック革命」と呼ばれたこと、そしてこれを先導した著名な活動家たちの中にグーグルの幹部が1人含まれていたことも手伝って、
 中国におけるこの2社の運命が定まった。

 カラー革命の脅威に対する中国当局の猜疑心はウクライナ、そして何より香港での出来事により、この1年間でさらに強まっている。
 中国は、ウクライナでの反乱についてのロシア側の見方を真剣に受け入れたように見受けられる。
 あの反乱は基本的に米国が、インターネットからNGOに至るありとあらゆる非道な手段を使って組織したものだという見方だ。

■香港の民主化デモの背後に米国の存在?

 著名な学者の王緝思氏は昨年4月、つまり香港で抗議行動が始まる数カ月前に、米国に対処する北京中央政府の指導者たちの最大の懸念は
 「中国政府を転覆させ、中国社会に政治的・思想的に浸透しようという、米国が抱いていると思われる企み」
だと記していた。

 昨年9月に始まった香港の抗議行動は、中国政府の強い不安感の裏付けになったようだった。
★.中国側から見たあの出来事は、カラー革命のテクニックがついに中国国境の内側に及んだという状況に危険なほどよく似ていた。
 座り込みによる抗議、学生の参加、外国のテレビ局の取材班、ソーシャルメディアの活用、そして「雨傘革命」という受けそうな呼び名の登場という要素がそろっていたのだ。

 中国政府は結局、香港の抗議行動の制圧に成功した。
 しかし、政府の中には、アラブ世界からウクライナ、キューバ、ベネズエラ、そして今度は香港まで、西側が介入する不気味なパターンが垣間見えると指摘する向きもいる。

■エリート層を脅かす反腐敗運動

 おまけに、こうした国外での無秩序は、中国国内で政治的緊張が高まっているちょうどその時に発生している。
 習近平氏の国内政治のトレードマークは反腐敗運動だが、この運動は多くの人々の予想よりも長く、かつ厳しく実行されている。
 反腐敗運動は、中国の一般市民の間で好評だと言われている。
 だが、この運動は強力な利益団体を脅かしている。
 過去2カ月間で、政府は元公安トップの周永康氏を正式に訴追し、胡錦濤前国家主席の元側近、令計画氏を調査していると発表した。

 また、比較的少ない正式な給料を賄賂で補完することに慣れていた大勢の党幹部の間にも不満があると言われている。
★.中国経済の鈍化は反腐敗運動が商取引に与えた萎縮効果と関係していると主張する人さえいる

 これは、習主席が政治体制を完璧に掌握したために、強力な利益団体と戦う余裕がある、ということなのかもしれない。

■「パラノイドだけが生き残る」

 だが、有力なコネがある北京の人々は今、習主席を追い落とす試みの可能性について公然と推測している。

 例えば1989年など、中国の過去の市民の騒乱は、共産党の上層部内の意見対立と時を同じくして起きたと指摘する人もいる。

★.だが、多くの意味で、中国は今ほど強く見えたことがない。
 国際通貨基金(IMF)は数カ月前、購買力で測ると中国が世界最大の経済国だと発表した。
 外国の首脳は、大抵は中国の投資を呼び込むことを期待して習主席と面会するために列を成している。

 外の世界から見ると、中国の政治指導者たちの不安は、過剰で、偏執的にさえ見える。
 だが、有名な(西側の)言い回しにあるように、「パラノイドだけが生き残る」のだ。

By Gideon Rachman
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 資 料
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AFP BBニュース 2014年12月26日 19:21 発信地:北京/中国
http://www.afpbb.com/articles/-/3035289

市民に「社会主義価値観」の暗唱を義務付け、中国・武漢市


●「公正」「法治」「愛国」「敬意」の文字(2014年8月5日撮影)。(c)AFP

【12月26日 AFP】
  中国・湖北(Hubei)省の武漢(Wuhan)市が、12項目からなる「社会主義の核心的価値観」の暗唱を全住民800万人に義務付けようとしていると、国営英字紙・環球時報(Global Times)が26日、報じた。

 「社会主義の核心的価値観」は中国共産党が社会主義イデオロギー普及の一環として提唱している。
 市民全員の習得を徹底させるため、武漢市では「暗唱クラス」への出席を義務付け、「中央政府高官」による抜き打ち検査も行われているという。

 地元の大学院生は環球時報に、勉強会を開いて核心的価値観を記憶しているか、確認しあったと語った。
 全員が完璧に覚えるまで、誰も帰れなかったという。
 また別の学生は、
 「もし暗唱できなかったら、来年の奨学金がもらえなくなるかもしれない」
と語った。

 習近平(Xi Jinping)国家主席は昨年の就任以来、共産党への支持固めを狙って「社会主義価値観」の普及を積極的に押し進めている。

 「社会主義の核心的価値観」が提唱する12の言葉は「富強」「愛国」「和諧」など。また「民主」や「法治」も含まれているが、西側諸国とは定義が異なる。
 皮肉なことに、暗唱を強制された言葉には「自由」も含まれている。

 環球時報によれば、武漢市が「社会主義の核心的価値観」暗唱運動を進める背景には、「国家文明都市」の称号を得たいとの市当局者らの思惑がある。(c)AFP



レコードチャイナ 配信日時:2014年12月23日 17時36分
http://www.recordchina.co.jp/a99509.html

中国の収入格差、10.7倍
=米露より大きく、社会の安定揺るがす要因に―中国紙

 2014年12月22日、中国国民の高所得者と低所得者の平均収入の格差が米国やロシアよりも大きく、10.7倍に広がっていることが分かった。
 北京晩報が報じた。

 このほど開催された「第4回国民の収入分配と企業の報酬制度改革フォーラム」で、
 高所得者上位20%と低所得者下位20%の平均収入の比較
で、
★.中国は「10.7倍」
に達しており、
★.米国の「8.4倍」

★.ロシア(4.5倍)、
★.インド(4.9倍)
を大きく上回っていることが明らかにされた。



レコードチャイナ 配信日時:2014年9月21日 16時41分
http://www.recordchina.co.jp/a94523.html

中国人観光客の購買力は世界一、
お気に入りは何?―中国メディア

 2014年9月17日、統計によると、2013年に中国から海外へ出かけた観光客はのべ9819万人に上り、
 海外での観光支出は1287億ドル(約12兆8700億円)
に達した。
 だが総人口約13億6000万人における
 パスポート保有率は5%足らずの「約6800万人」
に過ぎない。

 つまり、一部の人が年に何回も海外へ出かけているということだ。
 別の統計では、13年の中国人観光客の海外旅行における項目別消費額をみると、多い方から順に、
 ショッピング、交通、その他、宿泊、食事、娯楽、観光地の入場料
となっていた。







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